自分の生きる意味を自覚している人なんて、一体どのくらいいるのでしょうか?
このお話は酔った会社員の男性が桜の花になる、と言う不思議なシーンから始まります。
そして散っていくまでの間に友人?となった桜の花との会話の中で、人の生きる意味・役割などについて考えて行きます。
『この世は辛い事しかない。どうしようもなく、そういうものだ』と。
そして『だからこそ、それを受け入れ、強く生きねばならない』のだと。
その上で主人公が何を選び、どう行動したのか。
自覚のない涙がにじんでいる事に読み終わって気がつきました。
そんな思いをした主人公の「いざとなりゃ、イヤな場所からは逃げられるしな」と言う前向きなセリフに、思わずクスリ。
重いテーマが読みやすく軽い文体で綴られた、綺麗で、儚くて、そして元気がもらえる物語です。