レビューした作品一覧全6件
オモチャ箱のような
投稿日:2016年12月5日
おでんのような、福袋のような、そんな作品が「潮騒の町から」シリーズです。 キャラが多いのが特徴の一つなのですが、誰も彼もを大切に育て、要所要所に使いこなしていくことに感心してしまいます。 その分、割りを食うのが主人公なのですが、彼を取り巻く女性陣がとても魅力的。 バトル、飯テロ、ギャグ、エスピオナージなど、てんこ盛りで読み手を飽きさせません。個性的な文体がまたクセになります。 どうか多くの人に楽しんでいただきたいと思います。
 読んでいて「そう来るか? そうか、カモンカモン!」と、いつのまにか潮騒の香りなど吹っ飛んでしまう「潮騒の街から」  とにかく、はちゃめちゃな作品なんですよ。  時事ネタ、風刺から、レトロなネタをさりげなく織り交ぜて、さらに情報小説といった側面も垣間見せ、数多くの魅力的なキャラクターを所せましとばかりにめまぐるしく動かしていくとてもにぎやかで贅沢なお話なのです。  ここで断言したいのは、きっと読み手の予想の斜め上を行く!   これが「しおから」のすごいところ。  「ぁ……ああぁぁ……」  言葉が出ない。  それは旅路。  故郷を離れ、夢を追い、幾多の困難に当たり、傷つきながらも、それでも歩みを止めることはない。  自分で選んだ道だから。  ↑ これ、なんのシーンかわかりますか?  びっくりしますよ。つか、あきれます。  ぜひ、お読みください!   
これは愛の物語である。
投稿日:2015年7月6日
これは愛の物語である……冒頭から言い放つ、大上段に振りかぶった宣言に思わず襟を正し読み始めると、いきなり虚を突く設定と展開に目を丸くしてしまうに違いない。これは前代未聞のぶっ飛び小説だ。 超巨大な少女はなんのために存在し、何をしようとしているのか? 魅力的な謎を提示したあとに、ノンストップで訪れる試練にぐいぐい引っ張られてしまう。いや、これでもまだ序の口なのだ。今後さらにぶっ飛んだ展開が待っている。それは時に残酷で、胸が痛む流れだったりもするが、スペクタクルな後半はミリタリー、SF、ミステリ、の要素も満載で読むのがやめられなくなる面白さだ。 そして、クライマックス――うまい! とか、おお! とか思う前に、つい歯ぎしりしてしまった。やるう~と、つい嬉しくなってしまうエンディングが待っている。どうか、ひとりでも多くこの作品を楽しんでいただけたらなぁ……きっと、いい刺激を受けることと思います。
と、声高に叫びたい。 もっとも、私はこの作品の舞台となる時代が苦手で、ゆえに知識も殆どない(歴史そのものはとても好きにもかかわらず)  そんな理由で、「ラスト・シャーマン」が面白いらしいとの噂を目にしつつも、なかなか手を出せないでいた。 何がきっかけで読もう!と決めたのかは今となってはどうでもいいことなので省くが、読み始めてすぐにこの作品に憑りつかれた――まさに巫女を扱った小説である!  きっと多くの人を魅了するに違いないこの作品、文章が綺麗である以上に、構成と人物の配置がとにかく見事。これだけ魅力的な人物が多く、個性を浮き彫りにした作品はそうないのではないか? きっと静かな感動に包まれることと思います。 「ラスト・シャーマン」おすすめです! PS ラストの4コマ漫画もw
 読み終わるのが惜しい作品にたまに出会うことが、皆さんにもあると思います。この「嘯く羊」がまさにそれ!と言い切りたい。  あらすじや冒頭を読んで、重そう、大人向け?と思って、読むのを敬遠するかたもいらっしゃるかもしれませんが、どうか1の半分まで読んでみてください。一気に作品世界に取り込まれること必至ですから。  キャラも個性的で、いかにも女性のハートを掴むのがうまそうな面々が揃っています。  男性が読む分にはバトルのアイディアがこれでもか!と詰め込まれ、出し惜しみなしの大迫力で描かれています。作者のリネさんが燃え尽きるんじゃないか?と心配になるほどです。    「嘯く羊」の魅力はいくつもあり、とても書き尽くせないのですが、私がとても強く感じたのは「非情な世界に置かれながらも、なお失うことのない男のクールかつ熱き想い」です。  ぜひ、堪能してください! 
 まず冒頭から引き込まれること間違いなし。軽快でお洒落なアクションと主役二人のやりとり、作者の巧みな筆さばきにより、気がつけばあっという間に四分の一ぐらいまで読み進めてしまうにちがいない。  そして、中盤から人間ドラマに重きが置かれ、ドラマがぐっと締まってくる。(ここらにもサービス的に迫力あるバトルあり)敵も含めた登場人物の過去エピソードも興味深く語られていて、抜かりない。  そして、なによりこの作品の魅力は主人公のエヴァンのキャラにある。彼が動くだけで、物語も動く。輝きを感じさせるヒーローだ。脇役陣の配置も王道的にぴたりと決まっていて、安心して読むことができるだろう。  ただ、気になる点がないこともない。  謎解きや過去の因縁の解説が後半に集中しすぎていて、動きが止まっている部分がある。もう少し出し方を小分けにするなどした方がアクション小説として完成度がさらに上がるだろうと思われる。