まさにダークファンタジーという言葉が相応しい世界観。
主人公・サツキは過去に絶滅したはずの生体兵器の中でも最強の個体だった。というよくあるような設定だ。
この作品の素晴らしいところは、主人公であるサツキの性格(むしろ性質と言うべきだろうか)と、それによって生み出される絶妙な雰囲気だろう。
この作品には、サツキとそれを取り巻く人物の視点・世界観の違いから来るズレがある。誰もがサツキと話していて、何かズレを感じている。だが、そこに介入する者は誰一人としていない。誰もがサツキをどこかで恐れている。故だろうか。主人公最強系の例に漏れず、主人公であるサツキには絶対的安心感があるが、同時に群像劇であることも寄与しているのか、重い緊張感を持ち合わせているのがこの作品、ドラゴンキラーだ。
この絶妙な安心感と緊張感のバランスを保った作品は稀有なものであり、一読の価値ある作品だ。