レビューした作品一覧全4件
なかなか自分の気持ちを言葉にするのが苦手な女の子と、周りから寡黙な男と思われている「俺」。 そんな『ふたり』の放課後に訪れる素敵な時間。 女の子は話をしていくうちに、自分の気持ちを整理できるように成長していきます。 そして、勇気を振り絞って言えたひと言。それは彼女が「俺」の元を卒業できたという証明。 きっと同じように思いを言えない子はどこにでもいます。こんな「俺」のような聞き上手はなかなかいないかもしれないかけれど、もっとたくさん・近くにいて欲しいな。 大人になった今だからこそ、素直にそう思った素敵なお話です。
レビュー作品 田舎の風
作品情報
かけがえのない時間は、きっとこれからも永遠に……
投稿日:2017年12月25日 改稿日:2017年12月26日
「ずっと一緒に君とこの空を観ていられたらいいのに」 こんな言葉を相手からかけられたとき、どのような想いを巡らせますか? 家の前の朝顔の中に現れた夜空。彩都がその容姿や発言から彼女の先が短いのではないかと危惧してしまうのは自然なことかも知れません。 そして、会わないでくれと、夜空を傷つけたと後悔してしまう。それは自分が傷つきたくなかったからだと。 自分の気持ちを悟ったときに、彼女の素性を知った……。 幼い頃に育てた花の精霊が自分の最期を送ってくれる。 彩都も夜空も、本当はもっとお互いの距離を縮めたかったのではないでしょうか。かなわない願いを秘めつつ、それでも最後に想いを通わせることが出来た。 今は切なくとも、これから永遠に続くふたりの想いを願わずにはいられない素敵なお話です。
小さな可愛い姉妹の物語です。 ななちゃんの大好きなお姉ちゃん、かなちゃんの誕生日のできごと。 一生懸命に自分の出来ることを頑張るななちゃんと、それを純粋に受け止めてあげられるお姉ちゃん。 小さな子どもの視線は、時として大人の想像を超えたところにあったりします。 一生懸命に描いた赤いクルクルを、ちゃんと苺だと理解できて、何をしたいのかをちゃんと理解できる存在ってとても大事ですよね。 ななちゃんの一生懸命な姿と、それをあたたかく包みこめるかなちゃん。 ふだんの忙しさを理由に、どこか私たちが置き忘れてしまっている純粋なふんわり物語を味わってみませんか?
「だって、いつも悲しそうな顔してるじゃん」  『私』自身は笑っているように思っていても、それが無意識のうちに表れてしまうもうひとつの内面。  誰にも知られたくない二人だけのプールサイドの会話。  いつか終わりが来てしまうことも気づいている。でも、今だけは、小さな幸せな世界にいさせて欲しい。 いつか必ず会える。その約束がかなうのは「いつ」なのか? でも、必ず会える。それを信じられる、だから泣かないで笑って言えた「ばいばい!」。 青春の悩みをかかえつつ、毎日を進まなければならないヒロインを支えてくれた『彼』は誰なのだろう。 出会いと別れ、それがまたひとつ彼女を成長させていく。最後の誰もいなくなった綺麗な夕暮れの情景が脳裏に浮んで残ります。 ひと夏の終わりに味わった、ちょっとほろ苦スイーツのような素敵なお話です。