可愛い見た目と甘えベタな性格のギャップでまたしても振られてしまったヒロイン美也子。目を覚ましたときにいたのはファンタジックな世界で。せめてイケメンの王子様に出会えれば、なんて思ってたのに、出会ったのはカエルのおじさま...というお話。
異世界トリップのファンタジーですが、主人公たちはそれぞれ実直に働く社会人であって、それぞれに過去も傷も抱えながら、一時的にでも身体の温もりにすがる気持ちも知っている。
お互いに手を伸ばしたい思い、手に入れてもほんのひとときと思い切る辛さ、離れないのが幸せなのかそうでないのかという心の揺れ。
ヒーローたるギャロは顔も手も肌もカエルですし、しかも仕事はお祭り屋台の射的屋さんで、そこに魅かれる要素は感じません。なのになんだかかっこいい!ラスト近くの疾走感とハッピーエンド、ほんとに満たされる作品です。
異世界トリップになじめないオトナにこそお勧めです。