レビューした作品一覧全14件
順風満帆な人生を送るはずだった主人公タイヤー=フマレ。 しかし、彼が固有スキル《麦》を手にした時、タイヤーの人生は一変する。 踏まれれば踏まれるほど、彼は強くなっていく――。 固有スキルの特性故に、プライドをズタズタに踏みにじられ、人生も踏みにじられ。 しかし、新たな仲間達に物理的に踏みにじられ、とにかく踏まれまくってそれは次第に快楽に……あっれおかしいぞー(震え声 あなたもきっとナニカに目覚める(はず)! ちなみに私は側臥位からフローラちゃんに踏まれたいです。おススメです(小説が)!
彼女が導く、その先に――
投稿日:2018年5月26日
武蔵浦和教会で牧師をつとめる的場望。数々の難事件を解決した祖父譲りの推理力を持つ彼女は、使徒探偵と呼ばれていた。 平穏な日々を送りたい(?)彼女の思いとは裏腹に、望の元には迷惑極まりない事件ばかりが舞い込んでくる。 事件の陰で各々が抱える苦悩、生まれながらの異能――そして、ツッコミどころ満載の愛すべき登場人物達(最大級の褒め言葉)。 愛も憎しみもすべて、人が人たる所以。 時にその矛盾に悩まされながらも、事件の真相を解き明かさずにはいられない、そんな主人公・望に魅了されるに違いありません。
目を覚ますと、そこには自分と同じ顔の死体とファヴニルと名乗る悪魔の姿があった──。 レーベンヒェルム領の領主となった主人公・小鳥遊蔵人は荒廃した領地を立て直し、元凶である悪魔を倒すため、仲間とともに奮闘する。 政治・経済・歴史。これらは自分たちのすぐ側にあるはずなのに、意外と知らない方が多いのではないでしょうか。 私自身、政治も経済も近現代史も全く分かりません。ですが、この作品を通してそれらのことに少しずつ関心を持てるようになりました。ファンタジー世界を満喫しながら、同時に現代社会の光と闇についても考えさせられます。 「面白かった」という読後感に浸るだけでなく、さらにその先まで視野を広げてくれる他に類を見ない小説です。 狭くなりがちな日常の視野。自分の足元だけを見ていませんか? 魅力的なキャラクターたちと共に七鍵世界を駆け巡れば、きっと新たな発見が待っています。
サイコロと辞書を使いお題を設定する、という一風変わったコンセプトのホラー短編集。 この作品を読んで、はじめに抱いたのは、「怖さ」にも種類があるのだ、というある種の感動めいたものでした。 ゾッとするもの、震え上がるもの、ちょっと皮肉めいたものや、クスリと笑ってしまうものまで……この短編集にはありとあらゆる「怖さ」が凝縮されています。 血肉が飛び散り、魑魅魍魎が跋扈し、怨念が渦巻く……それだけが恐怖ではないのだと思い知らされました。 ホラーというジャンルの可能性、奥深さを感じることのできる逸品です。
冒険とロマンスと優しさで溢れた極上のファンタジー! ブロンズ通りで魔法店を営むテオドールとその助手のニコ。 彼らが拾った一つの卵──その中から現れたのは四つ目のゴブリンだった! 謎のゴブリンを巡って、彼らは王国を震撼させる事件に巻き込まれていくことになる……。 緻密なタッチと表情豊かな登場人物たちが織り成す冒険譚。ページをめくるたびにワクワクする気持ちが加速していき、物語世界へと引き込まれていくこと間違いなしです。 そして、読み終えた時には、きっと一番大切な人に会いたくなる──そんな素敵な物語です。
ラケダイモン(スパルタ)の男達の熱い生き様の物語。 古代スパルタ・ペロポネソス戦争が舞台の本作。史実に基づいた構成はまさに圧巻! 美しい文章を辿れば、そこに彼らが生きる風景が目に浮かびます。 彼らの誇りと絆は気高く……そして、とても繊細で美しいです。 信念に従って生きた人間とは、かくも強く在れるのか、と感動しました。 ラケダイモン人は男も女も強かった!♪( ´▽`)
切なく、狂おしい。女性の秘めたる情熱を、しっとりと書き上げた、ある恋の物語。 ある男性作家の元に弟子入りした奈津。彼女は次第に師に惹かれ、愛するようになっていく……。 しとしとと雨が降る日に読みたい……そう感じさせる作品でした。 女性らしい、淑やかな文体。その底に流れているのは激しい想いの奔流です。 女性が自分の想いを声高に主張できなかった時代に生きた奈津。どこか現代の女性にも通じるところがあるのかもしれません。 情感溢れる恋物語。ぜひ手にとって、読んでみてはいかがでしょうか。
圧倒的なアクション、圧倒的なスタイル、圧倒的なギミック。 龍脈の乱れにより異形のものが闊歩する鏡塔学園。 天才陰陽師・時州瑠衣より『ルークドライバー』を託された少年・桂騎習玄が、仲間とともに異形の者に立ち向かう。 とにかく、ストーリーはもちろんのこと、小道具一つ一つに至るまでスタイリッシュでカッコいい! 登場人物それぞれが抱える闇や因縁も丁寧に描かれていて、バトルシーンの爽快感だけでなく、人間模様にも見所が満載です。 そして、アクション要素だけではなく……圧倒的なヒロイン、圧倒的なギャグセンス……、あ、あれ?(笑) 読む者を飽きさせないテンポの良さで、読み始めたら最後、のめり込むこと間違いなし! の作品です。 皆様も、機会がありましたら是非、ご一読下さい♪( ´▽`)
胸を締め付けるもの、その正体
投稿日:2015年5月7日
 母親になれなかった母親の叫び。  血を吐くようなその叫びは、読者の胸を真っ直ぐ貫きます。  ですが、読者の胸を締め付けるものの正体は、きっとそれぞれ違うでしょう。  単純な「悲しい」「辛い」といった感情だけではなく、命の在り方や尊さを考えさせてくれます。  ある人にとっては救いにもなるかもしれません。  ある人にとっては残酷にも思えるかもしれません。  ですが、それも全て引っくるめて、このお話の本質なのだと思います。
レビュー作品 グッピーと私
作品情報
立ち上る紫煙、その先に……
投稿日:2015年5月7日
 カフェ『霧隠れ』――そこは愛煙家たちが集う、大人の社交場。  現代社会の喧騒とは打って変わって、扉一枚隔てた店内に流れているのは小粋な憩いの時間。  煙草を喫む彼らは、そこに束の間の休息を求めに訪れます。  このような場所に縁遠い若者とって、このお話は何もかもが目新しく、新鮮に違いありません。  ある意味、このカフェもまた、異世界の一種なのでしょう。  情緒溢れる大人の世界。  垣間見るだけで、なんだか自分もちょっぴり大人になったような……そんな気にさせてくれるお話です。  
映像化強く希望!
投稿日:2014年11月8日
 SF小説好きの方にはぜひ読んでいただきたい作品です!  丁寧な描写、緻密な設定、そして美しい文章……話を読み進めていくにつれ、どんどん惹き込まれていくに違いありません。エマたちが、戦い、葛藤し、前へと進んでいく光景が目に浮かびます。  このレビューをご覧になった方に一つ、注意してもらいたいことがあります。この作品を読み始めたら最後、時間を忘れ、のめり込んでしまうことでしょう。コーヒーを淹れ、お気に入りのソファに座り……つまり読書環境を整えてから読むことをおすすめします。そして読み終わった後、エマたちを思い浮かべながら、ゆっくりと読者それぞれに読後感を味わってください。ちなみに私は読了後、心地よい満腹感と、ちょっぴり生きている実感のようなものを噛み締めていました。  海外ドラマ制作会社のスタッフさんに、この物語を読んでいただき、ぜひとも映像化して欲しいくらいです!       
ルームシェアも悪くないかな
投稿日:2014年10月3日
 ルームシェアというと私はあまりいいイメージを持っていない。テレビ番組なとでも特集が組まれているが、私にはそんなこと到底無理だと思っていた。そんな中、私は凛先生の「トライアングル・ワンルーム」に出会う。  作中の三人は笑顔の下に色々なものを抱えている。ほのぼのとしたルームシェア生活の中で、時にそれらと向き合わなければならない場面に遭遇する。  彼らはお互いを気遣いこそするものの、余計な詮索は一切しない。どんな時も部屋で待っているのは、いつも変わらぬルームメイトであり、温かい食事だ。三人で過ごす時間は、一人の部屋で思い悩む時間よりもずっと貴重な時間だ。そんな時間を経て、彼らは前へと進むことができるのだ。 「三人で食べたいから、帰れるなら早く帰ってきてね!!」  そんな風に言ってくれるルームメイトとならば、ルームシェアも悪くないかな……この話を読んで、そう思えるようになった。
ストレートな言葉
投稿日:2014年10月3日
 逸取先生の作品は、簡潔で分かりやすい文章が特徴だ。恋愛短編も書かれており、人物の心情をとても鮮明に描いているが、この作品は逸取先生の作風がぐっと生きている作品だと私は感じている。  特に、第一部最終話である第五話。これを読んで私はぞっとした。残酷な描写をするのに、こねくり回した表現はしていない。それなのに、まるでその光景に出くわしたかのような錯覚に陥る。ストレートな言葉がよりその場の残酷さを物語っている。  もちろん、そういうシーンだけが際立っているわけではない。冒頭の奈緒と鉄吾のやり取りや学校のシーンなど、キャラクターの日常がはとても生き生きと鮮やかに描き出されている。  私がこのレビューを書いたときは、ちょうど第一部最終話まで投稿されていた。今後の展開がとても楽しみだ。
レビュー作品 天狗の足音
作品情報
大人のための童話
投稿日:2014年10月3日
 一年に一度、人々の楽しかった記憶だけが消えてしまう。世界に記憶を捧げなければ、世界を保つことができないからだ。どうせ奪われる記憶なら楽しい、嬉しいと思うことは無駄なのか?  この物語は人によって、色々な見方ができると思う。ほのぼの日常ストーリー、恋愛ストーリー、謎解きストーリー……読み進めるたびに様々な一面を垣間見ることができる。  楽しい記憶を奪われた人々の感情は、仕事に追われている大人の気持ちと被る。毎日待っているのは仕事だけ。楽しいことなんて何もない。  作中の人々に比べれば、私たちは幸せだと思う。楽しい記憶は忘れない限り残り続ける。そして、私たちはこれから起こる楽しいことを期待することもできるのだ。  日々、雑事に追われている私だが、この話を読んで、「あんな楽しいこともあったっけ」と思い起こすことが増えた気がする。  この物語は「大人のための童話」だ。私はそんな風にとらえている。
レビュー作品 Memory World
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