主人公ウォルムは、チート能力や恋愛展開を好む層とは一線を画し、ただ“生き残る兵士”として成長していく。その描写は「戦記よりも兵士譚」と呼ぶのが正しいだろう。
英雄譚ではなく、ただ生き延びる兵士の物語としての泥臭さ、仲間との死別の衝撃、戦略描写の深さが光る。
注意点として、主人公の物語は「窮地の連続」であるため同じような場面が展開は違えど続く。またAランクの上がSランクであったり、オルトロスやクラーケンと言った馴染み深い名称の日本ナイズドされた設定が散見されるため、そういった点が気になる人も注意されたし。
これは、“兵士”たちの物語。そんな作品が読みたい方はぜひ手に取って読んでほしい。後悔はさせない。