内容は王道です。
異世界トリップや転生ではありませんが、主人公がどんどん強くなっていき、ついには最強になる。
そこは変わりません。
ただし。
ピンチになったときなにもかも都合良く救われるヒーロー物ではありません。
守りたいと願いながら、守れず。
かつて守ると誓った相手に抱いた確かな想いさえ、変わり。
復讐に身を焦がした鬼の物語です。
丹念に練られた伏線の回収が見事。
1話1話。張り巡らされた伏線は旋律となって読者を物語の中心へと誘います。どう繋がるのかと、ハラハラ、ドキドキして。
主人公が辿る長い道のりの先。
物語の最後までたどり着いたとき。
あの忘れ得ぬ日々。そのために今を生きる。
たとえその先に避けようの無い別れがあっても。
抱いた想いは抱きしめたまま歩いて行ける。
そんな気持ちにさせてくれる作品です。