社内デザイナー紀川さんは、いじめが元で人間関係が苦手なぼっち。
エアコンお化けが唯一の友達。
会社の大イベントの準備で、重要な役割を振られて大忙し。
人生初の春が来て、同時進行する恋と仕事の行方は……
次々降りかかるトラブル。辛くても挫けず、ギリギリ耐える紀川さん。
「ちゃんと泣けばいいのに」
彼女の頑張りや長所を見ている人は見ていて、竹村係長の一言が染みます。
風の妖から不思議な追い風を受け、新たな視点を得て、周囲の人たちのあたたかさに気付きます。
紀川さんを一番ディスっていたのは、本人かもしれません。呪縛が解けた時、見失っていた幸せを再発見。
みにくいアヒルの子は、アヒルでも白鳥でもない白雁でした的な展開。
みんながアヒルや白鳥である必要はなく、他の個性ある何者でもいい。
普段は見ないBtoB企業の世界を覗ける秀逸なお仕事小説。
色々あっても全体のあたたかさで安心感があるお話。