レビューした作品一覧全11件
貴族の子息子女が集まる学院、歴史あるその地には伝説の「開かずの間」があった… ある日突然、その限界密室に閉じ込められてしまった下級貴族の令嬢と、学院のアイドル的イケメン令息。気が合わないライバルで犬猿の仲である二人は、懸命に脱出方法を探索する。 そして推測された、この部屋から脱出する条件は、二人がキスをすること……!えっ、どうするの!!? 24時間弱のタイムリミット、ワンルームの密室、たった二人の登場人物という限界極狭シチュエーションのなかで紡がれる物語は、スリルもラブも特濃仕立てです。読んで損なし。
せっかく乙女ゲームの世界に転生、しかし主人公やヒロインではなくモブポジションで、推しカプを眺めるだけで本望……という作品は、それだけで面白い設定ではありますが、ほかにもあります。 しかしそこからもう一捻り。 この作品の主人公は、自らモブポジを神に希望して転生、現状に満足していました。ところがうまい話には落とし穴がつきもの、とんでもない事態が発覚します。 おいおいもはや恋愛どころじゃないのでは、というところで、それもしっかり踏襲して、全方位からハッピーエンドに繋げてくれるのがニクイ! 続編を期待したい、たのしい短編作です。
この作品は、現代日本人の主人公が異世界にいき、その地の問題を解決するプロセスを描いた冒険・経済・村おこしもの。……と、簡単に言ってしまってはその面白さは十分の一も伝わらない。 北海道漫才とでもいうのだろうか。独特で軽妙な掛け合いにクスクス笑いながら読み進めると、おびただしい数の伏線と布石がちりばめられており、アッと思った時には深い沼にはまりこんでいる。一度読んでただ楽しく、二度読んで唸り、三度目で味わうことができる、読みごたえ抜群の一作である。
元気になれます。
投稿日:2018年8月25日
読んだら、すごく元気がもらえます。水素がでてるんだとおもいます。 風邪も治りそうだなっておもいます。(※個人の感想です) ウエストもくびれました。(※規則正しい食生活と並行して読了しております) 冗談のようですがわりと本気。寝る前に読めば日常のストレスが和らぎ安眠導入効果、執筆のスランプ、推敲の悩みには「あっ、そうだ。楽しければいいんだ」と思い出させてくれる。腹筋が痛くなるほど笑い、間違いなく元気をもらってます。 そうしてとりあえず一回笑ったら、改めて本作の構成、展開、言葉えらびのセンスを、色眼鏡なしで見てみてください。 「……あれ?普通に上手い。もしかして、これ全部計算なんじゃ……」 そう思った瞬間、また新しい世界がひらけます。 すごい作品です。ぜひご一読ください。 あと「緑色のドカーーーン」が何のことかわかったひとは教えてください。私は未だわからず悩み続け、夜も眠れません。
帰宅すると、妻が体長3センチに縮んでいた――そこから始まる、明るく和やかなラブコメディ。 しかし中盤で物語は一転、ぞくっとするような昏い世界へ。その中での小さな救いを見つけ、縋ったところでまた急転直下。もう心臓痛いです勘弁してください(懇願) 最後の最後までどうなるかわからない超どS級のジェットコースター、だけどもとっても素敵な短編です。スリル満点の構成に、驚き、泣かされたい方はぜひ読んでみてください。
この作品は、ジャンル・コメディになっておりますが、作者様の実体験に基づくエッセイです。 なろう小説の書き方講座などではありません。現代社会に物申す!といった啓蒙論文でもありません。 まったく、ただのおっさんの日常です。 ……エロ可愛い女性作家の日記ならともかく、おっさんの生活など覗いてなんになるんだとお思いのあなた、騙されたと思って、一話読んでみてごらんなさい。癒し系おっさんのイヤラシ系ハートフルライフに抱腹絶倒、そしてホッコリ癒されるがよろしかろう。 癒し系といっても、このオヤジとっても元気。キャバクラから自宅の便所まで東奔西走駆けまわり、通報されたり死にかけたり。唸る文章力でグイグイ読ませながら、キレるツッコミとケツの穴。 これ以上なく下品でラブリー、おっさんライフがここにあり。 こちらの作品はぜひ、口いっぱいに飲み物を含んでお読みください。 さあ、大惨事を楽しもう。
※以下のレビューは一切ふざけておりません。完結まで読んだ愛読者による本気のレビューです。 コミュ障により童貞をこじらせ、自分を慰め続け過ぎたがゆえにTSしてしまった主人公と、そこからモゲて神になった本人のちんこによる純愛ストーリー。 タイトルで侮るとやけどする。 純文学をも唸らせる高い文章力に過不足ない情景描写とカオスなコメディ、多彩で個性的で魅力的なキャラクター群が、現代日本のリアル都市を舞台にでたらめな世界観のもと駆け回る。ああ、なんてきれいな物語なんだろうか。 出オチ?いいえ、毎話ずっと面白い。オチなし?見事に完結してます!ギャグでしょ?その通り、しかし感動できるのです! これを読まなきゃ損をする。あなたのためにオススメしたい、嘘偽りなき傑作です。
着目すべきは構成、その絶妙なこと。まず物語としての完成度にひと唸り。続いてこの作が「和もの」であることにもうひとたび、唸るべし。これぞ、和の「おはなし」伝統、小咄、落噺の形式であるからだ。 小咄、を辞書でググれば、笑い話という語意で紹介されるようだが必ずしもそうではない。詳細はともかく、とりあえず「小気味よく聞ける良く出来た短編」と思いねぇ。 そしてこの作、序盤こそほのぼの漫才調だが、コメディでは決してない。やはり、「小気味よく読める非常に良く出来た短編作」である。 刺激的な導入で客を呼び、気持ちの良い口上で客を惹き、怒涛の展開で磔けて、オチでホウと和ませる。 この作に、「ああこれぞ和もの」と感じるのは、舞台が神社だとかみかんが美味そうだなどという理由ではない(それもある)。 なるほど世界観というものは、物語の構成で操作することができるのだと、ウググと唸らせられる逸品である。
作者側が、「そういうもんでしょ?」と深く考えずに書き連ねてしまうアルアル世界観や展開に、待ったをかけるエッセイです。 ここに書かれた指摘に、身に覚えのある作者はきっとこう反論します。 「でも、そうでなきゃ話が進まない、テンポが悪くなる、なろうでウケない」 事実です。それでいいと思います。 だけど、なにも知らず無意識に書きなぐるのと、全てを理解して贅肉を削ぐのとはまったく違います。 こういう啓発を、一度読み、理解したうえで、崩しどころを模索するのは、あなたの作品を分厚く、むしろ軽妙にすることでしょう。 こちらはぜひ、一読するべき作品です。
一字一句が名言、傑作!
投稿日:2015年9月9日
お話が面白いのはもちろんですが、なんといっても筆者さまの言葉のセンスがずば抜けていると思います。 一行目から最後の一文字、しまいには行間まで面白い。 たとえば「アーブラハム」。アーブラハムですよアーブラハム。100点でしょう。アブラハムだったら99点ですよ。 これがすごい。こういったところで失点がない。ぜんぶ加点。 本編を読まずにこのレビューを読んだひとはさぞかし意味不明でしょうが、読めばわかります。読んでください。この感動を拡散したい。 わたしが友人に「体重計が人格もって俺様カレシぶってて超おもしろいんだよねー」とか言って伝わるわけがないこのおもしろさを、一人でも多くの人と共有したいのです。
冒頭からおもしろい!
投稿日:2015年9月8日
本当に面白い物語は、冒頭2行でもうすでに面白い。 それを実感できる作品でした。 ショート・ショートのお手本のように良く出来た構成に、非常に丁寧かつ冗長すぎない情景描写がお見事。読みやすく、それでいて読みごたえがあります。 わたし自身、リアルに調理&お料理シーンのある小説を書いている者ですが、料理の描写ってナニゲに難しいんですよね。わかりやすく、かつ美味しそうに書かれているのが素晴らしい。 「料理漫画」は数あれど「料理小説」はまだまだ未開ジャンルで、増えるといいのになあと思っておりました。 この小説は、その先駆けとなるかもしれません。期待しております。