戦争論を主体にしてストーリーが構築されているという、非常に珍しい形態の小説です。実際にある本を参考に戦闘が進むので、強烈な説得力があります。
それでありながら、魔女や将軍、勇者などのユニットは、他の異世界ものと同じく個性的であり、中世的戦闘と現代的戦闘の二つが入り混じったような戦争が行われます。これがとても面白い。
戦術は非常に良く練られ、緊張感と爽快感を同時にもたらしてくれます。
また説明は長すぎず短すぎないので、ストレスなく読めます。
魔王軍、勇者側どちらのキャラも魅力的で、どちらにも死んでほしくないという感情を想起させてくれるほど。どうなってしまうのか気になりすぎて読む手が止まりませんでした。
最後は、戦争とは正義と正義のぶつかり合いであること、政治の一手段であることを強烈に印象付けてくれます。なぜ戦争が起きてしまうのか……平和への考察に一つの答えを見出せる小説です。