レビューした作品一覧全30件
「もしも、妖怪マニアが異世界に転生したら…」 そんな妖怪好きには堪らないシチュエーションを題材にしたのが本作品だ 主人公は、不慮の事故で異世界「ヱデンキア」に転生 ヱデンキアは剣と魔法のファンタジー世界であるが、前世の記憶もある主人公は何とか適合していく 元の世界で愛してやまなかった妖怪達の記録は、そっとしまい込んだまま、時は過ぎ、主人公は若者へと成長 そんなある日、彼の耳に入ってきたのは… これ以上はネタバレに近いので伏せさせていただくが、妖怪が絡むストーリー展開は確約できる あと、これが個人的に重要な点 私は「チート的主人公」が苦手なのだが、本作の主人公は能力は高いものの嫌味が無い なので、とても取っつき易いという点が魅力である 残り僅かで第一部が完結ということだが、私としてはもっと色々な妖怪の登場を期待するので、このレビューで応援数が増えることを強く望みたい
「妖怪復権」の光を見た
投稿日:2019年8月19日 改稿日:2019年8月19日
私は「妖怪」とは、現代においてその存在を「科学」によって希薄化された存在だと思っている 昔は得体の知れなかった彼らも、現代ではその神秘を剥がされ、本来持っていた「怖れ」を失った しかし、そんな妖怪にとって厳しい今の世をあざ笑うかのように、筆者は新しい形の妖怪物語を打ち出してくれた それが本作である 本作に登場する妖怪「二口女」のバックストーリーを踏襲しつつ、現代社会が抱える闇を上手く当て込み、新しい物語に仕立て直している その手法は「妖怪復権」 妖怪好きな私としては、まさに目の覚める思いである じわじわと這い寄ってくるような恐怖感を煽る文章と共に、個人的に、大いに次作にも期待したい作品だ
恥ずかしながら、私は本作品に会って、初めて「一言怪談」の存在を知った まず、正直に言おう そして、同時に作者に謝罪したい 最初、タイトルとあらすじを読んでみて「無理だろう」と高をくくった たった数文字で「恐怖」を与えることが出来るわけがない…と だが、本作品を読み進めていくうちに、その考えがいかに浅薄だったかを知った 本作品にある数行の文字には、確かな「恐怖」が宿る 前振りもなく、結末も無いただの一文 だが、読んだ者の想像力を糧に、その文字は予想外の「恐怖」を生み出す 私はこのサイトで物書きを始めて四年が経つ そうして筆を執る中、普段目にする見慣れた「文章」…その日頃気付かない潜在的な力を、本作を通じて改めて思い知らされた気分だった 改めて言おう ただの数文で「恐怖」は体現できる 嘘だと思うなら、本作を読んでみるといい ただし…読み終えた後の保証はしないが
レビュー作品 一行怪談集
作品情報
【閲覧注意】「身の毛もよだつ」妖怪達がズラリ
投稿日:2019年8月16日 改稿日:2019年8月18日
現代において「妖怪」という存在を身近に感じることができる機会は極めて希少である 何故なら、文明の光が彼らの住処である暗闇をあまねく照らし出してしまっているからだ 「妖怪」とは「妖しい怪異」…つまり、正体が分からないからこその存在である 故に、現代の強すぎる光は、彼らを容赦なく照らし出し、その神秘を暴き立ててしまうのだ だが、それでも「妖怪」が滅びることは無い かのアニメの歌にもあるように「お化けは死なない」のだ それどころか、更に進化し、時代に適合し、夜の闇の中から電子の海の中に住処を変え、今も生きている 本作は、その独特の政界の一端に触れたものである だが、面白半分に覗いてみようというならお勧めはしない その軽はずみな好奇心に負けたあなたの目の前に、彼らは必ず現れるだろう その時に後悔しないよう、どうか覚悟して欲しい      【寄稿】怪奇大学妖怪学科 シシシの詩月
語られるから生まれる「怪異」
投稿日:2019年7月19日
「コトリバコ」「きさらぎ駅」「八尺様」…いずれもネットを騒がせ、語られる怪異の数々である これらは、古い神話や伝承、百物語や怪談とは異なり、近現代に生じた「新世紀の怪異」 技術が発達し、無制限に行き交う情報の海で産声を上げた、新しい怪異である そして、ここにまた一つ、新世紀の怪異が生まれた 切っ掛けは遊び半分で行った「怪談」 生まれたのは、恐怖に彩られた「正体不明の存在」 病院という極小のコミュニティでそれは育ち、膨らみ、胎動する そして、出会ってしまった時の恐怖や絶望感は計り知れない あえて、言おう この「トコナシさん」は、今夏最高の恐怖をあなたにもたらすだろう そして、怪異の本質を突き付けてくる もはや、目を背けても、もう逃げられない程に…
レビュー作品 トコナシさん
作品情報
日本有数の観光地「鎌倉」にやって来たのは、恋人に裏切られたヒロイン 傷付き、絶望していた彼女は、何の気なしに鎌倉を訪れ、ある喫茶店に入る そこで知ったのは、鎌倉が持つ「裏の顔」 何と、美しい古都は、実は百鬼夜行の巣窟だった! 鎌倉中を行き交う妖怪、魑魅魍魎に退路を断たれたヒロインは、なし崩し的に喫茶店の店員に就職することに そんな八方塞がりなヒロインは、古都に根差す様々なあやかし達と出会い、交流を深めていく とにかく、読んでいて伝わったのが古都"鎌倉"の魅力 既にデビューされている作家さんなだけあって、入念な取材をされた形跡が見られます そして、物語を彩るあやかし達の存在感も秀逸 物語はまだ序盤ですが、表題からすると、恋愛要素も加わりそう 今後も目が離せない、古都を舞台にした「あやかし物語」 妖怪好きな私が、自信をもってお勧めします!
新機軸の「妖怪噺」ここに怪演!
投稿日:2019年6月5日 改稿日:2019年6月6日
「さあさ、お立ち会い! 寄ってらっしゃい、読んでらっしゃい! ここに語られるは、古今東西の妖怪物語 だけど、そんじょそこらの妖怪物語とは、ちょいと毛並みが違う 何せ、書き手は希代の妖怪バカ、小山志乃師匠だ …ナニ?知らない? ははーん、あんたモグリだね? 師匠が記すのは、ただの妖怪物語じゃあない 洒落とオチが効いた、新機軸の「妖怪噺」ってやつさ しかも、各妖怪のバックストーリーをちゃあんと調べあげて、語ってる当たり、にくいじゃあねェか さあ、もう分かったろ? 妖怪好きな奴なら勿論、そうじゃなくても、こいつを絶対読まなきゃ、後々後悔するってもんだ ホレ、絶対損はさせないから、ちょいと覗いていきな!」
「童話」と「奇譚」…その境界に立つ意欲作
投稿日:2018年12月21日 改稿日:2018年12月21日
「童話」とは、その多くが子供向けの寓話である そして「奇譚」とは、奇妙な物語を指す 本作は、本サイトで展開中の「冬の童話祭2019」に投稿されているが、一度読み始めると、その異質な雰囲気に魅了される 人によっては、少し怖い話に映るかも知れない しかし、それだけで本作を読むことを躊躇うのは、とても勿体ない選択だ このレビューのタイトルに記した通り、本作は「童話」と「奇譚」の境界に立つ、極めて希少な作品と私は考える 多くを語るとネタバレになるが、不思議な余韻を感じる作品だったと一言添える また、物語中の情景も、丁寧に書き込まれているので、とても読みやすい作品でもある 最後に… 本作は、温かいミルクのような温もりに満ちた「童話」ではない また、暮れゆく薄暮に広がる闇のような、見るものを惑わす「奇譚」でもない しかし、確かにその両方を内包する全く新しい物語である
レビュー作品 竜巻テディ
作品情報
私自身は、本作品の作者を「小説家になろう」においても、有数の文章構成力の持ち主だと評価させていただいております ある日、成り行きでど田舎の村にやって来た主人公 そこに住まう素朴な人々と、巻き起こる不思議な事件の数々 そして、少しずつ明らかになっていく謎 展開こそファンタジーの王道なれど、決して飽きさせない展開や設定には唸らせられます また、個性的なキャラクター達に囲まれながらも、埋没せず、光を放つ主人公にも大いに好感が持てました 「王道」とは、既に枠にがあり、そこからずれることなく在る作品であると、私は考えています しかし、本作品は、それを踏襲しつつも、決してそこに収まらない魅力ある作品です 同じく妖怪小説を書いている私としては、この作品がくれた余韻には(失礼ながら)嫉妬すら覚えてしまいました そして、この小説に巡り会えた幸運に、感謝します 感動を有り難うございます!
レビュー作品 羽振村妖怪譚
作品情報
最初に本作品を読んだとき、私が感じた感想は「やられた(笑)」でした 入院中一人の女子と昭和風番カラ男子 最初は、接点などまるで想像できない二人が、数々の小さな出来事を間に、交際(?)していく、その物語構成 そして、脇を固めるモブキャラにも、実は細かな設定が組まれており、一話ごとに明らかになっていくという仕掛け 何より、あちこちに散りばめられた、思わず吹き出してしまいそうになるお笑い これらを、作者が意図して組み込んでいるのなら…そう考えたときに、冒頭の感想が浮かぶのです あと、物語と某童話をもじったタイトルにも、センスを感じました 最後に… これは、単なるボーイミーツガールな物語ではありません 深い森の中を、歩んでいた時、突然姿を現した“お菓子の家” そんなサプライズ感覚の「凸凹恋愛童話」です さあ、あなたも、この物語の森の中へ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?
こんなふざけた詩、心を込めて紹介してやる
投稿日:2018年12月5日 改稿日:2018年12月5日
なろう作家にとっては、作品評価やブックマーク数、アクセス数などの数値は、非常に気になるところ 口では「そんなの気にしない」「別に読んで欲しいとは思っていない」と嘯きつつも、その上昇下降に内心、一喜一憂するのが常です この詩は、その作品評価に辛ーい点数をつけた「クソども」に向けた、辛ーいメッセージ(現在は、ブクマ外しに対象が移行しているようですが) 作者には申し訳ありませんが、特に良さとかは書きません 私に言わせれば、そんなものは、この詩には必要ない ただ、読み終えれば、誰もが「そうきたか」と思うでしょう その巧さを余韻として感じれば、この詩の味の深さが分かるはず さあ、クソども もっとこの詩を読め そして、その味に、ただ唸れ これは、素晴らしいクソが書いた、数多のクソどもへの「口汚い応援歌」なのだから
ネタバレしてしまうので、詳細な説明はできませんが、読んで終わった時、素直に「ああ、この二人には幸せになって欲しいな」と感じた詩です そして、タイトルにもあり、この詩のキーにもなる「柚子」のさわやかな香り…それが、この詩が残してくれた余韻でした また「柚子」の花言葉はいくつかありますが、その一つに「恋のため息」という言葉があります 何となくこの詩には、その花言葉が相応しいと感じました 結びに、この詩は「単なる惚気話」ではなく、柚子湯に浸かった時のような「ホッとする作品」でもあります 皆さんもぜひ読んで、ほっこりされてしまってください
まだ、夜の闇が人間のものではなかった時代 その中に蠢く「何か」…それを理解し、我がものとするために、人はその何かに名前と姿を与えた それが「妖怪」である 彼らは、私達が抱く畏怖や信仰によって、永く存在し続けた 時代が変わって現代、様々なサブカルチャーにその姿を残しつつも、彼らはどこか眩しそうに私達を見詰めてくる きっと、私達人間が築いた文明の灯が、彼ら「妖怪」には眩しすぎるのだろう 怪異は正体不明だからこそ、より濃く闇の中で存在感を放つ そうした意味では、本作は「本当の妖怪」の姿が、生き生きと描かれた希少な作品である それなりの数の妖怪小説を読んできた私には、これはある意味衝撃だった いわば「原点回帰」 本作は現代の文明が灯すぼんやりした灯に、往年の覇気を失いつつあった彼らの…怪異として在った本来の姿を思い出させてくれる秀作である 妖怪好きにはぜひお勧めしたい
レビュー作品 妖怪白記
作品情報
これはただの「記録」ではない
投稿日:2018年7月30日 改稿日:2018年7月30日
ごく普通に結婚して ごく普通に子供を授かると思っていました でも、コウノトリはやって来ませんでした 昔は「子供が出来ないのは、女性のせい」と言われていましたが、それは明らかな間違い 大体、子供は夫と妻が協力しつつくるもの 全て女性のせいにするのは、そもそもの間違いなのです 「自分に原因がある」と認めることが出来る男性は、その実、あまり多くはありません でも、よく考えてください 鳥の翼は左右に一つずつ だから、大空を羽ばたけるのです 子作りも同じです 本作は、筆者持ち前の明るさとユーモアでぼやかされていますが、普通に子供を授かった家庭が思う以上の苦労と努力、そして「出来ることはやる」という前向きな考えが根底に秘められています 繰り返します これはただの「記録」ではない 「生命」と向き合い続けた…そして、いまなお戦い続ける夫と妻たちへの勇壮な「戦記」なのです
すれちがいなジグザグ・トライアングラ-
投稿日:2018年7月16日 改稿日:2018年7月16日
その少年の恋は、最初から勝ち目がなかった 別の少年の恋は、最初から一途だった そして、少女の恋は最初から答えが出ていた 思春期の少年、少女達が憧れる「恋愛」…それが微妙に掛け違われ、彼らの恋は奇抜な、しかし魅力的な物語として回り始める 恋に悩む三人の少年、少女…それぞれが抱く純粋な想いは、読者を物語の世界へと引き込みます そんな中で煩悶する主人公の感情が、時にコミカルに、時にシリアスにストーリーにアクセントを与え「ジョーカー」であるヒロインがかき回し、強烈なインパクトを残してくれます ありがちなようで、ありがちではないこの三角関係 その結末は、不思議な余韻を残してくれるでしょう 最後に…この物語に悪人は登場しません 故に、どろどろとしない、妙な清涼感を感じました そんなライトな恋物語が好きな方には、お勧めの作品です
インターネットにより情報の奔流が絶えることのない現代 そんな日常の歪みに、一滴の闇が投じられる その闇は、希薄になることなく、拡散し、濃度を増していく 何気ないネット上のやり取りから生じた“ううち”の話 それはまさしくそんな闇の一滴そのもの 本作の登場人物は日常の中で、徐々に“ううち”という怪異に侵食され、非日常への境界を越えていく 信じあい、愛し合う絆を武器に“ううち”と対峙する登場人物たち そんな彼らを終焉で待つものは何か…? 私達は目に見えるものを真実と信じ、それ以外のもの禁忌や怪異を認めようとしない だが、本作は伝える 「目に見えないもの、そして禁忌とされるものはある。そして、触れるべきではない」 だから “ううち”を知れば…もはや、逃げることは叶わないのだ…
「妖怪」と聞くと、恐ろしいイメージが第一に浮かんできます 事実、古くからある妖怪たちの伝承は、怖くて、物騒なものが多くあります そんな妖怪も、本作の中ではとても人間くさい一面を見せてくれ、ヒロインである夏織とさまざまなエピソードを通じて、その魅力で読み手を楽しませてくれます そして、人の身でありながら妖怪と共に生きてきた夏織の言葉は、時に現実を生きる私の心にも染み渡りました 作中では、出会いがあり、笑いがあり、時に涙もあり…読み終えた後に残ったのは、切なさと優しさでした 人と妖怪の狭間を生きる一人の娘と、数多の妖怪たちが織り成す「あったかい幻想郷の物語」 さあ、あなたも皆が待つ「隠世」へ足を踏み入れてみませんか…?
今日も肉体言語(のりと)が 吹き荒れる~ ルール無用の妖怪(あくとう)に~ 正義の延髄(切り)決めてやれ~ 行け 行け 或子~(或子~) 退魔のレスラー~♪ 「巫女」…あなたが彼女達に抱くイメージはどんなものだろうか? 「清楚」「可憐」「純潔」 色々あると思う だが、ここにいま、そうした既存の概念を打ち砕く、全く新しい巫女の形が誕生した…! その名も「巫女レスラー」! 彼女は退魔の巫女ではあるが、レスラーではない しかし、護摩壇(マット)の上で激しく、果敢に立ち回るその姿は、まさしくレスラー! エルボーが、キックが、スープレックスが…! 闇より現れる邪悪な存在を、巫女のイメージごと打ち砕く…! 人よ、今こそ刮目せよ!その勇姿を…! 鍛え上げた肉体と技、不屈の闘志で戦う彼女は「巫女レスラー」! その姿は、いかなる可憐なヒロインよりも美しい…!(はず)
レビュー作品 巫女レスラー
作品情報
『カフェ まよい』本日も満員御礼(ただし、全員妖怪)
投稿日:2018年3月11日 改稿日:2018年3月12日
妖怪達が住む「妖異界」 そこには、人間の女性…真宵さんが切り盛りする甘味茶屋があります 美味しいおはぎに饅頭、ところてんの他に、売り切れ必死の絶品ランチが大人気 その人気は、お持ち帰り用のおはぎを獲得するため、百戦錬磨の天狗達が一触即発になるレベルです(笑) 毎回、美味しそうなメニューが登場し、それを食べた妖怪達による「食レポ」がおなかを刺激してくれます そして、ほんわかしたストーリーも大変に美味 何よりも、妖怪好きの私は、次々と登場する日本古来の妖怪達に大満足な作品です いわば、これは何の争いもなく、誰も不幸にならない、美味しさと優しさがトッピングされた「ほのぼの百物語」 その証拠に…ホラ、ちょっと覗いてみてください 今日も「カフェ まよい」は気のいい妖怪達で満員御礼、絶賛営業中なんです♪ せっかくですし、皆さんも少しだけ私と一緒に一服していきませんか…?
あなたは、誰かに恋をしていますか…? それとも、素敵な出会いを探している最中でしょうか…? ここは、少年と少女たちの秘めた想いが交錯する「恋の交差点」 甘酸っぱさとほろ苦さ、焦れったさがトッピングされた、恋愛オムニバスです 登場人物達は、互いに繋がっており、そして“誰かを好きになって”います 各々が抱く想い 恋愛に対するスタンス そんな彼ら・彼女らの心情を見事に描写している作者に、力量を感じます 新しい恋を夢見ているあなた この作品を読めば“きっと誰かに恋をしたくなる”こと受け合いです!
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