レビューした作品一覧全2件
これは、『すべてとある人に捧げる詩』である。 では、ここに記されている《貴女》はいったい誰なのか?これが、この詩集を引き付ける最大の魅力である。詩の断片から少しずつ見えてくるが、雲を掴むかのように実像としては現れてこない。 彼女なのか、母なのか、娘なのか、それとも片思いの相手か? いつの出来事なのか? 生きているのか、死んでいるのか? はたまた、実在しているのかしていないのか? 最初はそんな疑問符とともに、読み進めていくが、日常の一ページを切り取り、二百文字程度の言葉で思いを綴っていく、橋本氏の繊細な言葉遣い、文字の息遣い、世界観に吸い込まれ、そんなことは些末なことの様に思えてしまう。 そう、これは詩という形式の、一つの恋愛物語である。 そして、徐々に見えてくる関係性。予想される結末。 現在、約90篇。100篇の詩が捧げられたとき、一体どんな結末を迎えるのでしょうか?
タイトルだけでは何を言っているのか伝わらないでしょう。当然ですよね、結婚というのは互いに愛し合ってからするものだからです。 この物語の舞台は架空世界の人間と竜人という異なる種族がいる国で、貴族の竜人のジークと人間の娘のディアナが結婚したお話です。 ディアナにとっては突然家族が決めた結婚で、夫婦なのに互いに距離間があります。当然ながら二人の間には人種、家柄、思想と様々な違いがあり、それらを埋めるであろう時間が圧倒的に足りないのです。 そんな二人ですが、ジークがディアナの心の壁がゆっくりと溶かしていきます。少しずつ表に出る彼女の表情に、ジークと同じくときめきを感じてしまうでしょう。そしてきっと、彼女の中でジークへの好意の感情が自覚できる日がきたときに、読者もきっとジークの感動を共有できるのだと思います。 そんな甘酸っぱい恋愛を読みたいという方は、この作品を読むことを強くお勧めします。