レビューした作品一覧全2件
ひたすら面白い勘違い
投稿日:2020年3月4日
 何の意図もしていないのにバンバンとストーリーに嵌まっていく主人公の行動は、全て勘違いによるもの。彼以外は皆それを深く読み、勝手に悩み、勝手に坩堝にはまり、勝手に尊敬する。  面白い。ただひたすらに面白い。  勘違いをストーリーに嵌め込み、違和感を抱かせないのは並大抵のことではない。しかし、著者であるエルティ氏はこれをいとも簡単に成し遂げている。この筆力の高さには感服するばかりである。この作品は間違いなくエルティ氏にしか書けないものであり、エルティ氏が楽しんで執筆しているであろうことが文章の端々から伝わってくる。次々と予測不可能なことが起きるストーリーも素人の域を越えている。  これからどのように展開していくのか、非常に興味深い作品であると言えよう。
稀代の名作冒険小説
投稿日:2016年2月12日
文章やストーリーに粗が無く、ところどころにしっかりと伏線を潜ませてある、非常に優等生的な作品。緻密且つ繊細に市場原理を計算し尽くされているようにも感じるが、それでいて良い意味で冒険をしていない。また、流れるような文体でありながらも印象を深く刻み付ける表現方法を可能としており、天才的と言わざるを得ない。この作品、『ギルドinバーミィーシティ ~翡翠~』は間違いなく星見つむぎ、この人にしか書くことの出来ないものであり、文章の端々から著者がこの作品を心から愛しており、楽しく執筆しているということが伝わってくる。推測不可能な出来事が次々と起こるオールラウンド性を取っても、素晴らしいの一言に尽きる。得体の知れない迫力があり、読者を引き付ける魅力も兼ねた『完成した未完成の美術品』としてとても興味深い作品であるといえよう。