何の意図もしていないのにバンバンとストーリーに嵌まっていく主人公の行動は、全て勘違いによるもの。彼以外は皆それを深く読み、勝手に悩み、勝手に坩堝にはまり、勝手に尊敬する。
面白い。ただひたすらに面白い。
勘違いをストーリーに嵌め込み、違和感を抱かせないのは並大抵のことではない。しかし、著者であるエルティ氏はこれをいとも簡単に成し遂げている。この筆力の高さには感服するばかりである。この作品は間違いなくエルティ氏にしか書けないものであり、エルティ氏が楽しんで執筆しているであろうことが文章の端々から伝わってくる。次々と予測不可能なことが起きるストーリーも素人の域を越えている。
これからどのように展開していくのか、非常に興味深い作品であると言えよう。