レビューした作品一覧全45件
箱入りのお嬢様は世間知らずだし、純真すぎて人を見抜く術を持ちません。 だけど、どんな人にも、絶対に物事を見謝る事のないアンテナが内蔵されています。 ずばり、恋のアンテナ。 マッドサイエンティストも、なんにも知らないお嬢様も、恋のアンテナを生まれつき備えています。 ある日突然、それが作動すると、とたんに世界が色づき始めるのです。 恋のアンテナは正確。 自分自身のことすら分からなくなる時があるけれど、このアンテナの受信感度はいつも最高。 物語をハッピーエンドに導くには、このアンテナに従う必要があるのです。 初めての気持ちに戸惑うマッドサイエンティストと令嬢の恋の行方を、はらはらしながら、見届けてください! どこか童話風な雰囲気も微笑ましいです。
 愛する彼女を振り向かせるために、何度でも告白します。  振られてもめげません。  彼女の心を掴むため、恥も外聞も捨て、時には命がけで告白します。  多分彼は、彼女が振り向いてくれるなら、惑星の一つくらい、破壊することでしょう。  回が進むにつれ、壮大かつシュールになってゆく「告白」。  「もう、いいかげんにしときな」と思う一方で、「おお、距離が縮まった、頑張れ」と応援したくなるのです。  ウン千万年単位の距離の縮まり方ですけれどね!  なにしろ、スタート地点が三億五千万年離れたところですから。  難攻不落の彼女に、今度はどんな手で臨むのか!  ぜひ手に取って読んでみてください♪  きっと目が離せなくなるはずです。
レビュー作品 告白
作品情報
おっぱい大好きムラムラをこじらせた独身中年男子のところに、ある日転がり込んできた可愛い女の子。 どうにでも料理できる、この上なく純粋な素材です。 主人公は己のおっぱい愛を満たすべく、女の子(のバスト)を育成します。 健やかに育ってゆく女の子(と、そのバスト)。 それを見守る主人公のまなざしは、助平なようで、いつだってどこか切なかったのでした。 どうなってしまうんだろう。 このまま何事もなく、いつまでも続くホームドラマではないはず。読み手は期待しながら読み進めることでしょう。 そして、ラストで味わう独特の衝撃。 麗しのおっぱいは、きっと、愛で満ち足りているから、こんなに魅力的なのだ。 貧乳派も巨乳派も、男性も女性も、大いに楽しめる作品です。
 もともと食べ物テーマの作品は好きです。  こちらの作品はツイッターでお見かけして、面白そうかな、程度の気持ちで一話つまみ食いしてみたのです。    そうしたら存外に旨くて。  一話読んだだけで、トリコとなりました。  あっという間に公開されている全話を拝読してしまい、まだ読み足りない、もっともっと、と、お代わりを叫びたい気持ちになっております。  わたしが主婦で昭和生まれだからというのもあるのでしょう。  書いてあることが、よく分かるのです。  懐かしい駄菓子屋やアイスのこと。  鍋やコロッケ。分かります。美味しいです。    美味しいのと懐かしいのとで、食欲が増進されます。  ああ、いいなあ、これまた食べたいなあとしみじみ思います。  昭和生まれの方ならばぜひとも。  お若い方にももちろん勧めたい、懐かしくて美味しい食べ物エッセイです。 
レビュー作品 酒嚢飯袋
作品情報
 妹が、丹精込めて育て続けたブルーサファイヤ。  貧しい兄と妹は、ひっそりと互いを思い合っています。  もちろん言葉に出して伝え合えるような思いではなく、その人生をかけ、清いまま無言で沿いつづけるような愛でした。  物言えぬ妹の思いを代弁するのはブルーサファイヤ。  すくすくと美しく成長し、花をつけ、紅葉する。  告げることのできない愛や、交換することのできない慈しみの思いを、ブルーサファイヤに注ぎ続ける妹。  その情に応えるかのように、ブルーサファイヤは見事に咲き、紅葉します。  「ブルーサファイヤが紅葉してる」  ただそれだけの妹の言葉が、紅く色づく心を表わします。  ラストの台詞「秘めていた色も見てあげて」に涙が零れそうになります。    告げることのできない心と、物言えぬ花の紡ぐ、悲しい美しい物語です。  心打たれる事でしょう。  ぜひお読みください。
 暗く湿った空気感が続く、残酷な童話風のものがたり。  血のにおいが常に漂い、ぐっと胸が苦しくなるような背後の恐怖を覚える。  美しい少女と、血の色をした瞳のけだもの。  どんなに足掻いても逃げられない、不条理な定めを描いたような、狭くて息詰まる世界観。  紐解けば、グリム童話を煮詰めて濃くしたような、おどろおどろしくも幻想的な展開に引き込まれます。  どろっとして、ぞうっとする赤いものと  凄烈で冷たく、闇で光るような透明なもの。  おぞましくて目を背けたいものと  美しく鮮やかな官能。  相対するものが共存し、不思議な味わいを醸し出しております。  流れるような文章の、濃厚なファンタジィです。  素晴らしいと思います。  ぜひ、ご一読ください。
レビュー作品 狼の水
作品情報
 クズと呼ばれ、いじめられる高校生活はいかなるものか。  クラスの生徒たちも、先生たちも、状況を見抜いてくれない。  むしろ、いじめ側の生徒が良く見えている。  いじめる側は、いじめられている側の、淡い恋心すら見破り、面白がる。    生き地獄だ。  生き地獄の中で、心はどんどん竦んで行き、臆病になる。  この状況下で、どうやって勇敢に、行動的になれるというのか。  自分を護ることで精いっぱいの主人公、楠。    この物語は、哀れな楠を通し、果たして何がクズなのかを読み手に問うものとなっていると思う。  ホラーである。  そして、書き手様の端整で冷たささえ感じる文章は、ホラーと大層、相性が良い。  ぞくぞくするような暗闇を、あなたも覗いてみませんか。
レビュー作品 クズの苗床
作品情報
愛おしい、緑のともだち
投稿日:2017年9月21日
人間に善いものを与えてくれる神様だけど、なかなか姿を現すことがない。 とても孤独ですが、その孤独こそが、人々への愛の証なのだとしたら、これほど切ないことはありません。 少年ギギは、そんな切ない存在です。 自分の姿を忌み嫌う人々を、憎んだり、害を与えたりすることはありません。 ただ、そっと姿をひそめ、遠のくだけ。 彼が味わってきた痛み、傷は、人の理解を越えるでしょう。 それでも彼は、手を差し伸べることをやめません。 孤独を受け入れながら、人々に寄り添い続ける姿が、愛おしくてなりません。 少女ララとの触れ合いは、彼の心を温めたでしょうか。 心に染みるようなおはなしで、色々なことに思いを馳せました。 ぜひたくさんの人に読んでいただきたいと思い、レビューをさせていただいた次第です。
レビュー作品 緑色の友達
作品情報
 更新を楽しみにし続けて来たこの作品が、ついに完結を迎えました。  この機会に、たくさんの方に作品を紐解いていただきたくて、レビューを書きました。  この作品の魅力は一つに絞れません。  とにかく文章が綺麗です。読みやすいのでした。  研ぎ澄まされた感じがあり、読んでいて心地よいです。  戦闘場面の描写の迫力もイチオシです。毎回、鬼気迫るものを感じてきました。  ホラー風味、恋愛風味、青春風味。  いろいろな味わいがありました。  人物たちも個性豊かです。悪役であっても、読んでいるうちに愛着を感じてしまいます。  きっと、お気に入りの人物ができると思います。  色々な角度から楽しめる作品です。  ぜひ、ご一読ください!
お寺の和尚様のおはなしなのに、何でこうなるのか。 「下ネタが多すぎる」と思われる真面目な読み手さんもおられるかもしれません。 だけどわたしは、そのハイテンションお下品に、完全にやられました。 声を大にして、熱く叫びたい。 「ここに傑作があります」 ……と。 全裸になる。 大変なものに仮装する。 物置は開けるな危険。 (坊さんなのにっ、お寺なのにっ) これでもかと畳みかけてくる展開に、腸が捩れるほど笑いました。 下ネタOK、むしろ歓迎な読み手さんに、ぜひお勧めしたい作品です。全3話なので、すぐに読めますよ♪
前を向いて、生きて、生きて。
投稿日:2017年5月17日
なんて美味しそうな食事風景だろう。 ものがたりを拝読しはじめた時はそう思った。 香るような描写だった。さぞかし旨かろう、料理上手な奥さんだな。単純にそう思った。 だが、ものがたり中盤から主人公の事情が見え始めた。 大事なものがあり、それに時間や労力、思いを費やした人生。 だけど、ここから先は進めない。どうしても、なにをどうあがいても、努力とかの問題ではなく、理不尽に、絶対的に、だめ。 すとんと落ちた絶望の壁に、淡々と手続きをしている姿に、人生の重みを感じた。 だけど大丈夫だ。背中を見ている人がいる。側で過ごしてくれる人もいる。可愛い存在もいる。 どんな時でも、必ずなにか、輝きがある。 夢なんか見えなくなっても。簡単に死ねるわけがない。 思わず涙が込み上げた。 たくさんの人に読まれますように。
レビュー作品 人生の半分
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 人生の酸っぱさを味わったことのある人ならば、恐らく皆、この作品に惹かれるはず。  肉体面も、メンタル面も、決して頑強ではない主人公。彼は本当の苦労を未だ知らないままです。  奇妙な精神世界と、思うようにいかない現実のリンクに違和感はなく、どこかリアリティを感じます。  複数いる自分と対話するような精神世界の描写は、未だ社会の理不尽さを味わっていない甘さを匂わせます。  ですが、その甘さ、弱さを責めることができる人が、どれほどいるでしょう。  漠然とした不安の海で、ぼんやりと溺れかけていた主人公ですが、終盤では、しがみつく流木も見つからないまま、泳ぎ出そうとしているようでした。  誰しも通る道を、幻想的に印象的に描き出した作品だと思います。
ショコラ様とアン様。 洋菓子と和菓子の令嬢同士が、光の君を巡って一騎打ち。 舞台は学園(なんと中学校!)。 バレンタインデーの勝利を巡り、なんとも甘く華やかな戦いが始まった。 ショコラ様もアン様もまことに美麗なお二方。 お二方から好意を寄せられる光源氏君も、超絶イケメン。 女性だけじゃなく、生きとし生けるもの全てがお目めをハートマークにしちゃう位の、壮絶なキラキラ笑顔の持ち主だ。 チョコと餡子のどちらが光源氏のハートを射止めるのか。 意外な展開に釘付けになるはずです。 この作品、すっごく面白いですよ!
レビュー作品 スイーツ戦争
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掘り出し物を見つけてしまった♪ 拝読して、「お得な」気持ちになりました。 一時期、中国語を独学で勉強しようとしたこともあったのです。 残念ながら長続きしませんでしたが、その時にこのエッセイを読んでいたら、中国に興味が出て勉強がはかどって、今頃はちょっと位、話すことができるようになっていたかもしれません。 このエッセイ、オタク、美少女戦士、整形……その他諸々、興味深いネタが満載です。 毎回、素敵なネタをチョイスされる書き手様のセンスに脱帽です。 中国が面白く、楽しく思えて来ましたよ! 日本と似ているようで全然違う感性の国。中国人のお友達が欲しくなる!ナイス中国♪ 中国に興味がある方も、そうでない方も、楽しむことができる読み物だと思います。 お勧めです。
恋人から、癌であることを告げられる。 それも結婚を考えるほど思っている相手から……。 好きな気持ちは真実なので、ずっと側にいたい。もちろん看病だってする。 だけど現実は「一緒にいたい」という思いだけで突っ走ることができるほど易しくはない。 仕事と看病の両立の厳しさ。 友人からの、結婚しましたというお知らせの葉書。 あらゆることが、自分の頑張りに報いてくれない。 なにをもって幸せと考えるか。 好きな人の側にいられれば満足か。 健康な者同士で結婚し、やがて子を作ってゆく未来が欲しいのか。 愛の踏み絵を踏まされるような苦悩の末に辿り着いた結末。 ラストまで一気に拝読し、わたしは思わず涙した。 愛する人に最後まで寄り添うことができることは、ある意味幸運だと思う。そこには鋼のように強い心があるはずだ。 だけど、寄り添い続けることができなかった場合でも、愛は、確かにあると思った。
レビュー作品 キミのトナリ
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きらきらした女の子には、そうなる過程があったわけで。 大人になるにはいくつかのハードルがあり、難易度は人によって様々だと思うのです。 かなえちゃんにとって、「チャイルドからガール」になるハードルは、難所のようです。 心で願っていることに素直になれない現実の自分。 「あたしなんて」と、周囲の素敵な女の子と常に比べてしまう劣等感……。 好きな男の子を「好き」と認めることすら、相当の苦労があった、かなえちゃん。 だけど、それができたならば、きっと、難所のハードルも自然に超えられると思うのです。 「バレンタイン」間近の、女の子たちのきらきらした感じも、存分に味わえますよ。 本編の「黒いネコの友達」をまだお読みでない読み手さんにもお勧めです。 きっと、「ああ、わかる!」と、共感する部分が、たくさんあると思います。
紐解いて拝読を始めたのは、物語が5章を迎えてからでした。 最初に惹きつけられたのが、深町さんという登場人物です。 彼女の「障害」は謎めいており、その深い孤独が見えて、どんどん読み進めてしまいました。 「人とは違う自分」を持て余し、生きているだけで傷ついている深町さん。 彼女に惹かれる主人公、南朋。 傷ついた黒猫が縁となり、深町さんを中心にして人間関係ドラマが展開してゆきます。 百瀬君という南朋の幼馴染もミステリアスです。 南朋の言動に気を尖らす様子は、彼もまた何か傷を負っているのだろうと予想させます。 やがて人間関係が展開され、同時に少年たちの心の傷も明らかにされるのでした。 少年少女たちの、歪な様は、どきっとするほど美しい。 様々な表情が豊かに伝わるのは、書き手様の表現力の賜物です。 傷を知る人ならば、この作品は、きっと、響くものがあると思うのです。
近代ヨーロッパの歴史に興味をお持ちならば 是非お手に取っていただきたい作品です。 そうではない方でも、ドラマチックなものが好みならば きっと引き込まれる事でしょう。 書き手様の文章は見事であり 拝読しているうちに目の前に情景が現れます。 文章に奥行きがあり、 特に細かく描写されていない部分であっても 古めかしく品のある家具や 人物のまとう服のひだまで読み取れるように感じました。 美麗な人物も作品の魅力の一つです。 これは、史実に対する 書き手様の知的好奇心と深い知識が土台になった 優れた青春小説だと思います。 華麗な海外ドラマを見ているような心地になりますよ!
レビュー作品 君影草
作品情報
既に多くのファンを魅了する 「恋するプリンセス」ですが この度、遅ればせながら完読させていただきました。 読み切ってから一晩たった今なお 作品の世界がキラキラと頭の中で巡っています。 様々なトラブルが 畳みかけるように襲い掛かってくる様は ジェットコースターのようでした。 半分まで拝読した以降は 先が知りたくて一気に拝読しました。 幼い少女の頃の 「お姫様と王子様」への憧れも 大人になってからの 恋愛への甘い期待も ぎゅうっと濃縮された、素敵なストーリーだと思います。
ここで紡がれている言葉たちは 書き手様の心の動きを描き出す絵の具のようです。 それは透明感のある鮮やかな色彩です。 数々の詩を拝読すると、 書き手様の真摯なまなざしが忍ばれます。 同時に懐かしい記憶や 自分の中の大事な思い出の中から響くような 澄んだ音色を感じます。 清い流れに手を浸したような 涼しい風に髪をあおられたような気持になります。 心を描く言葉の絵の具が美しい絵画を描けば描くほど 凄烈なものが潜んでいるように感じました。 こんな汚れのない言葉の使い方、 わたしには、できないかもしれない。
レビュー作品 おんきょう
作品情報
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