彼女には、赤い世界が“視”える。
身震いするほど美麗な赤が。
逃げ出したくなるような残酷な紅が。
在りえないみたいな無機質な朱が。
そんな世界が、彼女には“視”える――いや、“視”えてしまう。
見えないことは、存在しないことではない。
たとえ“視”えなくても〈彼ら〉は確かにそこに居る。
人のように笑うモノ。人のように泣くモノ。人のように騒ぐモノ。人のようにくつろぐモノ。
そして――獣のように喰い殺すモノ。
彼女は対峙する。失った何かを取り戻す為に。
それが物なのか、居場所なのか、時間なのか、心なのか、それとも――全てなのか。
その答えを“視”る為に、彼女は赤い世界を征く。
たとえ、代わりにその命を失うことになろうとも。
異彩にして異才・ヒメノムラサキが描くホラー活劇第一弾。
全ての物語はココから始まる!!