数々の美しい宝石も元は原石。
輝くためには相応しいカットと研磨が必要です。
この物語は原石のような若者たちの群像劇であり、衝突したり摩擦が生じたりする過程で散らす激しい火花の奥に、宝石の輝きの一端を見出す喜びが魅力の作品です。
思春期の繊細な感性は、マイノリティを受け止めるには時に脆すぎます。
それ故に傷つき傷つけあいながら、彼らは自らを、そしてお互いを受け止めねばなりません。
その繰り返しによって、きっと原石は徐々に輝きを増し、やがて本物の美しい宝石となるのでしょう。
静かな語り口で紡がれるこの物語は、水盤の表面のようにとても繊細で美しい透明感に満ちています。
目を凝らせば、その透明な世界の住人である少年少女たちの不器用な優しさに心を締め付けられたり、逆に優しく癒やされたりするかもしれません。
このナイーヴで透明な世界をぜひ覗いて見てください。それはとても美しい。