レビューした作品一覧全155件
穴の空いた袋に金貨を入れても
投稿日:2020年1月17日
穴の空いた袋に金貨を入れるとどうなるか? 答えは簡単。 ……貯まらない。 この作品のヒロインがまさにそんな感じ。 どんなに必死に働いても、持って生まれた損な性格が災いしてか、まったくお金は貯まらない。 かえって借金は膨らむばかり。 だが、そこがいい!! 世のため人のため、ある時にはオークのため!! 文字通り(?)一肌脱ぎます、的な健気な娘っ子とそのお伴の狐モドキが繰り広げる珍道中。 あ、言っておきますが【ヒロイン】って言っても元は男なのだ? うん……? うーん……ま、可愛いからいっか!!
時よ止まれ!!もしくは戻れ!!
投稿日:2019年12月15日
もし、目の前で起きる悲劇を回避できるなら。 時間を止めたり、巻き戻したりすることができるなら。 そんなことを考えなかった人がはたしているだろうか。 時は前にしか進まないけれど。 やり直せるならやり直したい。 特に戦争と言う悲劇の元にあっては。 人類の歴史において、戦争のなかった時代などない。 そして争いは数え切れないほどの悲しみをもたらしてきたのだという事実。 時折、気分が悪くなるような残酷描写もあるものの、それが戦争の現実。 眼を逸らしてはいけない。 読めば読むほど、引き込まれて行くのがわかる、素敵な挿絵つき。 この際だからシリーズ全部読んでしまえ!!
一等前後賞1億円?!
投稿日:2019年12月6日
宝くじが当たったら……もう、働かなくていい。 嫌な上司の顔を見なくて済む。 嫌な思いをしなくても済む。 でもそんな夢みたいな話、あるわけがない。 人は基本的に働いて稼ぐようにプログラムされているはずなんだけど? 登場人物につけられた謎の氏名。 その意味を悟る時、あなたは慄然とする。 人生とは、生き方とは? 夢は見るものではなくて、叶えるものだ!! ……なんて言った奴、この作品を読んで自らの思いを戒めるがよい。 世の中、そんなにうまい具合にはいかないものなのよ……ってか、シリーズ化って!!
宇宙は果てしなくどこまでも
投稿日:2019年11月17日
数え切れない数値のことを天文学的数字と言うぐらい、宇宙にはまだまだ人類の知らない謎がある。 そんな宇宙を開拓し、新しく人が住める場所を造ることをはじめた人類。 でもそれは新たな戦争の始まりでもあった。 戦いには向かない優しい性質の主人公はしかし、彼の信念を貫くため、大切なものを守るために戦いの場に身を投じて行く。 何度も傷つき、悩み、迷いながら。 まさに往年のロボットアニメのような重厚なストーリー。 映像化した時のことを頭に浮かべながら読むと楽しいです。
衝撃の結末はCMの後で!!
投稿日:2019年9月26日
テレビを見ていてイラッとする瞬間。それは。 一番続きの気になる場面で【続きはCMのあと】という字幕が出ることだろうか。 いいから早く続きを見せろ!! ……そんな視聴者の叫びを無視してまで、なぜCMが必要なのか? 当たり前と言えば当たり前だけど、何だってそう。 『売るため!!』 世の中に認知され、知られなければ埋もれてしまう……それは「なろう」における良作と同じ。 いや、本題はそこではない。 私が何を言わんとしていたのかは、本文を読めばわかる。 ……この作者がいかに関西人の原点(?)を突いているか。 漫才。 それは、ボケとツッコミ。 でも、漫才とは何か? その神髄を私も知りたい。 この漫才コンビが【CM】について何を語るのか。 その奥深さを語るには、あまりにも時間が足りない。 どうでもいいけど、焼けたトーストって【危険が危ない】と同義語?
THEマイペース
投稿日:2019年9月8日
政略結婚により他国の、それもかなり年上の王子様に嫁いだヒロイン。 陰謀や愛憎渦巻く、ドロドロの重い話……では決してない。 むしろほのぼの、肩の力を抜いて気軽に読める。 マイペースだけど、とても優しくて器の大きいヒロインの旦那様。 年上男性の良いところを充分に凝縮した、理想の夫像ではないでしょうか。 初めは旦那様である王子に振り回されているように感じるヒロインけど、一緒に行動するうちに、だんだんとその良さがわかってきて……。 平行線はやがて、いつか交わることになる。 そんな感じ。
結局、あの人物はなんだったのか?! 真相はなんだったのか?! 誰も自分の言うことを信じてくれない恐怖。 本当は何が起こったのかわからないまま終わる恐怖。 これがミステリーだったら、エタりやがってふざけんな!! ……となるかもしれないが、この作品はホラーだ。 もしかしたら、こうかな……? それとも? あれこれ考えてみるともう、止まらない。 幼少時、何者かに誘拐され、自力でなんとか助かったとある少女。 しかし、彼女のその後は……? あいつは結局、誰だったんだ?!
実はとっても恐ろしい童話たち
投稿日:2019年8月31日
お祖父さんは山へ芝刈りに、お祖母さんは川へ洗濯へ……このプロローグを知らない日本人はおそらくいないだろう。 そもそも童話というのは、子供が読んでも問題ないようにかなり表現を押さえてやわらか~い物語にしてはいるのだけど。 実は恐ろしい裏話があったのだ。 キャラクターにはモデルがあり、題材になった歴史上の【事実】があるのをあなたはご存知だろうか?! 桃太郎って何? そもそも鬼ってどういう存在?! その真実を知った時、あなたは驚愕するに違いない。 そもそも。 なぜ、鬼は退治される必要があったのか? そのことを深く考えてみて欲しい……。 今どきの世相を反映した、ちょっと皮肉の効いたリアルな昔話……かもしれない。
レビュー作品 リアル桃太郎
作品情報
幸り……こう書いてなんと読むか? 【こおり】 なのだそう。 そう。義理と人情の世界に生きる奴らの、熱くて冷たい物語。 人生は甘くない、世の中も甘くない……そこに登場するのはリスとペンギンだけどね。 ……何を言ってるかわからない? 読めばわかるさ!! 童話のジャンルにハードボイルドと任侠を詰め込んだ、でも違和感がまるでない、たとえて言うならメロンに生ハムのようだ。 絶妙な味の組み合わせをお楽しみあれ……。
和風(中華?)ファンタジーでありながら、かつ現実世界にも馴染んでいる、少し不思議な物語。 細かく造りこまれた設定にはただただ、感嘆の息が漏れるのみ。 複雑な生い立ち故に、不遇の身に甘んじる事情ありヒロイン。 そして。 そんな彼女を妃に迎え、優しく見守りながら、あまりにも不器用で、周りからも誤解されてしまう主人公。 『じれじれ』そう、まさにそれ!! 互いに置かれた立場、関わる様々な事情。 そんなものはすべて無視して、ただ愛のまま、思うままに生きることができたなら……!! それにしても人の『情念』というのは、こうも強く激しく、周囲に影響を与えるものなのです。 引いては全世界をも。 果たしてヒロインが真実の愛を、幸せを手にいれることができるのか。 注目っ!!
お盆休み。台風は来るわ……暑いわ、どこにも出かけたくない。あるいは、どこに行っても人混みで待たされる。 そんな空き時間に。 何も考えないでボンヤリ読める、そんな作品を求めてはいないだろうか。 ダメ人間コンテスト……!! なんじゃそりゃ。 己の恥ずかしいエピソードを武器に、なんかもう、よくわからないバトルが繰り広げられる。 決して真剣に読んではいけない。 頭を空にして、ぜひ。 個人的にはバツイチ子持ちのお姉さんと、海外からダメコンテストのためにやって来たお姫様。 どちらが勝利するのか、今後の行く末が気になると↑こ→ろ。 で、やっぱり優勝は主人公なのかな?
傭兵は特定の国や王族に忠誠を誓うことはしない。 黒猫と言う名の傭兵団を従える彼はただ、己の壮絶な過去を否定しつつ、明日に向かって戦場を生きるのみ。 団を構成する個性豊かなキャラクター達は皆、団長である主人公『アルベルム=キャトルフ』を慕っている。 その理由は彼がきっと公正で、弱い立場にある人達へ深い思いやりを示すからだろう……。 次から次へと息つくヒマもなく続く戦い。 そんな中でも時折ほっこりする、キャラクター同士の遣り取りに和むこと間違いなし。 そして最後に一言。 ケモ耳ばんざい。 『獣人』族は猫耳かウサ耳か、あるいは犬耳なのか? 一言じゃ終わらなかったよ……。
誰もが一度は考えるはず
投稿日:2019年7月5日
生まれる家を選べたら……。 もし男(女)に生まれていたら……。 自分の人生はどんなふうに変わっていただろう? 過酷な生い立ちを背負った苦学生であるヒロイン。 昼間は普通の大学生、でも夜は、狩人へと変身する。 彼女が狩るもの、それは……。 迫力あるアクションシーンに、思考を刺激される深い台詞。 読みながら何度も、そう問いかけられたら、私ならどう答えるだろうか?と、考えたけど、たぶん上手く言えないまま終わるのだろうな……。 かなり重いテーマではあるものの、きっと現実にどこかにあるかもしれない物語。 ガツン、とした作品が読みたい人にはオススメです。
人間社会に疲れたあなたへ
投稿日:2019年6月5日
犬は好き? 犬って賢いよね。 盲導犬、介助犬、災害救助犬、そして警察犬。 人類のためにどれだけ役に立ってくれていることか。 そしてこの犬(主人公)は、ただの犬ではない!! 人間の言語を理解し、グルメリポートさえこなしてしまう。 その上、人間の男よりもよほど男らしくて大人なのだ。 そのツッコミの鮮やかさ……たいしたもんだぜぺーろぺろ。 猫の方が好き? 心配いらない、可愛いニャンコも登場するから。 かわいらしい動物達による癒しと冒険の、ほのぼのドキドキなファンタジー。 案外、人間の方が動物に教えられることが多いよね……。 そして私は癒された。
これはなろうの宝石箱や!!
投稿日:2019年5月31日
……と、かのグルメレポーターが言ったとか言わなかったとか。 アンソロジー、それはいろいろな作家様の素敵な作品が一度にしっかりと楽しめる、例えて言うなら『おせち料理』のような。 手間隙かけた味わい深く、考え抜かれた豪華な料理のよう。 参加者が新しくキーワードを追加するというルールも楽しく、ほぼムチャぶりとしか思えないキーワードを拾った作者に脱帽(笑) ミステリー、ホラー、恋愛、ヒューマンドラマ。 素晴らしい文芸作品を探している読者なら、迷わずにここから探そう!! 読者を決して飽きさせない、珠玉の一冊がここにある。
悪の怪人。その異形な姿は、見る者に恐怖感を抱かせるものだけど……中身はいたって普通だった。 むしろ、異形であるゆえの独特な悩みは、涙なしには語れない。 少し気弱な主人公が、真剣に彼らの悩みに耳を傾け、解決策を必死に提案する姿もまた、微笑ましい。 ちなみに。 ヒーローと戦って敗れたら『殉職』となるらしい。 二階級特進かな?おめでとう♪ どうでもいいけど、15人もいるヒーローの名乗りを全部聞いていたら、私だったら途中でキレるな……。
読んでまず驚いたのが、冒頭部分。 どこにでもいる平凡な男子高校生のごくありふれた日常生活が、不思議かつ、奇妙な方向へとゆがんでいってしまう。 そのきっかけとなった、衝撃のエピソード。 主人公が手にした、実在するのかどうかもわからない、不思議な【世界】への招待状(チケット)。 そして謎だらけの登場キャラクターたち。 これはホラーなのかミステリーなのか、それともSFなのか。 最後まで読んでみて、ああなるほど……と思えたけれど。 この手の作品は、書くのが相当難しいのではないかと個人的には思う。 でもちゃんと完結している。 そこは作者様の筆力なのだ。
レビュー作品 ICEISLAND
作品情報
王道ではない、それだけに……
投稿日:2019年5月13日
思春期、青春といえば甘酸っぱかったり、きゃっきゃうふふ♪なイメージがあるかもしれない。 しかし。この短編集は、そんな王道をわざと外し、現実にある風景を忠実に模写した風景画のよう。あるいは再現ビデオのようだ。 人に言えない、知られたくない、悩みや事情を抱える登場人物達の複雑な心境に寄り添えたなら。 もしかしたら、あなたも身近な誰かの理解者になってあげられるかもしれない。 人の心はなぜ、こうも複雑なものか。
なぜ5月の第2日曜日が母の日になったのか、その由来を私は知らない。 だけど。 母を敬い、感謝を伝えるのに日時なんて関係ない。 日々の家事を時給に換算するとどれぐらいだろうか。 学生がファストフード店やコンビニでアルバイトをした時の平均よりも、もっと高いに違いない。 というよりプライスレス。 お母さんが毎日、家族のために一生懸命お世話をしてくれることに感謝すべき。 作者のそんな気持ちが伝わってくる、今日から明日にかけて読むに相応しいエッセイだと思う。
君は時代の生き証人となる!!
投稿日:2019年5月6日
魔砲少女ミハル・シリーズの原点であり、ファンなら間違いなく涙するこの物語。 魔砲少女とはいったい? 魔鋼機械とは?! 科学と魔法が融合したその時、果たして何が起きるのか?! この時代ではない、ここではないどこかで……。 不思議な【何か】に導かれるかのように出会い、惹かれ合う若い2人の男女。 たとえこの先にどんな困難が待ち受けていたとしても、あなたとならば乗り越えていける。 戦争がもたらすのは悲劇しかないけれど、その一方ではまた確実に【希望】も生み出されていた。 強い愛と絆で結ばれた一組の夫婦によって。 そのラストは、涙なしに語れない。