――永遠の命など誰が望んだ?
遠い昔、魔王討伐のため召喚され不老不死にされた勇者の「その後」を、様々な登場人物のエピソードに絡めて語られる一話完結の連作短編集です。
永遠の時を生きざるを得なくなった主人公は世界中を放浪しつつ、ある時は傭兵として護衛任務や暗殺を、またある時は行きずりの旅人として、復讐の成就に手を貸したり過去の約束を果たしたりと、神話的過去から現在まで関わりあった人々のドラマに、第三者として登場し影響を与えていきます。
黄金時代も約束された大団円もなく、あるのは限りなく繰り返されるいつか見た歴史の流れのみ。
栄枯盛衰も喜怒哀楽もすでに遠く、あるがままを受け入れる主人公の無常感や虚無感と、それでも人に寄り添う温かみの絶妙のマッチングが生み出す、この作品独特の雰囲気が大好きです。
お気楽ハーレムやゲーム設定に疲れたら、ぜひ読んでみてください。満足できると思いますよ!