レビューした作品一覧全2件
古典的な悲恋モノを近未来で
投稿日:2018年2月3日
この物語は戦争の中で出会った少年と少女が、戦争によって運命を引き裂かれる古典的なスパイ悲恋モノです。 この作品が従来のものと一線を画しているのは、近未来的な設定が用いられており、ミリタリー描写の肉付けが非常に充実しているところです。 近未来的な兵器の描写ばかりではなく、新兵の教育といった運用に至る場面も臨場感たっぷりに描かれ、その描写は『現場感』と言えるまでに昇華されており、現場で奮闘してる名も無き軍人のイラつきやじれったさ、手に汗握る感じが文章を通して伝わって来ます。 敵の大量破壊兵器に対抗しうる唯一の予測システム・フリズスキャルヴ。 盗まれれば自軍が崩壊してしまいかねない。 一歩間違えれば全てが終わるそのシチュエーションが、愛する二人の決断をより悲壮にします。
クラス転生のテンプレを下敷きにしながらも随所で作者の個性が光る作品です。 主人公は転生先でハズレ判定を受け、放逐されるも危機に瀕してチート能力を開花。 チート能力を用いて異世界の人々を助けながら、囚われのクラスメイト達を救うために奔走します。 異世界生活しながら、わずかな手掛かりを元に敵陣営の狙いが少しずつ判明していく構成は、シンプルながら自然でよく練り込まれており、作者の地道な努力の跡がうかがえます。 単純にチート能力で暴れるだけでなく、困難に対して現実的な解決策を模索する主人公の姿にも好感が持てます。 鬱やグロ要素、独特の文体が人を選ぶかもしれませんが、それも決してありきたりなテンプレでは済ませないという作者の強い意志を感じさせるものです。 総括すると、クラス転生のテンプレを好みつつも一味違った作品を読みたいという人向けの作品です。