この物語は戦争の中で出会った少年と少女が、戦争によって運命を引き裂かれる古典的なスパイ悲恋モノです。
この作品が従来のものと一線を画しているのは、近未来的な設定が用いられており、ミリタリー描写の肉付けが非常に充実しているところです。
近未来的な兵器の描写ばかりではなく、新兵の教育といった運用に至る場面も臨場感たっぷりに描かれ、その描写は『現場感』と言えるまでに昇華されており、現場で奮闘してる名も無き軍人のイラつきやじれったさ、手に汗握る感じが文章を通して伝わって来ます。
敵の大量破壊兵器に対抗しうる唯一の予測システム・フリズスキャルヴ。
盗まれれば自軍が崩壊してしまいかねない。
一歩間違えれば全てが終わるそのシチュエーションが、愛する二人の決断をより悲壮にします。