レビューした作品一覧全2件
 はじめに言っておきますが、この作品はファンタジーですが、派手な戦闘や画期的な設定があるわけではありません。 でも、それらがなくても“素晴らしい物語”を書けるいい例です。 ・読みやすい言葉だけで構成されているので、すっと淀みなく頭に入って来る文章 ・情景をありありと想像させつつも、余計なものを省いた洗練された表現 ・続きが気になるほどに、読者を惹きつける巧みな構成 ・人物たちの自然な心理描写  一言で言うなら完成度が高い。間違いない。  作中、女性と男性の習性や価値観の違いが台詞や設定などに盛り込まれていて、読んでいて「あるある」ってにやりとしてしまいますね。  ですので女性にも男性にもおすすめします。しかし、一番お勧めしたいのは、自分の表現に限界を感じている、そんな方ですね。  じっくりと読ませてくれるこの作品は、あなたに新しい可能性を示しながら物語の世界に引き込んでくれるでしょう。
その戦いに痛みはありますか?
投稿日:2017年6月14日
砂塵舞う戦場、鉄と鉄のぶつかり合い、戦士たちの雄叫び。 そんな謳い文句が似合う、ゴツゴツした硬派な戦記ものです。 魔法はなく、斧や剣、弓矢といった旧時代の武器だけの、泥臭く、無骨な戦場は、読んでいて自分の中で何か熱いものが込み上げる気分になりました。 それ程のめり込ませる訳は、この作品は戦いの中での「痛み」をしっかり表現できているからです。 情景の丁寧な描写に加えて、リアルな痛みの表現が、戦士の息づかいを感じるほどの臨場感を産み出しています。 薄ぺらい戦いじゃ満足できない人、泥臭く激しくぶつかり合う戦いか好きな人はお薦めです。