レビューした作品一覧全22件
生吹先生といえば、人間の持つ心の表と裏、そこに隠された善悪の葛藤を、如実に描き出すことで、ホラーやダークファンタジーなどでも名作の数々を創出された作家様なのですが、今回の生吹先生の作品は、なんと「ネット小説投稿」がテーマです。 あなたは、ネット小説の投稿で、自分の小説が読まれないことに人知らず悩んでいませんか……? もしそうであるならば、あなたはこの物語に秘められた重大なメッセージに、共感と驚愕を抱くはずです。 なろうで活動されている方なら、みな共感してしまうシチュエーションで、物語は次第に、ゾクゾクするような危険な展開を見せはじめます。そしてラストは……。これ以上語るとネタバレになってしまうので筆を置きますが、短いのに、とても大切な気付きを与えてくれる作品となっています。 是非是非!
パンはパンでも食べられないパンは……? そんなありきたりな、他愛なき、なぞなぞから始まるこの物語。 しかし、そこには、ある男はかけがえのない物語が秘められていた……。 国家より招集された民間人で構成された軍隊の控え室として作られた空間にいるダニエルとヘンリー。 ふたりの胸熱な、胸をえぐる感動の物語。 しかしそれは読んでからのお楽しみ。 毎朝、パンを見る度、僕はきっとこの感動の物語を思い出し、感傷的になることだろう……。
「お母さんはね、ウミにこの世界で見た一番雄大なものの名前をあげたんだよ」 今は亡き母ネズミが、ドブネズミの「ウミ」にそう語ったのは、彼女の名前の由来であり、彼女が生まれて以来一度も目にしたことのない「海」の話。 夏の大雨の中、母ネズミや兄弟ネズミが駆除されて、1匹孤独感を抱いているウミはある日、母の話してくれた「海」へと旅立つ決心をする。 そこには一体何が待ち受けているのか……。 ウミは、まだ見ぬ「海」に一体何を求めているのか。 ピザ屋に住む小さな小さなドブネズミのウミに焦点を当て、この世界で一番雄大な海へと繋がってゆくこの物語は、生吹先生の渾身の最新作。 子どもだけでなく心の疲れた大人にも読んでもらいたい心暖まる童話作品です……。
こちらはホラージャンルでも定評のある生吹先生の新作ホラー小説です。 今回の物語のテーマはずばり「梅」。 物語は主人公と二人の学友の「通話」に沿って展開してゆきます。二人の学友は霧の中で廃村の梅屋敷に迷い込んでしまいます。しかし主人公は音声だけでその状況を想像しているだけです。二人の学友は怪異に遭遇します。それは一体どんな怪異だったのでしょうか。そして主人公が聞いた、二人の学友の音声の内容とは……。それは是非、本編をお読みください。 物語は後半、梅屋敷の由来に言及することになります。一体、梅屋敷にはどんな秘密が隠されていたのでしょうか。 そして物語の最後で「ひい祖父さんが見たもの」とは一体何だったのでしょうか……。読者の心に刻み込まれる恐怖の読後感。是非、本編を読んですべての物語をご確認ください。 真夏の夜も涼しくなる、酸っぱい梅の香りが漂ってくるような幻想系の怪談です……。
夜中、背筋が凍るようなホラー小説を読みたくなったら、是非この作品をお読みください。あなたは夜中に感覚が冴え渡り、恐怖で眠れなくなるでしょう。けれど、本作はただ怖いだけの作品ではありません。これはある意味では一流のホラーミステリーとも呼べる小説。最後まで読んだ時、あなたは予想もしなかったラストに衝撃を覚えることでしょう。 主人公の智紀は入院した先の小児科病棟で、美女の黒田さんに出会う。彼女は人面瘡で入院しているという。智紀は彼女と約束をする。それは彼女の人面瘡を見せてもらう、お返しに彼女の怪談を聞く。その怪談はどれも不可解なものばかり、智紀は次第にその世界に惹きこまれてゆくが……。 人面犬が語る言葉の意味とは一体……。 なろうのホラー界に衝撃を与えている名作であると共に、なろうのミステリー界でも話題になること間違いなしの屈指の傑作。 なろうでホラーといえば、みのり ナッシング先生。
これは、いきなり主人公の痴漢冤罪から始まるサスペンス警察小説(?)。随所に、にのい・しち先生の抜群のユーモアが炸裂してくる!結末が予測不可能の犯罪物語なのだ。 有限会社ミズーリ(水売り)は仮の姿、実は公安警察「ゼロ」から派生した秘密警察なのである。その名は、サードパーティーだ。そのサードパーティーのメンバーと狡猾な詐欺グループの対決がこの物語の見どころだ。 作者様が、刑事なのではないかと思わせるリアルな地取り(地域の聞き込み調査)の描写が炸裂する。そして、警察の捜査に関する専門的な知識が駆使されるリアルなストーリー展開が創作の勉強にもなる一作。 詐欺グループとの対決に、胸が熱くなるところだが、個人的に嬉しいのは、随所に「トリスタンとイゾルデ」などのクラシック音楽が登場してくるところ。よく見ると、サブタイトルにもワーグナーが……。 クラシック音楽ファンにも、おすすめの名作である!
あのヤミツキなろうコンを主催されたIDEECHI51先生が贈るホラー&アクション系小説の金字塔! ある日、突然、死神ゲームという謎の争いに巻き込まれた高校二年の少年が、死んだはずの姉とそっくりなエレナという死神と出会い、共にさまざまな死神たちと戦う物語! 舞台となるのは、横浜市青葉区! 現れてくる死神たちの個性豊かなこと! 現在、第三章を読み終えたところなのですが、この物語の重要なところは、とにかく登場人物が死にまくるということです。ある意味では、バイオレンスなのではと思うぐらいの死の連続、急展開の宝石箱。ネタバレになるのであまり多くは語れませんが、とにかく、物語は激しい展開になり続けています! おすすめです! 連載中です!是非お読みください!
……OLの初音はある日、戦国時代の伊賀にタイムスリップしてしまった。 初音は、里で生活することとなり、周囲から「はつ」と呼ばれ、伊賀忍者の「鵺」と共に生きてゆくこととなる。 初音は、慣れない里の生活に右往左往しながらも、次第に村の人々と心を通わせてゆく。そして物語は後半、織田信長と伊賀の対立、天正伊賀の乱へと発展してゆく。命をかけた忍者たちの死闘、葛藤。そして、驚愕の秘密が明らかになる……! 高山由宇先生の代表作「はつと鵺」 本作は、重厚感のある歴史小説です。慣れない村での生活に右往左往する初音の姿はチャーミングで、フィクションとしても楽しいのですが、同時に、史実に基づくリアルな描写にはノンフィクションのような説得力がみなぎっています。力強いタッチで、忍者たちの葛藤が徹底的に描かれています。そして、最後には感動の嵐が吹き荒れることでしょう。 素晴らしい小説です。絶対にお勧めです!
本作は、白銀の世界で、青年のクヌートと少女のハンナが、悪霊や魔獣と戦いながら、自分の過去や呪いに苦しめられるダークファンタジーです。 僕がこの作品を熱烈に推す理由は、後半にゆくほど胸を抉るような人間ドラマがリアルに描かれ、もはや他人事と思えなくなってくる点です。 青年クヌートは記憶を失っているのですが、彼の過去とは一体どんなものなのか。少女ハンナにかけられた呪いは北の魔女によって解けるのか。旅の仲間のノーチェは、一見サバサバしているようで実はあったかく仲間想いです。旅の途中での人々との触れ合い、そして争い。後半にゆくにしたがい、人間の醜い姿が生々しく描かれてゆきます。 それと対照的な白銀の世界、オーロラの美しさ、ビジュアルがとても魅力的です。 白銀の世界で燃え上がる街、赤いオーロラ、その時、青年クヌートはどんな決断をするのか、誰も予想できない衝撃のラストが待っています。お勧めです!
これは東京を舞台にしたハードボイルド探偵物語 下板橋の探偵事務所 練馬駅のタワーマンション 常盤台にある私立聖清女学院 そして、池袋 このような東京の実在する街で巻き起こる犯罪の数々 悪意のある噂で引きこもりになった女子高校生、八木橋翠 一体、誰が黒幕なのか……? そして、可憐な女子生徒の傷ついた心を癒すことができるのか……!? この犯罪に挑むのは、下板橋探偵事務所の私立探偵、黒埜秀虎 そして彼の助手、木田典親 ハードボイルド小説ファンにはたまらない、手がかりを地道に掴んでゆく将棋のような捜査の臨場感。突然襲いかかってくる暴力の脅威。暴力団、犯罪組織の黒い影。護身術バリツ。ユーモラスな台詞回しとリアルな描写が渾然一体となり、ぐんぐん読者を引っ張ってゆく見事なストーリー展開。 秋月創苑先生が贈る、ハードボイルド犯罪小説の金字塔! 下板橋探偵事務所シリーズは始まったばかりです!
子どもはいつか大人になる その時、人生のさまざまな壁にぶつかることだろう 悩み、苦しみ、さまよい、そして挫けてしまいそうになる そんな時に、ふと立ち止まって、過去を振り返ると、思い出の中にかけがえない仲間たちの顔が浮かんでくる そんな熱い気持ちにさせてくれるイデッチ先生のヒューマンドラマの傑作。 「放課後HEROES」シリーズの第二ステージ。 引っ込み思案な少年、伊達賢一は、破天荒な少年、江川悟と共に『文芸部』を創設するために尽力する。生徒会の美少女、高木玲も彼らと意気投合し、作り上げた青春の一ページ。それから十年……。大人になり、離れ離れになった彼らの前には、さまざまな困難が立ち塞がっていた。彼らは悩みを抱え、広島の街をさまよっていた。そして彼らは再会する。彼らが始めたこととは……? 新たな人生を歩み始めた彼らの未来が素敵なものでありますように! 伊達賢一 江川悟 高木玲
絶賛、連載中のこの学園ミステリーシリーズ。 学園で起こる不可解な殺人事件を、高校生探偵の若宮先輩(かっこいい)が解き明かすというもの。 皆さまにまずお伝えしたいのは、File1のラストにとんでもない真相が待っているということ。そして、僕はそれに気づかずに読み進めてしまったということでした。 やられた。ばたっ(ピーポーピーポー……) 二つ目には、文学性が豊かだということです。 主人公は、入学したばかりの中学生の日野真記くん。(中高一貫校なんです)名前の通り、すごい記憶力の持ち主。双子の妹はとっても可愛いあやちゃん。 日野くんはある部活に興味を持つ。それは探偵部のような調査技術研究会、略して「チョウケン」。そこには伝説の高校生探偵、若宮先輩がいた。 File1は、春夏秋冬の詩が絡んでくる文学系の連続殺人事件。 果たして、日野くん、若宮先輩のコンビは殺人事件の謎を解けるのか!?
モタというオンラインゲームの世界から飛び出してきたファンタジーの豪傑、カザルスと共に、少年が、北朝鮮に乗り込むのであろうこの物語。 助けださねばならないのは拉致された少女。 北朝鮮による拉致事件が発生し、矢部仁三(やべじんぞう)首相率いる日本国は困ってしまう。その時に、主人公の少年の元に冒険者たちが!! 本作のすごいところは、 ①政治や軍事の知識がしっかり描かれている ②シュールな笑い ③リアリティのある描写力 ④ファンタジーの世界とリアルな世界が今後どう関わってゆくのかという期待 ⑤すさまじいクオリティの挿絵(作者の夢学無岳様は、画伯と呼ばれている絵師です) の5つだと思います。 みなさん、この物語はまだ始まったばかり、これからどうストーリーが展開してゆくのか、期待でいっぱいですね! 北朝鮮ものの政治サスペンス風ファンタジー巨編。
いきなりこんな問題を出してすみません。 答えはエビ太です。 エビ太というのは広島県警の備品のエビです。 えっ、言ってることがよく分からないって? 頭で考えてはいけません、そういうことは。 ……文学なのだから。(イラスト付きの) エビ太という可愛らしいエビの少年が、広島県警の備品として奮闘し、格好良くて美しい隊長さんに可愛がられたり、エビえもんにいじめられたり、恋愛に悩んだりするというハートフルな恋愛小説(?)です。 さて、ここでクイズを出しましょう。 1、可愛らしいエビ太ですが、彼の仕事内容はどんなもんでしょう? 2、エビ太と、ガールフレンドのエビ美ちゃんの初デート場所はどこでしょう? →答えは本編にて!
北の国、オーデンセに住むハンスじいさんは、ある日、小川のほとりで、見知らぬ少女に「おじいさん、どうして私を殺したの?」と尋ねられた。 そして、驚くハンスじいさんに少女は「あたしはおじいさんの娘よ」と告げる。 そこに隠されていたのは驚くべき真実だった……。 北国の美しい風景描写と、ミステリアスな少女の登場に始まるこの物語は、その後、謎が解けるに連れ、深い哀しみと感動のラストへと突き進んでゆく。 果たして少女の正体とは。なろうで作品を執筆しているみんなに読んでもらいたい夢学無岳先生の傑作童話!! ここに降臨!!
今、青春の日々が蘇る。 内気な少年伊達賢一と、文芸部をつくるという夢を持った少年江川悟、そして生徒会の少女高木玲が出会った1998年の一学期。 三人は共に未来に向かって進んでゆく。 今、感動の物語が小説家になろうに蘇る!(作者の手によって) 本作を読んでいて、自分の青春を思い出し、人は出会いと別れを繰り返して生きてゆくのだなぁ、ということをしみじみと感じました。心に残る名作でした。 うん。純然たる青春ドラマだ。(^^) なによりも、ラストの伊達賢一の決断に涙しました。 これこそ、イデッチ文学の最高峰であること間違いなし、と思いました。これから先、もっと素晴らしい作品に出会えるかもしれませんが、今まで読んだ作品の中では間違いなくイデッチさんの代表作です。 イデッチさんの優しさがにじみ出た感動ものの名作中の名作!
この飯テロ、尋常じゃない!!
投稿日:2017年10月18日
素晴らしい破壊力の飯テロです。また食べすぎちゃうじゃないか! でも、ありがとうございます(?) 説明しきれなそうなので、恐れ多くも引用させていただきます。(正直、その方がいいと思いました(^^;;) こちら、秋刀魚の回です。 「パリパリの皮が黒く焼けて弾けて、身の脂がぐつぐつ弾けている頃合いが大事ですな。ほっこり箸で片身を割りますと、薄桃色にほのかな血の気の残った肌身がほろり。大根おろしに醤油をいきなりまぶしちゃ野暮ですな。」 お腹減りますがな(笑) もうひとつ、サンドウィッチの回も最高でした。 「わたしが好きなのは、ボイル海老とブロッコリーをフレンチソースで和えたサンドウィッチ。酸味の効いた汁気たっぷりのソースに軽やかな海老の身の肉感、滋味豊かなブロッコリーにまたライ麦パンのほろ苦い風味が、食欲を誘います。」 カツ丼の回も面白いですよ。 ああ、お腹減りましたね……(笑)
レビュー作品 ちかげ食割烹
作品情報
『THE ROOM』は、ある男性の不思議な体験の物語です。身に覚えのないベージュ色の部屋で、主人公が起床するところから始まり、毎日、違う色の部屋で一日を過ごす、謎の七日間の物語です。何か一貫したストーリーが背景にありそうなのですが、主人公は思い出せずにいます。また、その点を想像すると、主人公の人生が見えてきそうで、なんだか恐ろしくもあります。考えれば考えるほど、不思議なストーリーだと思います。 この不思議な物語は、どう解釈するかによって、純文学にもミステリーにもホラーにもなります。また答えを知ることも、想像し続けることも、分からないまま終わることもできるのです。七日目の後に、作者様によって、一つの答えが描かれていますのが、それを真実として受け止めることも、また自分なりの解釈をすることも選べるのです。 不思議な部屋で目覚め続ける男は、七日目に、一体何を思い出したのでしょうか……。
レビュー作品 THE ROOM
作品情報
本作は、異世界ファンタジー(SF?)ミステリーです。 ことの発端は、人たらしの設楽くんが、友だちの書いた異世界系の推理小説の世界に飛ばされてしまったこと。 その世界では、ワールドエンド……つまり世界の終わり的な荒涼とした大地が拡がっています。人間が突然変異で巨大化してしまったトロルがうろついていて、能力者がいるような世界です。 そんな世界の科学館の要塞を舞台に、焼けた死体、凍死体などが次々と出てくる、どえらい本格ミステリーなのです! 本作は、作者によって【読者への挑戦】が宣言されています。まさに今、少しずつ真相が明かされ始めていますが、まだまだ間に合います! 読者の皆さん、自作のキャラクターで推理を披露されているようです。また作者もそのように希望されています。 ちなみに僕は敗れました。だから皆さん。後はお任せします。絶対にこの事件の真相を暴いて下さい! 読者よ、欺かるるなかれ!
歴史の謎が、現代の謎をも呼び寄せる……。 ずっと探していた作品、ここにありました! 本作は、坂本龍馬に外見が似ているという理由で、編集担当の中岡慎一に「坂本龍馬子」というペンネームをつけられた女流推理作家が、歴史と殺人事件の謎に挑む本格ミステリーのシリーズです。 第1作は、山梨県の身延山などをめぐる埋蔵金ミステリーです。 さて、この作品を読んだら、どうなるか……。 全編を貫く、出版社編集の中岡慎一と、坂本龍馬子が繰り出すユーモアの数々に、笑わずにはいられないでしょう。 そして、歴史のロマン溢れる旅情。おそらく旅行に出たくなるでしょう。 そして不可能犯罪のトリック。必ず驚いてしまうことでしょう! 本作は、本格ミステリーと、歴史ロマンが合流した希少な名作です。 あなたも是非、この謎に挑戦してみてはいかが?
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