「姉さーん！今日が何の日か分かる！？」 「うるさっ、朝から何？」 私の目の前で拓は物凄いテンションで話し掛けてくる。 「今月は？」 「二月でしょ？それがどうしたの」 「今日は？」 「十四」 「つま…

初夢を見た。 あまり夢は覚えていない事が多いのだが今回だけはかなり鮮明に覚えていた。 ただ一富士二鷹といった所謂吉兆の類の夢ではなかったように思う。 凄まじく嫌な気分になったのだが歯が全部抜けて何…

これは夢だなとすぐに分かった。 だってこんなに暖かな生活を送っていないから。 今の私はただ冷たい水の中で…… 「みどりちゃん！あけおめ！ことよろだよ！」 「あけましておめでとう花奈」 花奈が満…

「ねぇねぇ、今日カラオケ行こうよ」 「お？久し振りに私の美声を聞かせてあげようか？」 「あんたの美声って偶に微声になるからなぁ……」 「何おぅ！？」 「//〇◇∥▽はどうする？」 「私は今日は難し…

私の家ではお餅つきはお正月を迎えてからやるのが恒例となっている。 元々お父さんとお母さんの家では親戚が鏡餅用のお餅を送ってくるからやる日がお正月を迎えてからになったらしい。 結婚してからは当然そん…

「ねぇ……まだ終わらないの？」 「姉さん……それを訊くのもう四回目だよ？」 「だって疲れてきたもの」 「まだ三十分かそこらなんだから少し我慢して。全く……姉さんは服装に無頓着過ぎるんだよ」 「ん……

〜♪〜〜〜♪ 機嫌良く鼻歌を歌っていたら目の前の子が泣いていた。 どうして泣くのだろう。 私はまだ何もしていないのに。 そっと涙を拭ってあげたら身体の震えが酷くなった。 震えて可哀想だったから涙…

「はぁ……」 今年は運が無い日だった。 一月から十二月までずっとだ。 一月にはお気に入りだった人形が無くなった。 二月には一生懸命育てた花が枯れた。 三月には楽しみにしていたゲームが壊れた。 四月…

「山奥の秘境の宿……ん、行きたくない」 かれこれ車で移動すること一時間。山景色から一向に変わらないそれに飽きてきた頃にようやくその宿はあった。秘境にも程がある。 「姉さん、一応親戚の宿らしいからあ…

アーティファクト〈歪み命〉。死亡時に人一人分再生することで事実上の蘇生をするアーティファクトだ。 だがだからといって有能なアーティファクトというわけではない。それを僕は肌で実感した。 アーティフ…