ミツイ氏は最後のインカコーラを飲み干して砂浜に寝転んだ。 　最後の島にたどり着いてから、作品を一気に読んだ。そして胸が締め付けられるような思いに駆られながら空を仰ぐ。 　 へべれけ さんの、 …

　たどり着いた島には、鮮やかな紫陽花が咲いていた。 　空は晴れているのに、その紫陽花はどこかしっとりと艶のある表情をミツイ氏に見せていた。 　誘われるように花に寄り、傍らにある一作の短編を読む。 …

　ミツイ氏は航路図を一枚、その手に持っていた。 「この辺りやと思うんやけど……」 　目指していた島は近いはずだった。 　氏の旅はまもなく終わる。これまでは勝手気ままに出会った文章を読んできた氏で…

　ミツイ氏は舟の上でとても良い匂いに気が付いた。 　それは揚げ物の放つそれであり、氏は思わず辺りを見回した。 　そして少し離れた島の上空に、コロッケらしきものが浮いているのを氏は発見した。 　なぜ…

　ミツイ氏は見知らぬ浜で目を覚ました。 　土日の間に長い航海をして、気が付けば遠くまできていたようだ。 　航路図を見れば、どうやら思っていた場所とは違っているようだった。しかし、電子の海を気ままに進…

　今日の作品を読み終えたミツイ氏は、数本転がったインカコーラの空き缶をうっかり蹴り飛ばしながら立ち上がった。 　その拳は固く握られ、湧き立つ感情を堪えるようにぷるぷると震えている。 　そして吼えた…

　ミツイ氏が電子の海を彷徨っていると、不意に警戒音が聞こえた。機械的で無機質なその音は氏を驚かせた。 　どこかの島の領海に入ってしまったかと辺りを見回せば、一つの島影が見える。警告音はその島から聞こ…

　淡い輪郭をもったその島は、さまざまなファンタジーで溢れていた。優しい気配のするファンタジー群の中を進みながら、ミツイ氏は島の情景を楽しむ。 　可愛らしいものがころころとしている様はとても素晴らし…

　その島は、非日常でできていた。 　ふわふわと浮かぶトラック。飛び交う煎餅。これは何かしら超常異能バトルのようなものがあるのではないかとワクワクしながらミツイ氏は島をゆく。 　ファンタジーの気配…

　舟は静かな島にたどりついた。 　きしきしと鳴る砂を踏みしめて歩いていけば、ふと目を引く作品があった。 　 古河 聖 さんの、 『運命の輪』 。 　氏はこの手のタイトルに弱い。 　何がどう、と…