『屍喰神楽』3章28話め、投稿しました。+ボンクラガチ泣き「たねつみの歌」。
2025年06月09日 (月) 22:49
 どうも、いつもありがとうございますー。

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 〈作:砂礫零さま〉

 どもども、八刀皿 日音です、ボンクラです。

 そんなこんなで今日も投稿してます。


『【新装版】 屍喰神楽 ~シニカミカグラ~』


 みんな、知ってるか……?
 ボンクラってば、実はアクションシーンバカなんだぜ……!(周知の事実)
 ……なので、こういうシーンを入れずにはいられないのだ! 悪かったな!(開き直り)


 そんなこんなで、今日はまたゲーム雑談と参りましょう。
 題材は、「たねつみの歌」。
 分類としてゲームではあるものの、選択肢すら無い完全一本道の、いわゆるノベルゲームです。
 ゲーム的要素は無いので、極論クリックしてれば終わります。
 ボンクラはPC版をプレイしましたが、最近Switchとスマホアプリにも移植されたみたいなので、ほぼほぼ誰でもプレイ出来るでしょう。

 ボンクラわりとノベルゲーも好きなんで、ちょくちょく「なんか面白そうなんないかいのう~」とDLゲームのサイトとか覗くんですが、そこで目が留まったのがコレ。
 なかなか面白そうやん、と手を出して、つい先日クリアしたんですが……その評価は。


 ……ボンクラ、何回泣いたか分からん……!(大マジメに)


 ノベルゲーに限らず、ゲームを散々やり倒してきたボンクラですが……シナリオと音楽と演出でここまで泣かされたのは初めてかもしれん。
 ボンクラ的に泣かされたゲーム筆頭といえば、「グランディア」と「空の軌跡」なんですが、この「たねつみの歌」は一気にそこに食い込んできたと言っても過言ではないです。
 いや、何か「泣きゲー」的に語ると俗っぽいというか安っぽくも聞こえますけど、そんなんじゃないんですよ。
 突発的反射的に涙が出るってより、身体の奥底から「泣かずにいられなくなる」んすよ。それぐらいにすごいゲームでした。
 ぶっちゃけ、こうして語らずにはいられなかったんだ……誰かに教えたかったんだ。
 実はあまりに胸打たれたんで、速攻でサントラDLして、それ聞きながらこれ書いてんですけどね……OPテーマとEDテーマ聞くとまた涙止まらなくなるんで、泣きながら書いてるような状態。(笑)

 って、すごいすごい言っててもしょうがないんで、とりあえず、どんなのかをご紹介。
 まずは導入部から。

 ――幼い頃に母を病で亡くした少女、みすず。
 2023年、16歳の誕生日を迎えたみすずのもとを訪れたのは、1996年から来たという16歳の頃の――後のみすずの母親、陽子。
 陽子は、神々の国「常世の国」で行われる「たねつみの儀式」、それを為すための巫女の仲間として、みすずを誘いに来たという。
 たねつみの儀式とは、不死である神々が新たな世代へと世代交代するための、神々の葬式。
 巫女はそれを為すために、常世の国を廻り……大地に穢れをもたらす「本当の冬」が訪れる前に、それぞれの国の長に「死」を受け入れてもらい、その命を次代のために大地へ還さなくてはならないのだ。
 陽子の誘いを受けたみすずは、共に2050年に向かい……そこで、同じく16歳を迎えた彼女の娘ツムギも仲間に加え、常世の国へと赴く。
 そして、常世の国の案内人として現れた、「生まれることが出来なかったみすずの弟」を名乗るヒルコという少年と4人……たねつみの儀式のため、神々の国を巡る冒険に出る――というもの。

 神々の国のデザインや住まう人々、世界観などは、サンプルの画像とか見てるだけで、もう「どこのジブリのアニメだ」ってレベルのクオリティ。
 そして、そんな美しい世界を、それぞれが祖母・娘・孫にあたる同い年の少女と、やはり同年代の美少年が旅していく……となると、いかにも明るく楽しいジュブナイル冒険譚になりそうです。
 ――――が。
 いや、もちろん明るく楽しいやりとりもふんだんにあるんですが……その旅路はやがて、本当に、掛け値無しに、途方もなく過酷なものとなっていくのです。
 その過酷な道行きに、嘆き、絶望し、怒り――けれども、大事なもののために足を前に踏み出す姿は、立ち向かう姿は、胸を打たずにはいられません。

 この物語の素晴らしいところ。それは、描くテーマを綺麗事ではすまさないところでしょう。
 導入からして、キーワードに「家族」があるのは分かっていただけると思いますが、ただ家族愛をキレイに語るだけではないのです。
 それを象徴する一つが、「化け物」という単語でしょう。
 とある人物は、「子供」とは化け物だと語ります。
 その存在は、否応なく親を「親」にする。他者の人生を、ただ存在するだけで「親」という形に曲げ、強制する――そんな凶悪な「加害者」が化け物でなくてなんなのか、と。
 事実、16歳のみすずは「まだ母親ではない」のに、未来の娘ツムギが危機を迎えた際、必死に「助けて、ママ!」と呼ばれたとき、「世界の他の全てが消え、彼女だけになった」と語るほど我を忘れます。
 後にそのときの自分を振り返ったとき、ママ、と呼ぶ声を、その強制力を「どうしようもないほどに暴力的だった」と恐ろしく思うほどに。
 しかしそれは同時に、当然ながら母と子を繋ぐ愛情の形でもあるのです。
 ゆえに、「母親」は、望んでまた別の形での「化け物」ともなります。
 どう見ても理不尽で、抗いようのないモノが相手であろうとも、「子」のためならばすべてを擲ち、己の命すら削り燃やして怒りに変えて立ち向かう――他者から見れば「化け物」としか呼べない存在に。
 もちろんそうしたものとはまた別口の醜くかったり、哀しかったりする家族の姿も描かれます。
 特に、ある神様の「出来損ないだったため両親に疎まれ殺され捨てられ、しかし不死だからやがて蘇り……家族に会いに戻ったら、弟妹は両親に愛されていて。今度は、両親だけでなくそんな弟妹にも疎まれ殺され……そして最後には逆に、親兄弟すべて皆殺しにした」というのは胸に来ましたね。
 「家族から与えられたのは、殺されることだけだった。だから殺すことしか知らなかった」とか……「どうして自分だけが! 望んで期待を裏切って生まれたんじゃないのに!」という慟哭とかもうね……。
 そんな神様に救い? ありますよちゃんと。
 だから泣けるんじゃないっすかぁ……。(涙)

 また、家族を語るということは同時に、「生と死」を語ることでもあります。
 その点においても、決して安易にすませることはなく……たとえば「生きることは食べること、食べることは他者の命をいただくこと」を、説教臭くではなく、物語の中に自然と溶け込ませて語ってくれます。
 そもそもの「たねつみの儀式」が、「一族の長が次代のため、その命を献げる」というもの。
 それに対する態度にも、様々な形があり……文字通りの献身に、その思いに、胸つまされるものもあります。
 しかしネタバレになるからヘタに言えんのがつらい……!(苦笑)

 そして当然、人間そのものを描き出す物語でもあります。
 人の素晴らしいところと同時に、どうしようもなく愚かなところ、汚いところも恐ろしいまでに描き出しています。
 とある国のエピソードでは、もはやこれはサイコホラーではないのかとそら恐ろしくなるぐらいに、考えることをやめ目を塞ぎ、ただ何かを盲信し追従する、愚かさ醜さが語られます。
 もちろんそれとは逆に、誰かを一途に想う優しさや切なさが描かれることもあります。
 というわけで、ヒューマンドラマとしても超一級です。

 で、これまた当然ながら、物語を紡ぐための文章力も極上です。
 基本は会話主体ですが、たまの地の文の表現とか実に美しい。
 会話そのものもまた実に巧い。リズムもセンスもいいし、無駄にダラダラ語らせるんじゃなく、巧みに自然に色んな情報を敷き詰めてくる。
 1996年を生きる陽子(祖母)と2050年を生きるツムギ(孫)の間でちゃんとジェネレーションギャップがあり、陽子の「女の子なのに――」的な発言に、ツムギが「女らしさとかバカらしい」と反論したりするんですが、そんな会話の中身ですら、ちゃんと互いに説得力あったりと、適当にしてないのもまたすごい。

 そして、物語を彩る音楽もひたすら素晴らしいです。
 中でも、EDテーマでもある「たねつみの歌」は、まずその美しいメロディだけで泣かせてくるくせに、劇中で「子守歌」として使われているのがたまらない。
 つまり、違う時代から集った3人ですけど、みんなそのメロディを覚えてるんですよね。時代を超えて受け継がれてるんですよ。
 それだけならただのギミックですけど、物語を進めてその意味を本当に理解してくると、もうEDとか泣くしかねえんすよ……。(こればっかやな)
 またそれとは別に、胸を打つようなシーンのときに限って、オルゴール調のこれをBGMにしやがるのがなあ……。(泣)

 最後に、のっけから目にする、バースデーケーキのチョコプレートに書かれてるメッセージ。
 他愛の無い内容ながら、そののっけから結構胸にくる(しかし敢えての言及はさほどされない。ニクい)んですが、EDで改めて見るとまさに万感迫るコレで締めくくりとしましょう。

「(名前)、生まれてきてくれてありがとう」


 つーことで、ダラダラと語ってしまいました「たねつみの歌」。
 いやまだまだ語りたいけどネタバレになるからね……。(嘆)
 先に申しましたように、Switchどころかスマホでも出来るしノベルゲーなので、極上の長編アニメ(台詞飛ばさずでクリアまで15時間超ぐらい……か?)を観るような心持ちでやってみていただきたい、と思いますマジで。
 お値段は2750円(スマホは1章ずつ課金みたい)かな。多分。
 ボンクラの小説を面白いと思えるような方なら、絶対損はさせないと断言出来ます。
 いやもちろん強制はしませんが。
 ……あ、プレイする際は絶対音が聴ける環境でしましょうね。スマホで電車でやるからとかでミュートするのは勿体なすぎる。
 どんなのか気になる方は、公式サイトとかでOPムービーも公開されてるし、一度観てみて下さいな。
 ……ちなみにクリアしたボンクラが観ると、そのOPムービーだけでまた号泣出来ます。(笑)
 OPテーマもめっさ良い曲だからねえ……。


 てなわけで、ホント長々とお付き合い下さりありがとうございました。(ペコリ)

 ではでは。
 この先も、どうかよろしくお願いいたしますー。


 挿絵(By みてみん)


コメント全6件
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八刀皿 日音
2025年06月10日 22:04
――間咲さんへ。

どうも、お疲れさまですー。

いやホントに、ボンクラにドストライクでしたわ……。
正直、感動が限界値を超えたので困ってるぐらいです。

……いえね、ボンクラがストーリーメインのノベルゲーをやるのは、「あ~、面白くて良い話やった……いずれはこんな感じの話も書きたいなあ」って感じに、創作のモチベ上げとか閃きのきっかけとか得るためってのがあるんですよ。
でもあんまり感動が行き過ぎると、そっちに引っ張られるというか、どっぷり感覚が浸かっちゃうというか……新しく何かを作ろうとかいう気がぶっちゃけ失せる。(笑)
とはいえ、そこまでの作品に出会うことなんてまず無いんですけどね……今回はホントにクリティカった……ここまでとんでもないとは思わんかった。
あんまし勝ち負けで語りたくはないっすけど、このクッソ負けず嫌いのボンクラ(笑)でも、コレになら負けてると言われても素直に認められます。はい。
……あ、でも向こうは、音楽と映像の後押しがあるからなあ……。(どっちやねん)
八刀皿 日音
2025年06月10日 21:16
――オムライスさんへ。

どうも、お疲れさまですー。

そうっすねえ、あの3人が並んだ画像は、いわゆるサムネ詐欺とも言えそうですやね。
何も知らなきゃ明るいギャルゲっぽくもあるしね。(笑)
……でも、物語を終えて改めて見ると、あのタイトルと物語を表すのに、あれほど相応しい画像も無いな、ってなるんですよ。実は。
3世代の少女が同い年で旅をする――ってのはいかにもキャッチーですけど、ただそれだけじゃなくて、「だからこそ描き出される物語」になってるんです。
必然性も意味もあって、だからそのあたりをすべて呑み込んだ上で見ると、あの画像がひたすら尊くて感動してしまう。(またか(笑))
そんなところもまた巧い。
あ、ちなみにですが、ボンクラの解説だと「ひたすら重苦しいつらい話」みたいですけど、いや実際過酷で残酷な面もあるんですけど、そうしてでも描き出されるのは「生命への賛歌」であり……本当に色んな意味で美しくて優しい物語なんですよね。
いわゆる鬱エンドとかじゃなく、ご都合主義な大団円とかでもなく……でも心から「良かった……!」と思える物語だからこそ、ここまで感動させられたんだと思います。
八刀皿 日音
2025年06月10日 20:34
――夕立さんへ。

ウザったくてマジに申し訳ない!
しかし語らずにいられなかった……それほどに近年稀に見る衝撃だったんす……!

……ということで、さあ、夕立さんも語るんだ……!(道連れ)
間咲正樹
2025年06月10日 10:01
更新お疲れ様です!
「たねつみの歌」はボンクラさんの説明を聞いている限り、ボンクラさんの作風にドストライクなお話ですね!
ボンクラさんがシナリオ書いているって言われても信じるレベル(笑)
お疲れ様です!

とりあえず、たねつみの歌でググってみたら3人が並んだキービジュアル? みたいなのが出てきたのですが、パッと見だと八刀皿さんが語ったような内容は想像できない雰囲気(笑)
蓋を開けてみないと何が名作か分からんですよね〜。
夕立
2025年06月10日 00:01
ゲームやってるとガチで涙ちょちょぎれる作品に出会いますよね~。
語りまくっても知らない人からしてみたらただうざいだけなので、あえて語りませんけど。

いやしかし、「たねつみの歌」。
愛の深さが文字数に表れまくっておりますなw(好きすぎるものは語りたくなるのめっちゃわかります)