2020年05月08日 (金) 13:30
今までは概ね主砲口径や排水量については考えてみていたのだが、今度は装甲に焦点を当ててみる。
知っている者は知っているだろうけれど、日本の重巡はちと特殊だ。
英米は基本的に艦体と砲塔ともに装甲を張っているものだろ考えてよい。
だが、日本は違うんだな。日本の場合、砲塔は断片防御だから1インチ程度しかない。逆に艦体の防御性能は列強よりは圧倒的に厚い。
高雄型を例にすると……
舷側:127mm(最大厚)、38mm(水線下)、102mm(水線部)
水平:34~46mm
主砲:25mm(前盾)、25mm(側盾)、25mm(天蓋)、25mm(後盾)
バーベット:38mm(甲板から上部)、25mm(甲板から下部)
弾薬庫:38mm~76mm(舷側)、47mm(天蓋)
である。
ヨーク級を例にすると……
舷側:76mm(機関部・水線部)
水線下隔壁:25mm~51mm
機関部:6mm~35mm
弾薬庫
ヨーク:64mm~102mm
エクセター:64mm~120mm
艦橋:25mm
主砲:25mm(前盾・側盾・後盾・天蓋)
主砲バーベット:25mm(甲板上)、12mm(艦内)
ノーザンプトン級を例にすると……
舷側:76mm(水線面主装甲)
甲板:38mm(主装甲)
主砲塔:64mm(前盾)、38mm(側盾)、19mm(天蓋)
バーベット:38mm
弾薬庫:95mm(舷側)、51mm(上面)
司令塔:32mm(側盾)
これを見て明らかなように艦体防御に配分の比重を高めている。
これは、分艦隊旗艦として殴り込みをした場合、集中砲火を受けるという前提で(ソロモン海域での神通みたいにね)出来るだけ長く戦場にいることが出来ることを目的としている。
あと、砲塔数で比較した場合、日米個艦比5:3であり、砲戦能力が仮に喪失したとしても、自分より相手の方が先に喪失するという理論によって砲塔防御性能を敢えて落としているという意図がある。
これによって削減された分を他の防御性能向上へ役立てるととともに重臣の低下に役立てている。
まぁ、理屈上、不沈巡洋艦を目指したと言える部分だ。上部構造物が全損しても作り直せばよいという割り切りともいえる。
さて、ここまでは前提の予備知識というモノだ。
本題は次にある。
このはと世界では重巡規格というのは既に有効性を失っているわけで、超巡規格がスタンダードになる。
その場合、恐らく、重巡規格同様に均等に割り振って重要区画に回すという集中防御に大英帝国は行くだろう。
だが、アメリカの場合、バルチモアorデモイン級のそれとアラスカ級だから、基本路線は重防御へ移行すると思う。
日本はどうだろうか?
ヴィッカース45口径10インチ砲を薩摩型などで採用しているけれど、これの最厚部は120mmであるという。恐らくこれは前盾の数値であるから、側盾は60mmくらいだろうし、似た様なものではないのだろうか。
ちなみにヴィッカース45口径10インチ砲の砲塔重量は270トンくらいだそうだから、それほど極端に重いものではないのだろう。これ弾薬庫の分も含んでるんだろうな。砲塔の分だと200トンくらいなのかな?
尚、超甲巡の長31cm砲だが、wikiによるとバーベット部は前面装甲210mm、後面190mmという資料があるが、詳細は不明であるという。ただ、砲塔重量は1000トン超える重装甲だという。
代わりにアラスカ級のそれを参考にすると……
砲塔前面:12.8in (325.1mm)
砲塔後面:5.25in (133.4m)
砲塔上面:5in (127mm)
砲塔側面:5.25-6in (133.4-152.4mm)
バーベット:11-13in (279.4-330.2mm)
これ、前面装甲210mm、後面190mmってのはバーベット部の数字でなく、側盾と天蓋の数字じゃないんだろうかと思う。前盾にしては薄いしね。あぁ、でも、やっぱりおかしいな……この数字……。
同じ12インチを積む河内型を比較対象にすると
305mm(前盾)
279mm(50口径側盾)
254mm(45口径側盾)
279mm(後盾)
76mm(天蓋)
279mm(主砲バーベット:最厚部)
であって、明らかに河内型よりも軽装甲になってしまう。ってことは弾薬庫の装甲なのか?
ますますわからん……。
長門型 主砲塔 改装後
前盾 305+152 VC
側面 280-230 VC
後面 190 VC
上面 228-250 VC
床面 102 VC
バーベット 305-229 VC+229-124 VC
ということは少なくとも
前盾450mm
側盾250mm
後盾200mm
天蓋200mm
バーベット300mm
くらいで見積もっても概ね同じくらいの数値にはなりそうだね。
そう考えるとなるほど、確かに重装甲だな。