中島「誉」発動機を再考してみた
2023年03月24日 (金) 02:11
いつもの飲み屋で呑んで帰ってきて一息ついていたときにふと思ったのだが・・・・・・中島「誉」って2000馬力級発動機として考えるから問題があるように見えているだけじゃないのか?

44年の粗製濫造時でも一応1600馬力は発揮していたこと、海軍の保証値が1700馬力であったことを考えてみたとき、出力1割減であり、オクタン価100で1800馬力を前提とした際のオクタン価92で1650馬力程度という簡易計算のそれでも一致していることから、1600-1650馬力定格というそれであるならば特に問題がないのではないだろうかと思う。
(※1:烈風開発時の三菱計測では保証値1700馬力、実測1300馬力)
(※2:運転制限時の運用では2000馬力→1800馬力)

例えば、零戦52型、53/63型、54/64型あたりの機体に栄31型や金星62型を搭載するのではなく、誉を搭載し1650馬力定格とした場合、稼働率は兎も角、純粋に馬力アップとなり尚且つ栄譲りの低燃費を達成出来るのではないだろうか?

ざっくり計算すると零戦52型丙と同じ要目で栄21型を誉21型に置き換え、1650馬力と仮定した場合は以下のような性能となる。

全備重量:2,955kg→3,375kg
航続距離:2,840km→2,268km
燃費(粗):2.7km/L→2.2km/L
最高速度:560km/h→605-623km/h
馬力荷重:2.6kg/馬力→2.0kg/馬力
翼面荷重:138.7kg/m2→158.4kg/m2

この数字は烈風11型に相当する数字になるのだが、一応示しておこう。

全備重量:4,719kg
航続距離:2,500km
燃費(粗):1.9km/L
最高速度:624km/h
馬力荷重:2.1kg/馬力
翼面荷重:152.9kg/m2

思うのだが、金星零戦こと零戦54/64型作るより、性能制限した誉を積んだ仕様をでっち上げた方が良くないかこれ。

「このはと」では誉を作らない方向で考えていたのだが、2000馬力級発動機としてではなく、低燃費1500馬力級発動機として考える限り、悪い選択ではないし、ハ43の実用化までのつなぎとしてなら十分に役立つ発動機になりそうな気がする。

例えば、爆撃機用のハ34-1、ハ34-11が燃費悪いから同じ1500馬力級で低燃費の誉を開発して1500馬力級の発動機を統合するという格好なら一応納得出来るしメリットも提示出来る。

だが、所詮は1500馬力級発動機でしかないからどう頑張っても1800馬力あたりで打ち止めであり、2000馬力級発動機は別枠で開発するという方向になる。それがハ44という扱いならハ44の早期開発に繋がるのではないかと考えてみた。
コメント全13件
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有坂総一郎
2023年03月25日 15:41
>戦艦同士の砲撃戦で観測機を排除するのが目的で滞空4時間

米帝様の観測機程度なら、零式水上観測機で十分に撃退出来るから艦上戦闘機の必要性をそこから勘定する必要があるのかという問題もある。ぶっちゃけ、その程度の要求なら空母の必要性は絶対条件ではなく、水上機母艦や利根型に搭載した水上戦闘機で十分に対処可能なんだよな。艦上機に固執するにしても発着艦の利便性という点なら軽空母で事足りる。

そういう意味でも日本の艦載機(艦上、水上問わず)は割と層が厚いと同時にかゆいところに手が届く部分がある。まぁ、それは国力の貧弱さからくる工夫でもあるのだが。

ただし、艦上戦闘機の運用方法という面については一考の余地がある。これは艦隊決戦用のそれという考え方ではなく、フロム・ザ・シーやエア・シー・バトルといった要素が前提条件の一つにあると言うことだ。

尤も史実零戦の開発方針も巷で言われているようなそれではない部分もあるから尚のこと、ドクトリンを前提に考えないといけない。


とらきち
2023年03月25日 12:50
出力制限は軸受けの焼き付けやエンジン加熱問題もあると聞いたから、英国からのメタル金属の支援や空力設計技術の導入が出来たら1800馬力までは安定して出せそう、2000馬力ならドイツメッサーの後期型くらいの稼働率はあるでしょう
そして中島はボアストロークで毎回違って成功作と言えるのは栄、誉位だから未来知識持ちでも開発の後押しをしそう
疾風で補給部品と整備兵の腕が有れば国内部隊で稼働率8割という実例も有ったし

海軍機の要求仕様
航続距離ではなく戦艦同士の砲撃戦で観測機を排除するのが目的で滞空4時間と何かの本で読んだがそちらだとレーダーの早期開発が無い限りそれほど変わらないのかな
途洋爆撃で被害を出して一緒に護衛できる戦闘機と言う要求ならそれが無くなっているから航続距離の要求水準は下がりそうだが
有坂総一郎
2023年03月25日 12:22
>キ116

ハ33-62搭載の場合、速度は概ね592-613km/hだから600km/h程度になるだろう。
ハ45-1650搭載の場合、重量増減がないから585-604km/hだから595km/h程度になるだろう。

そこまで極端な性能低下にはならない。馬力荷重は大差ないが、翼面荷重はハ33-62の方が条件が良いから格闘戦については良好な性能であると思う。

でも、これ、あくまで思考実験的に数字を当てはめただけだから零戦52型丙にハ45-1650を搭載したと仮定しての数字同様に参考の数字でしかないと明記しておきたい。
有坂総一郎
2023年03月25日 11:49
>1500馬力誉

問題はハ33やハ34で1500馬力を達成出来る状況が見えている中で開発を進めるのかという問題があるけれどもね。特に戦時下においてなら最初から2000馬力を目指していくのが自然ではある。

けれども、栄ではどう頑張っても1500馬力までは引っ張れないのは明白だから、栄と同様に低燃費の出力強化という名目であればと思うが、結構厳しい条件のような気がする。

あと、2000馬力ハ45を基礎とした機種は全てハ43で考え直す必要が出るだろう。これは2000馬力という馬力を前提としていることによる対処である。

とは言えど、そもそも論として、陸軍機も海軍機も未来展望について史実準拠というわけにはいかないから、前提がそもそも成立していないという話もあるが。
アルパカ
2023年03月24日 22:50
18気筒1500馬力で、本当に海軍と握れるなら、開き直って開発するのもありかもしれんね。
初めから18気筒に改造を見越し余裕をもたせて栄を開発し、無理をせずに誉を史実より早期開発できれば、十分役に立つね。
米帝との開戦時に隠し玉として零戦に載せれたり、二式艦偵や彗星に載せれば最高だろうな。
熱田エンジンがいらん子になるが。
大山石鎚
2023年03月24日 16:08
1500馬力誉、小直径に高燃費と普通に高性能で、平時で量産に余裕あるなら偵察機~重爆まで採用前提で開発しますよね。

比較対象ハ112の排気タービン搭載ル型は、高度1万mまで1250HPを維持と唯一の高高度成功エンジンとなり、こちらも早期登場させたいですよね。
満州飛行機移管のハ112搭載疾風キ116は、重量500kg減で翼面荷重25 kg/m2減と機動性向上
ル(排気タービン50kg)を足し例の計算式だと、誉搭載1620hp640km/h高度6100、ハ112搭載重量ー500kg+ル50kgの1250hpで611km/h
五式戦ル搭載型のデーターだと6000m~10000mまで580km/h維持していたので、高高度型として十分通用しますよね。
有坂総一郎
2023年03月24日 13:51
>誉の開発より先に、ゼロ戦の要求性能は史実のソレとなるのだろうか

今回は1500馬力級扱いしたらと言う前提で数字を打ち込んで調べただけの思考実験だからね。実際、「このはと」世界における次期艦上戦闘機については全くの白紙。

本来、誉どころか栄ですら開発しない方向で考えていたのに、執筆を進めていく上でどうしても海軍側の意思が栄を必要としてくる方向に思えてならない状態だと気付いてしまったのも予定外だった。

>フロム・ザ・シーに必要な戦爆能力かもしれない

イメージとしては爆戦・・・・・・零戦62/63型が適当なのかどうか微妙なところであるが、日本の爆戦は陸軍の戦闘機か零戦62/63型くらいだからアレだけれども、急降下爆撃を望むとすれば、方向性は流星、米帝で言えばF8FやAD-1を目指すことになるのではないだろうか。

実際問題、海上からの地上支援攻撃を考えれば、優先されるのは爆弾搭載量>航続距離>速度になるだろうね。けれど、これって艦爆に強力な機銃を装備させるという発想の方が適当じゃないのかと思ったりもする。若しくは戦闘機無用論的な発想の延長線でのそれか。

>米帝が支那へ深入りし、日本は史実の状態に無いから海軍の戦略も違うはず

米帝のハルゼー艦隊が艦載機開発要求によって影響を受けた米艦載機というそれを目にして方向性が転換するというのもあり得るが、それはそれとしても自前のドクトリンに従った艦載機は必要なのも変わらない事実だしなぁ。
有坂総一郎
2023年03月24日 13:39
>わざわざ18気筒化して並みの性能

そこなんだよね。メーカーとして技術者としてそれを許すのかという問題。
ただし、2000馬力を目指したが実用域に達していないことから「現段階では1650馬力」「オクタン価100での運用では1800馬力だがオクタン価92では実測では1650馬力」「ハ34-11やハ33-62よりも低燃費」という御題目を並べる限りは・・・・・・駄目かね?

>中島はハ5系に集中すべき

理屈ではそうなんだよね。ただ、栄の燃費を考えると同様に燃費が良い誉は開発しない理由を出すのが難しい。そもそも栄をなんで開発したのか、そこから考えると、明確に海軍は金星(ハ33)を戦闘機用として使いたくなかった背景がある。態々金星の技術を中島に導入させて栄の開発にあたらせているらしいからね。

>同じ馬力ならシリンダーの数が少ない方が優秀
>ピアッジョにも18気筒

その通り。本質的に同じ1500馬力級と考えたらハ33-62やハ34-11の方が優秀であるのは間違いない。けれど、それらは限界性能であることは言わずもがない。1000馬力→1500馬力まで引き上げているからそれ以上は技術的に難しい。

けれども、誉の場合、1500馬力→2000馬力まで引き上げられる。また、排気量が大きい分性能を上げやすい。よって、「当面」という扱いであれば1500馬力級スタートという選択肢はないわけではないと思う。ただし、メーカーと技術者がそれを許容するかの問題は残るが。

>誉の発動機重量800kg台というのをどうやって納めるか

上記の数字は根拠のある数式に実機の改装における数字の変化とを込み込みにして算出したモノだからそれほど間違っていないはずだよ。当然、重量増に対するバランス取りをした重量も計算に入っている。おおよそ5%程度の重量加算で殆どの場合が実機の改修した後の数字と合致している。むしろそれでも余計に重いくらいだ。

>制限出力

より正確に言えば、誉11型は1800馬力定格、誉21型は2000馬力定格であるけれど、運転制限で1割減の定格扱いであった。これを適用するとそれぞれ1620馬力、1800馬力となる。本文中における性能制限とはこれを指している。よって、上記の零戦52型丙に誉21型を搭載した数字の場合、1800馬力という扱いでも良かったのであるが、そもそもオクタン価100における2000馬力定格であり、オクタン価92においては1850馬力に出力が低下する。よって、そこから1割減した1650馬力と算定したのである。

要は公称値ではなく実勢値を定格としただけで何も出力制限したわけでも何でもない。本来の性能を代入しただけのことなのである。
さて、誉の開発より先に、ゼロ戦の要求性能は史実のソレとなるのだろうか。

漸減作戦は空中魚雷艇が担うので空母直掩やらアウトレンジよりも、フロム・ザ・シーに必要な戦爆能力かもしれない。

もし、戦爆能力が挙がって来るなら、速度ウンヌンではなく、爆弾搭載を前提にした馬力の話に方向が変わるので、史実のソレなど無関係な話をしないとイケない。

米帝が支那へ深入りし、日本は史実の状態に無いから海軍の戦略も違うはずで、さて、どうしたもんか。
攻龍
2023年03月24日 11:41
制限出力でというと、誉の発動機重量800kg台というのをどうやって納めるか、に尽きると思います。
栄より金星でも2割近く重いのに、誉は6割も重いのに性能制限だと3~4割しか馬力出てない…(制限なしだとほぼ6割増の出力で問題なし)。
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