帝国陸軍の防弾鋼板
2023年04月09日 (日) 17:24
第一種防弾鋼板:均質圧延鋼板
第二種防弾鋼板:浸炭処理鋼板
第三種防弾鋼板:表面焼入鋼板

サンプルが少なくてなんとも言えないのだが、一式機動四十七粍速射砲、一式四十七粍戦車砲の貫通性能を見る限り、日米の両方の比較で第二種防弾鋼板は第一種防弾鋼板を30度傾斜させた数字と近似すると言えるだろう。

よって、第二種防弾鋼板を防盾や正面装甲など主要部に垂直であっても設置する効果は極めて大と言えるだろう。

となると、50mm前後の戦車砲を前提とした場合、砲戦距離500-1000m付近を想定する場合、第二種防弾鋼板は概ね30-50mmあれば十分な数字であると言うことになる。

そう考えるとチヘの正面装甲50mm:第二種防弾鋼板というのは必要十分な数字であると言える。日本の戦車は正常進化を遂げていることがこれらの数字からも裏付けられ、逆に独ソの戦車が異常進化を遂げているという傍証になろう。

ちゃんとノモンハンにおける戦訓を取り込んだ結果がチヘなのだと改めて感じ取った。
コメント全7件
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有坂総一郎
2023年04月09日 22:17
HEAT弾、要は帝国陸軍で言うところのタ弾(穿甲榴弾)の研究の一環と考えれば、それはそれでありか。

作中で方向性としてはタ弾の早期投入を狙うことは執筆初期から出していたことだから、それなら防弾鋼板の研究とセットで話を考えることは出来そうだね。
Ulysses
2023年04月09日 22:02
あ、でも高速域での侵徹体の振る舞いは研究してもらう価値はあると思いますよ。なんでかっていうと、こいつがHEAT弾の性能に直結するからですね。結局のところHEATのメタルジェットって超高速の侵徹体として扱えますから。(なんなら下で言った侵徹体関連の研究においてHEATの性能向上で研究されていた部分が影響を与えたくらいですし)
有坂総一郎
2023年04月09日 19:03
>パンツァーだったかで書かれていたんだったかな

多分、それじゃないのかな?パンツァーとかっぽい記事の抜粋のpdfだったから。でも、抜粋だから原典はわからない。

でも、内容はまさにその通り。

>理論は1950年代に発展して最終的に1987年にForrestallによって完成されたらしい

となると、装甲のそれを考察して作中反映はあまり意味のない行為かも知れないね。仮に有坂→東條経由で反映させるにしても指摘通り研究止まりなんだろうなと思う。

仮に第二種防弾鋼板を増圧させるという方向にシフトするにしてもそもそも分厚い装甲板の製造が可能かという問題に至るしなぁ。チリに使う第三種防弾鋼板の焼入で八幡製鐵所が大分苦労したという話もあるし。
Ulysses
2023年04月09日 18:02
砲弾が装甲に衝突した時の振る舞いってこの時期はまだ全然解明されてないんですよね。今だったら様々なシミュレーターがあると思うからそれを使えば割と詳しいところまでわかるのかな?確か侵徹体の装甲内での振る舞いの理論は1950年代に発展して最終的に1987年にForrestallによって完成されたらしいのでその理論の一端でも作中有坂総一郎が持っていれば東條さんが地震やらレーダーで繋がりのある教授を通じて研究できるかもしれないですね。(まあ流石に戦争には間に合わないでしょうが)
パンツァーだったかで書かれていたんだったかな、ドイツの場合は浸炭焼き入れではとてもではないが戦時量産性が担保できずに表面焼き入れ法を採用し、結局その程度のものではもはや無意味という事で廃止したという話を書いていたような?

さらに粗製乱造の影響もあって焼き入れ鋼板の溶接割れがとても多くてあの噛み合い式接合によって溶接不良に対応していたとか。

艦艇でも基本船体には広範囲に溶接を採用しても、舷側装甲の様な極厚装甲に溶接を適用できたのは米帝だけだったという話も世艦で読んだ記憶が。
有坂総一郎
2023年04月09日 17:34
>表面硬化なんかやってもコスパが悪い

どうなんだろう?

少なくとも参考にしたpdf資料だと80mm厚以上は硬化鋼板のメリットがなさそうであるとしているし、その上で末期ドイツ戦車は表面硬化を一律廃止して圧延鋼板にしてしまっているとある。
HVAPやらAPDSになると表面硬度よりも被弾経始の優位性が高くなるんかな?

量産性や大口径高速弾への対応を考えたら、表面硬化なんかやってもコスパが悪いと。