2015年08月04日 (火) 18:05
実生活が停滞というか人間の生活ではなくなっている状況でしたり顔でこんなことを言うのはおかしいかもしれないけれど。
全くこの世界とは違う異世界を描くにあたって、この世界の文化・文明をつぎはぎしている作品を見ると、悲しくなる。
それならば何故歴史ファンタジーにしなかったのか、と。
僕は中退したとはいえ言語を専攻していたので、ほぼ正確にその元を類推出来てしまう。
専攻言語だったものを使われた日には、その歪さに苛々してしまう。
また、欧州諸言語は相互に深く関わりがあるので、共通点も多く、読んでいて苦しくなる。
短編一つ書き上げる事の出来ない空っぽの僕がいう事ではないかもしれない。
でも、安易に、実世界に現存する文化を切り貼りするのは控えてほしいと、物語の紡ぎ手である人達へ願わずにはいられない。
一から世界をつくり上げる事はとても困難だし、現存するものを流用した方が説得力はある。
だがそれは、世界の盗作に過ぎない。
剽窃、盗作は、「小説家」たらんとすれば、最も避けたい行為の筈だ。
どうか、世界を盗まないで欲しい。
安易な大作ではなく、慎重なあなただけの作品を。
「消費される」物語を目指すならば、それなりの設定を。
力のない、一介の読み手として、僕は願わずにはいられない。
定められた権利でも義務でもなく、物語への誠意をもって、紡ぎ手であって欲しいと。
まぁ、物語どころか、一編の詩すらうたえない、空っぽの僕が、実生活の中で潰れかけている僕が、そんな事を願うのはひたすらにおこがましいのだろうけれど。