2018年03月24日 (土) 23:15
俺が昔住んでいる村は、小さくみんなが貧乏な村だった
だけど、村の人たちは優しくて大好きな村だった…
「ひろぉ~」
俺は当時思いを寄せていた優奈という少女とよく一緒に遊んでいた
「今、行く」
「早く帰ろ」
「うん」
そんなどうでもいいような会話をいつもしていた
しかし、そんな会話は日常でもあり幸せでもあった
「ひろは大きくなったら何になりたいの?」
「俺は、ヒーローになる」
「そーなの」
「絶対なる!」
「じゃあさ私がピンチになったら助けてね」
「もちろん」
「約束ね」
彼女は小指を差し出していた
「うん」
その時は、こんな平凡で幸せな日々が続くとばかり思っていた
その日の帰り道いつものようにつまらない会話をしながら歩いていた
すると…
空から黒い光が落ちてきたその光は優奈に直撃した
「・・・」
自分も少し光を浴びたため体に力は入らず声も出なかった
「おい、嘘だろ…」
そう言いながら深い眠りについた
気が付くとそこは、見覚えのないベッドの上だった
目の前には見たことのない大人が沢山立っていた
俺が目覚めた瞬間急に騒ぎ出した
「君は、あの恐怖に抵抗できるユウイツの人間なんだよ」
「はい?」
「だーかーらー」
「それより、優奈はどこに行った」
「え?」
「優奈とは」
「ここに来る前に俺の隣を歩いていた女の子だよ」
「我々が救助したころにはあなたしか…」
「優奈をどこにやった、母さんは父さんは」
「残念ですがあなたの住んでいると思われる村は消滅してしまいました」
「でも、あなたは生き残りましたそして」
「うっせぇ、独りにしてくれ…」
「あれ…おかしいな」
頬にはもう涙が垂れていた
「まもるやくそく…」
「ですが、あなたは力を手に入れました」
「うっせぇ!」」
「その時の俺には、ただ泣くことしかできなかった」
その日から邪神や魔物と呼ばれるものが出てきた
また、世界各国で光が降ってくる現象が起こるようになった
それから強い力があるとか何とかで『始まりの零』と言われるようになった
しかし、その能力は聞かされていなかった
そこから国の用意された場所に住み、用意されたものを食べる日々がひたすら続いた
もちろん戦うためにと言われ訓練という名目で四六時中、鍛えさせられた
そんな日常に嫌気がさしてある日逃げ出した
走って走って走った…
だがそれもすぐ力尽きてしまった
「ここは…」
目が覚めるとベッドの上にいた
「もう嫌なんだ、やめてくれ」
思わず叫ぶと見たことのないお爺さんが立っていた
「大丈夫かい?」
「あ…はい」
「町で倒れているのを見て連れてきてしまったよ」
「ありがとうございます」
「所でどうしたんだい?」
俺は今まであったことを全て話した
「聞いてくださってありがとうございました」
「通報するなり、どうぞ」
「何を言っているんだい?」
「え?」
「君は、帰りたくないんだろう」
「はい…」
「ならここに居ればいい」
「・・・」
「待っててくれ合わせたい人がいる」
「誰ですか?」
「やめておじいちゃん」
可愛らしい女の子の声が聞こえてきた
「この子は時雨って言うんだ、親がいないんだよ」
「今日から君の姉だ」
「あの、スミマセンが何歳でしょうか?」
「時雨は七歳だが…」
「僕、八歳です」
「おお、すまんすまん」
「妹だったか」
「宜しくね時雨ちゃん」
「・・・」
反応してくれなかった
「あっと、すまん私の名前を言い忘れていた」
「私は、如月祐吉だ」
「すいません、本当に」
「いやいいんだよ」
こうしてこんなふがいない俺を家族同様に接してくれた
そしてこの時から如月大としていきて生きていくことになった