予定は狂うもの
2020年01月31日 (金) 23:54
続きを書きつつぽけーっと読み直したりするけれど、本当物語は描いて見るまでわからないものだなぁ、と思う。
文章として設定もプロットも組み立ててないし、大筋だけ決めて後はふわふわっと適当に描写を重ねつつ。

それでもキャラクターを出すときにはどのような最期にしようか、くらいのことは考えていて、ダグラ、ミア、カルアのくろふよトリオなんかは最たるものだろうか。
わりと戦死させる予定で出していて、ダグラがまずは戦死。
そしてその後にミアとカルア、どちらかがどちらかを庇って死ぬ、みたいな流れを考えたりしてた。
そうした経験を経て、生き残った一人がクリシェの伝説の副官として語り継がれる――みたいな感じ。

実に戦記っぽい、と考えた当初は思っていて、それしかないと考えたものだけれど、実際描いて見ると「あれ、クリシェさん普通にダグラさん助けちゃいますね」だとか、「あ、バグさん達やくろふよの皆さん、どう考えても命を投げ捨ててでもカルアやミアのこと助けようとしますよね」だとかで予定が狂い生き残り。
「内戦終わったらクリシェさん、身内から死人が出ないようにするんだろうな……」みたいな感じで三人とも、なんだかんだで老衰を。
ガーレンさんも「あ、この人意地でも殺されませんよね」みたいな感じで戦死の予定が変わったり、個人的に考えていた運命が結構変わってる。

予定よりもクリシェの性格がずっと柔らかくなったこともあるんだろう。
そのせいかそのおかげか、色んな人が幸せな終わりを迎えていて、主人公は運命をねじ曲げる存在なんだろうな、と改めて感じる。
その他の登場人物を含めて、必死に足掻いて生きているから運命が変わる。

キャラが勝手に動いた、だなんていうけれど、書いているのは作者だし、こういうものは個人的なキャラびいきなのだとも言えるもの。
想定が甘かったというならそれまでで、けれど僕の中には僕の中の『彼等、彼女らの美しい運命』が前提にあって、言うなれば神様の側。
僕が読みたい『美しい物語』のために僕の好む『美しい人生』を全うしてもらうつもりであって、そこへ介入しているつもりはなかったりする。

作者がやるのはここがどんな世界で、どんな人物がどんなタイミングで現れるか、どんなことが起きるかくらいのもの。
作者は昔思っていたよりもずっと不自由なもので、一度描いた世界そのものはどうにもできないし、出てきた登場人物の性格も心情だって変えられない。
それが出来るのはその世界に生きる登場人物だけ。
それをやってしまえばその世界は世界ではなく、その物語は物語ではなく、作者の頭の中から妄想を羅列しただけの下らないものになってしまう。
だから作者に出来ることは新たな巡り合わせを作るだけ。

なんだか錬金術でもやっているような気持ちだろうか。
材料を集めて火で炙ったり、水に溶かしたり他の物と混ぜたり、出来るのはそれくらいで、後は眺めるだけ。
金を作ろうとしたら求めていない火薬が出来たり、そういう混沌を黙って眺める気分。

結末は変わっていないけれど、当初考えていた美しさからはなんだか少し別のものが出来てしまった感じで、けれどこれが登場人物達が足掻いて色々なものを積み重ねた結果と思えばそれはそれで美しく思えて。
物語は何というか、やっぱり奥深い。
コメント全3件
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コメントありがとうございます。

個人的にも結構寂しいものがありますね。
ただ、しばらくは何だかんだでこれから離れられなさそうです。
コメントありがとうございます。

作者は神のようであっても神ではないもの。
結局強いのはその世界に生きる登場人物達ですね。
物語が手を離れるほど書き手である自分でさえ先が分からなくなり。
そういうところが面白いのですが、それを上手く微調整して美しく描きあげるのが理想の作家でしょうか。
出すべきものを出した後には何も出来ないからこそ、出し切れば終わりですし、それが物語の完成に近づいている証左と言えば、仰るとおりで正しいものだと思います。
薫風亭
2020年02月09日 17:06
進めば進むほど手段は増えるが行動が縛られていくって言うのは物語あるあるですね
物語の強制力とキャラクターの強さ(性格や魅力など)が確立されていけばどんどん作品は作者の手を離れて行くような…?なので石を水面に投げるしか出来ないって状況になるとそれは物語の完成に近付いているのかなとも素人ながら思ってたりします( *´ω`* )
ちょっと何言ってるのか分からないけれどそんな感じですかね!(丸投げ