2023年11月12日 (日) 22:38
書籍化のご報告で皆様から本当沢山の応援を頂いて、とても嬉しかったです。
ありがとうございます、と言えるときほど幸せなこともないでしょうか。
正直書籍化することよりも、皆様に喜んで頂けることの方が嬉しいと言えば嘘っぽくなると思うのですが、実際そんな気持ちです。
無論聖人君子ではありませんし、人並み外れた善人という訳でもありません。
ですがこの小説を書き始めてから本当に、誰かに喜んでもらって、感謝されるということはすごく幸せなことだな、と思います。
昔はもっと傲慢な人間でありました。
初めて二次創作を書いてネットに投稿した時なんかはまさにそう。
自分は賢く、面白いものを書ける人間だと思っていましたし、処女作であっさりと賞を取ってしまい、デビューしたときには天狗です。
仮にそのまま順風満帆な作家生活を送ろうものなら、その鼻も天に突き立つほどになっていたのではないかと思います(いわゆるアルベラン鼻。
ただそう上手くは行かず一巻打ち切り、企画も通らず。
元々創作理論なんて全く勉強したことがなかったもので、面白い企画やプロットを書けと言われてもまぁ、全然書けたりしないわけです。
必死になって創作の本を買ったりと色々勉強して、理論で物語を作ろうとしたものですが、何故か面白いと思えません。
処女作に思い入れがあまりに強く、面白いものだとも思っていましたので、なんで評価してもらえなかったの? ということばかりが頭をぐるぐると。
人間は大抵自分より、他人に責任を押しつけようとしてしまうもの。
心のどこかではこの面白さを理解出来ない世界が悪いだなんて思ってました。
まさに頭の良くないクレシェンタみたいな人間です。
けれどまぁ、一度走り出してしまったら後には引けないもので、作家として売れたいだとかを考え進んでいたものの、そうしている内に霧の中。
ほとんど小説を書かないままに何年も過ごしてしまい、そもそも昔のようにちゃんと小説を書けるのかさえも怪しく思えてきます。
批判的に物事を見てきた弊害もあるでしょう。
何の作品を見てもそのほとんどが面白く思えなかったですし、自分の中から出て来る流行を取り入れたアイデアも陳腐に思えて、面白いとも思えず。
かと言って自分が書きたいものを書いた所でウケなんてしないだろうと彷徨いながらぐるぐる(二回目)と、思考の迷路で亡者の如くに時間を浪費しておりました。
このまま過ごしても無駄な時間を過ごすだけ。
評価されなくてもいいから書きたいものをひとまず書いてケジメを付けて勘を取り戻し、それから人気が出るような、評価される話を書いて行こう。
そんな気持ちで書き始めたのが本作です。
そういう心地で打算的な始まり。
けれど初心に返るというのはこういうことを言うのでしょう。
完全に自己満足、自分が読みたいものを書いただけの作品を好きになってくれる方がいて、感想をくれて、初めてネット小説を投稿していた頃のことを思い出しました。
自分が書いたものを楽しんでくれて、感想をくれて、当時はそれだけが楽しくてやっていて、僕はただただそれが好きで小説を書いてたんだな、と。
もちろん物語を作ることは楽しいことです。
自分で書いたものを読むのも好きです。
ですが、僕個人としては多分、自分の書いたものが誰かに伝わって、喜んでもらえることが一番好きなんだなと素直に思えるようになりました。
共感というものをテーマの一つとして偶然選んだことも、心のどこかにそのような初心が訴えていたからなのかも知れません。
面白いと思ったものを面白いと思ってもらえることが何よりの幸せで、創作ってそれだけで良いんだよ、と物語や皆様に教えてもらう心地でした。
万人にウケるウケないだなんて、伝え方の良し悪しと運次第。
もちろんそれに頭を悩ませることも大切ではありますが、あくまでそれは一つの結果です。
そんなことより大切なことは、自分の作品を楽しんでくれる方に感謝すること。
自分が面白いと思うものを伝えるために誠実であること。
そういう気持ちなのではないかと改めて。
この作品が書籍化することは嬉しいです。
けれどそんなことよりも、そうなることを沢山の方に望んで頂き、応援して頂き、喜んで頂けたことが、僕にとっては何よりも嬉しいことです。
おかげさまで沢山のことに気付けました。
本当にありがとうございます。
言葉は便利すぎるもので、感謝の言葉も普段は一言であっさり済んでしまうもの。
ですから一度、きちんと言葉を尽くしてお礼を言いたいなと思っておりました。
正直書籍化の報告でこれほど喜んで頂けるとは思っておらず、早くお伝えしたいなと思いつつもこの日が近づくと内心びくびくしておりましたし、それだけにすごく嬉しかったです。
重ねて、本当にありがとうございます。
商業は厳しい世界。
情けなくも絶対に皆様の期待に応えてみせると断言出来ませんが、期待に応えられるよう、最大限の努力をするつもりではあります。
これからも応援頂ければ幸いです。
ありがとうございます!
この作品をずっと愛して頂けるのは本当に嬉しいですね。
普通の百合好きな方にはちょっと入りづらい世界観ではありますが、だからこそ描ける関係性やドラマがあると思っていますので、そういう魅力に気付いて頂けたなら本望。
そう言って頂けて幸いです。