2018年11月22日 (木) 20:05
戦闘妖精雪風。神林長平によるミリタリーテイストのハードSF作品である。私としては俄然オススメできる作品だ。但し、一巻と二巻までで三巻は読まないほうがいい。
この作品の背景は、ジャムなる異星人が地球に侵攻。辛くも撃退した人類は、ジャムのワープ通路を辿り、行き着いた惑星フェアリィに多国籍軍を派遣。空軍しか繰り出さないジャムと日夜熾烈な戦いを繰り広げるというもの。
ミリタリーテイストが強い一巻は、ミリタリー面を楽しめるし、二巻はaiと人間の共生関係などハードSFとして楽しめる。私的には空戦を描いた作品の最高峰と思いたい。ミサイルによる遠距離からの打ち合いにawacsを登場させたりリアルな空戦を描いておりオススメできる。主人公の成長やSF面もいい。
さてこの戦闘妖精雪風だが、主役になる航空機について時代が追いついたらしい。sfにおいて未来予測がなされることもあるが、作者にその意図がおそらくないにもかかわらず。
ステルス機である第五世代戦闘機に代わる第六世代機は、aiを搭載する者だと構想されている。この作品に出る戦闘機は、aiを搭載した戦闘機だ。少なくともエイリアンと戦う多国籍軍は。主人公とaiの関わりが重要な話の主題でもある。作中では、ai自らが戦闘における最適な動きを考えたり、自らの判断で敵を見出したりしている。
この点を見れば第六世代機の条件はクリアしていないだろうか。第六世代機には無人機の制御も条件に含むが、それもレイフという無人機を制御している。
日本海軍のスーパーホーネットや軍艦がジャム機や主人公機の前に手も足もでなかった話があるが、世代差を考えると不思議ではないかもしれない。
作者も予期せず未来を予測した作品といえよう。
アトムに追い付けても『人間』はアトムを認めるかわかりませんけどね。