2011年12月11日 (日) 08:07
生まれ変わり大作戦!魔法の使い方2を更新しました。
お付き合いくださるみなさま、いつもありがとうございます。
ショートショートを投下する場所も思いつかず、ここに放り投げておきます。
未だ出てこない方の視点です。
いつか増えたら専用ページを作りたいです。
*生まれ変わり大作戦!番外編・姫様観察日記
オレの仕える姫様は、他の5歳児なんぞと比べるべくもなく可愛らしい。
それを言えば、大概の奴らからは仕える者の贔屓目だと言われてしまう。だが、それを抜きにしたってうちの姫様が愛らしいのは間違いない。
白薔薇と謳われた夫人の美貌を受け継いでいるので、今でも人目を惹く容姿だが、将来がとても楽しみである。
聡明な方なのは間違いない。
あの年で1を聞いて10を知るなんて、普通の子供には出来ない。
自身を取り巻く社会を知り、国を知り、自らの置かれた状況を誰に言われずとも悟っているのなんて、うちの姫様ぐらいだろう。
そのせいか、姫様の祖父である公爵からは『生まれながらの貴族』と揶揄されるが、それも姫様が聡明であるからこそだ。
姫様の守役から送られてきた書簡には、8割ないし9割は姫様の事しかしたためられていない。
姫様が初めて作られた花冠が素晴らしい出来だった事。……これは誇張しているな。
作った花冠を夫人にお渡ししたところ、大変喜ばれた事。
それを見て、嬉しそうに笑っていた姿が愛らしかった事。
あまりにも聡すぎて自分に望まれている事を知っている為か、姫様は物凄く甘え下手な事。
侍女に甘えて欲しいのだと望まれて、一生懸命甘えようと頑張っている様が大変愛らしい事。
その割には上手く甘えられず、ぎこちない仕草すらも可愛らしい事。
そんな事がずらずらと同僚の筆跡で記されていた。
確かに、ちまっこい姫様が、甘えようと四苦八苦している様は可愛いかもしれない。――仕える相手に感じることではないが。
「だが、オレが知りたかったのは姫様も含めた周囲の近況なんだがなあ……」
これじゃただの姫様観察日記である。
しかも徹頭徹尾姫様に対する美辞麗句で締められていて、正直内容がよく分からない。
とりあえず、同僚のあのまったく動かない面の下では、こんな情熱的な事が考えられていた事だけは理解できたわけだが。
「誰に頼めばまともな書簡(もの)を送ってくれるかねえ」
基本的に姫様の周りは侯爵の思惑もあり姫様馬鹿が集っている。
だから、まともな内容の書簡を送ってくれる人は皆無だろう。きっと。