2013年01月12日 (土) 22:34
生まれ変わり大作戦!/魔法の使い方5を更新しました。
…おうぞくが、ろくでもないしゅうだんになっている!
という気分です。ただいま。
自分で書いているのですけどね。
ロクでもないついでに、サイトの方に載せている小話なのですが、ここに投下しておきます。
*生まれ変わり大作戦!番外編・噂の被害者たち
「おにーさま!」
大声と同時に開かれた自室の扉に、僕はげんなりとしながらも口を開いた。
「ローズ、淑女はそんなに大声では来ないものだよ」
見てみなさい、スチュアートが驚いているよ。と今年5歳になる弟を目で示せば、同じテーブルに着いている弟は今まで食べていた菓子を手に持ったまま、目を大きく見開いて自分の姉を見つめていた。
僕の言葉に、そこでようやく僕以外の人間がいたことに気付いたのか、妹は慌ててドレスの裾を直し始めた。
流石に妹も、可愛がっている弟にはいい恰好をしたいのだろう。
なにせ、この妹の下にはスチュアートしかいない。他は兄姉だけで、妹が姉として威張れるのはこの弟しかいないのだから。
妹は裾を直したのを確認した後、改めて僕を見つめた。
つり上がり気味な目が泣きそうに揺らいでいるのが気になるが、それは後で聞けばいい。
「突然のお伺いも立てぬ来訪、申し訳ございません。兄さまにお聞きしとう御座いまして、こちらに参りました」
「うん、いいよ。それでどうしたんだい?」
外で控えている騎士に扉を閉めさせるよう指示をする。傍仕えの侍女が妹用の紅茶を準備し始めたのを横目で確認しながら問えば、妹はこちらを睨みつけながら口を開いた。
「お兄さまが、ヴィヴィアンお兄さまの婚約者に懸想していると伺いました。それは誠でございますか?」
「――っぶっ!?」
紅茶を噴出すのと同時、同席している弟が可愛らしく小首を傾げた。
「けそー?」
疑問に思ったのだろうその質問に。けれどその場には、王族としての誇りを無くしたのかと詰る姉と紅茶で咽たままの兄といった、自分のことで手一杯過ぎる面々しかいなく疑問に答えられる者はそこにいなかった。