2012年05月18日 (金) 23:03
人生経験をつむために、いろいろやってます。
とりあえず成功例を一つだけ。
1. 俺はジェスチャーマン。
お前は話し方が下手だ。
そう年上の人に言われました。同じような経験をしている人もそれなりにいるんじゃないかと思います。
とりあえず将来的に話が下手なのはふりなので、少々会話のコツとやらを調べてみました。
が、いろいろ会話のコツはあっても、そんな一日二日で会話のレベルが上昇するわけもない。とりあえずは聞き上手になることを第一目標に掲げつつ、自分でも会話、とはいかずとも説明のうまい大人になりたいと思い、いろいろ方法を模索してみました。
というわけで。
まず近所にあったブラジル人が働く工場に突撃。
あふれんばかりの情熱をアピールしつつ、工場でアルバイトを開始。
** 工場内はほぼポルトガル語。私はポルトガル語を話せません。 **
相手との意思疎通が恐ろしく難しい。
ポルトガル語とかさっぱりです。
そんな職場で働くこと二週間。
結果。
ジェスチャーってすげー。
こんな簡単なことでもするのとしないのでは大違いでした。
なんでこんなことに今まで気がつかなかったか自分でもさっぱりです。
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これだけだとさびしいので。
ちょっとした短編を置いておきます。 *しばらく長編は書きません。そういう意味での「休止」です。
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少々昔の話だ。
とある所に内原人志という少年がいた。別になんてこともない普通の少年。そこいらを探せば人山いくらで売られてしまう量産型少年というべき人間だ。少し太っていて、ニキビが顔に張り付き、自身の無さそうな少年だった。
まぁ、よくある話なのだが、彼は中学生のころにいじめられていた。彼の内原人志という名前の見方をちょっと変えると原人と読めるという将もない理由だ。
それにいじめといってもそれほどのものではなく、ただ原人とかネアンデルタール人とか呼ばれてからかわれるくらいなのだが、思春期の少年にはこの無邪気な悪意がいたく致命的なものだったようだ。びっくりすることに彼は学校に行きたくないと引きこもってしまったのだ。……心のなんて弱いことか。というのはいささか酷というものか。
いまなら笑ってうっほうっほやるくらいには成長したわけだが、当時の人志にとっては本当に辛かったらしい。親と顔を合わせるのも最低限で、三日ほど引きこもっていた。
当時、親は本当に忙しくて、人志に一日かまっていたら明日の飯も食えなくなるような状況で、彼のことを心配していてもほとんど時間が取れなかった。だから余計にさびしくなって余計に部屋から出られなかった。
だれも自分のことを心配してくれない、なんてふざけたことを本気で思っていたわけだ。
が、そんな人志の所に一人の少女が訪れる。
隣の家に住んでいた加賀|都(ミヤコ)だ。
驚くことに中学一年の彼女は雨どいを辿って人志の部屋に入ってくる。
「やっほー」
手を挙げて入ってくる彼女は引きこもる前とまったく変わらない様子だった。その時世界で一番僕が不幸なの的な悲劇の少年を演じていた人志だったが、あんまりにも変わらないその様子に思わず苛立った。
「なんだよ、別にお前が来たって学校にはいかないからな」
まったくもって度がしがたいやつである。というか、ちょっと余裕のある大人なら、誰かに来てほしかったのね、なんて内心を読まれてしまうような頭の悪い発言だ。
だが、そんな悲劇(笑)の人志をよそに彼女は部屋の中ごろまで歩くと、机の上にあったリモコンを持ち上げ、
「別に人志になんて会いにきてないよ。今日ね、飼ってたうさぎがコードを噛んじゃってテレビが見えなくなっちゃったの。でも今日はミュージックフォーマルで台風の西風君が歌うんだよ」
軽やかな電子音と共にテレビに電源がともると、いかにも若者受けしそうな音楽が流れ始める。
都はうれしそうな声をあげると、じっと一秒も見逃さないと言わんばかりにテレビの前に陣取った。しばらくしてCMが入る。
「人志はさー」
都がこっちを見ないで、
「体張って笑いを取る芸人って、かっこいいと思う?」
「……別に」
背中しか見せない都が笑った気がした。
「じゃぁ今の人志はかっこいいと思う?」
「……」
CMが終わって番組が始まった。けれど、都は人志のほうを向くと、
「ねぇ、知ってる? 今人志がかっこよくないって言った芸人って、ものすごく大変な職業なんだよ。数少ない番組の出番の中で確実に笑わせないと次の仕事がなくなっちゃう。芸人さんにも家族はいるから仕事がなくなったら大変でしょ? だからお茶らけてるように見えてすごく努力してるし、あいさつ回りだって欠かさない。下積みの時代にじっくりと実力を上げることはもちろん、成功した後だって勉強はかかさないんだよ」
「それ……で?」
人志はうっ、と詰まった後にどうにか切り返した。
「芸人さんはすごいね。でもそれがどうしたんだよ。そんなことを言うくらいなら帰れよ」
「そんなのだから人志はここにいるんだ。すごいと思ったのならそこから何か学ぶべきだよ。……ねぇ、今の人志はかっこ悪いよ」
都が俯く。
人志は黙った。
ふと、都の後ろから若い男の声が聞こえた。都は横目にテレビを見ると、
「よくチャラチャラしてるって言われてる。でも西風君はすごく頑張ってるよ。歌だって最初のころよりもずっとうまくなった。トークも面白くなった。……あのね、私はそういう頑張る人がすごく好き」
都はぐっと背を伸ばし、
「小学校のとき、人志は文集にかっこいい人になりたいって書いてた。今の人志は……どんな人になるんだろうね」
猫のような軽やかさで立ち上がると、人志の方に近づいた。じっと向けられる視線が痛くて、そっぽを向いた人志に、
「また、くるね」
「もう……くんな。学校の友達と遊べばいいじゃんか」
人志の言葉に都は悲しそうな目をしてため息を吐くと、極力足音を立てないようにして外へ出て行った。
「なんだよ……なにしにきたんだよ」
思わず人志がぼやく。誰もいなくなった部屋の中で、やってられないと言わんばかりにベッドへと体を放りだし、枕へ顔を埋めた。
もう眠ってしまおう。そうして目をつぶった人志だったが、
「人志ーー!」
大声が聞こえた。思わず人志が窓から身を乗り出す。
「あのねーー!」
道路の真ん中で都が笑っていた。いい笑顔だった。彼女はそのまま手を振りながらこれまた大声で、さっきの言葉なんて気にしてないという表情で、
「明日学校で会おうね――!」
朗らかな声を夕焼けが飲み込んだ。
それでも響いた残滓は人志の体を震わせた。人志は無性に恥ずかしくなってカーテンを勢いよく閉めてから、また少しだけずらして外を伺う。
予想していたのだろうか。都と視線が合った気がした。
今度こそカーテンを閉めて窓にカギをかけてから布団にもぐりこむ。
「なんだよ、あいつ。訳わかんね。からかってんのかよ」
ふと、自分の頬が熱を持っている気がした。
あれ、と首をかしげてから手を首の後ろにやった。……熱い。
なんでだろうと理由を考えて、あっ、と人志は声をあげてしまった。本当に意識もしてないのに、夕暮れに映える彼女の顔が浮かんできたからだ。
気がついてしまえばもう止まらない。
え、あ、と声が漏れ、同時にかっとなるような熱が体の中を這いあがる。喉元を駆けあがった熱は頭の中をぐしゃぐしゃにして、人志は思わず足の指をぎゅっと縮めた。
「……ぅっ……ぅうう」
もぞもぞとした感触に下唇を噛んでしばし悶える。
もうだめだ。
人志はそう思った。
体の中を動き回る情動は収まるところを知らず、ただひたすらに瞼の裏に焼きついた彼女の顔だけを再生し続けた。
そういった方向に興味の薄かった人志にもわかった。
幼馴染のあいつに――
俺は――
―― 初恋。
惚れてしまったのだと。
▽ 5年後
「好きです。ずっと好きでした」
紅いもみじの木の下でこれでもかといわんばかりの勇気を心に秘め、人志は言った。
何を言ってるのかわからないと人志にもわかる狼狽をする目の前の|都(みやこ)の姿に、思わず頬を緩めそうになる。もう7年もの付き合いだというのに、ほとんど見たことのない彼女の焦る姿に心がほっこりとする。
「あのねっ、わ、わたし……」
いつもどこかひょうひょうとした印象のある幼馴染がこうして言葉を詰まらせるのも、珍しい光景だ。もし彼女の友人がここにいれば目を丸くしたかもしれない。
人志は落ち着いてと声をかけるが、その一言が余計に彼女を焦らせたらしく、今度は顔を五月中旬のさくらんぼ色に染めて手を左右に振った。
そんな彼女の姿に人志は手ごたえを感じる。
人志はかれこれ5年ほど前に彼女に惚れてから、ずっと彼女のことが好きで、好きで好きで、そりゃもう好きで。彼女の好みの男になろうと努力してきた。元々はブサイクと呼ばれる側にいた男が、数年前に彼女がこぼしたかっこいい男になろうとずっと頑張ってきたのである。
ここ最近は大学の勉強で忙しくて、ほとんど会えず、どうしても我慢できなくて行動したのが今日のこの一幕である。
本当は合格してから告白するつもりだった。
だが、どうしても我慢できなかったのだ。
彼女の負担になるかもしれないと思いつつも、彼女が予備校で男に声をかけられるたびに不安になる気持ちに耐えきれなかった。何せ都はかわいいのだ。美人なのだ。……少々変な所があるが。人志の友人は変人だというが、それがいいとなぜわからないのか、人志にはさっぱりわからない。
「私……私っ!」
もしかして、もしかすると?
興奮に息を荒げる都。人志には彼女の吐く息が桃色に見えた。
幼馴染とは仲が良くなければ疎遠になるとは誰の話だったか。全然自分には関係ない。もしかしたら友達宣言をもらうかもと告白する前は地面が歪んで見えた人志は今、彼女の口から出るであろう次の言葉がなんとなく予想できた。
だって顔赤いんだぞ?
目が少しうるんでるんだぞ?
ぎゅっと握りこぶしを作って勇気を振り絞ってるんだぞ? ――都が。
今なら精度100%の未来予知ができる。人志はそう思った。
続く言葉を期待しながら、人志はもう一度落ち着いてといった。
「そ、そうだよね。ちょっと、ほんの少し待ってね」
いつもとは違う話し方に胸を高鳴らせる人志。都は人志の言葉に頷きを返すと、深呼吸をして――目が合う。
「その……私は、うん。人志のこと好きだよ」
ガッツポーズ。
人志はワンフレームで拳を握った。が、
「でも――」
あ、と思った時には、都は人志から視線をそらしていて、
「――ごめんなさい」
は、と声を漏らす暇もなく、都は焦ったように続けて、
「今まで誰にも言ったことなかったんだけど。私、世間一般で言う所の――ブサイクが好きなの」
それは、つまり――
……人志は顔だけを見るならばイケメンといわれるべき立場の人間ではあるが、昔はブサイクと呼ばれるべき立場の人間であった。
であるならば、
――昔の俺がタイプだった?
「ご、ごめんなさい!」
勢いよく都が頭を下げる。
艶やかな髪の毛が宙にまうその仕草。しかし人志はその仕草を限界として。
不覚にも男泣きをしてしまうのだった。
▽
「ブサイクが好きとか……予想の斜め上すぎる」
灰になっていた人志は机に突っ伏したままつぶやいた。
「というか、そうか。昔はあんなにスキンシップしてきたのはそういうことだったのか。大人になって節度を持ち始めたとかそういうことじゃなくて、純粋に俺が頑張れば頑張るほど好みから外れていったから……と。え、なにそれ、地獄」
くそ、という悪態が暗い自室に消えていく。
ショックだった。
あの日からずっと好きで。彼女の隣にいて恥ずかしくないようにと頑張ってきて、そしたらそれが裏目に出てしまったことが。
もはや笑うしかない。
彼女の好みから外れてしまった今、そしてこんな空回りをしてしまった以上、彼女と顔を合わせるのが辛い。
いっそのこと、彼女のことを忘れて新しい恋に生きるべきなんだろうか。幸いにもこんな自分の――多分上っ面だけを見て――好きだと行ってくれる女の子もいる。
そうしようか。
そうしたほうが楽だよね。
人志は机におかれた写真立に視線を向ける。――だめだ。
視界に入った写真には制服を着た彼女と自分が映っている。――笑顔が目に焼きつく。
くそ、とまた悪態をついた。音色は違う。
人志はきつくまぶたを閉じて、
「やっぱ、あきらめられねぇよ」
本音は変わらず、人志は自分の想いの場所を確認した。
けれど、人志はよくても彼女の心は違う。
でも人志は好かれたかった。
一緒にいたい。
いろんなところに二人で行きたい。
笑っていたい。
隣にいてほしい。
「ああ……」
湿った声が漏れる。
自分は本当に彼女のことが好きなんだな。人志は思った。
……好かれるためにはどうすればいいんだろう。
後戻りは考えず、それだけを思う。
彼女との一歩を踏み出すために、幼馴染という関係から進むために。なにをすればいいのか。
真っ暗な天井を見上げた人志。ふと、人志の頭の中に最高の答えが下りてきた。
まるで託宣でも受けたかのような答え。
人志は完璧だ、と身を震わせ、思った。
――そうだ。ブサイクになろう。
単語の綴りとかじっくり見てると意外と英語との共通点が見つかるんですが、会話だとそれすらも出来ませんしねえ………
ってか文法が難しすぎて死ねるww
おー、オブリガードで合ってますよw
因みに『どういたしまして』は『ヂ、ナーダ』ですww