2022年07月31日 (日) 22:06
「――本日は、演習である。だが、明日の同時刻をもって本艦は出撃し、それは演習ではない。心するように」
「本艦は、ありとあらゆる性格の悪い妹を嘆く心より生まれた。『実の』『義理の』を問わず、姉と妹の間に姉妹の絆が育まれず、百合の花が咲く土壌がないことを悼む心より生まれた」
「ゆえに宣言する。ジャンル、[異世界恋愛]。主なタグ、[百合]、[姉妹百合]、[悪役令嬢]、[乙女ゲーム?]、[ハッピーエンド]」
「復唱します。ジャンル[異世界恋愛]」
「復唱。主なタグ、[百合]」
「復唱。主なタグ、[姉妹百合]」
「復唱。主なタグ、[悪役令嬢]」
「復唱。主なタグ、[乙女ゲーム?]」
「復唱。主なタグ、[ハッピーエンド]」
「最激戦区にして順当なジャンル。ありふれたタグ。それらをもって本艦を軽んじる全てを[じれじれ・あまあま]によって粉砕する」
「オリジナリティ? そんなものは魚の餌にしろ。恋愛ジャンルは、最終的に[溺愛]があればいい。百合だとなおいい」
「あの、艦長。それは偏見では?」
「死ぬほど偏った物の見方では?」
「性癖という名のバイアスでは?」
「うむ。異論は認める」
「それはそれとして、本艦の兵装の中で強タグは[悪役令嬢]ぐらいで、[婚約破棄]も[ざまあ]も積んでいないのですよ……」
「あれらは好かん」
「ですがっ……!」
「――諸君。なぜ婚約破棄をせねばならぬ。なぜ一度男に捨てられねばならぬ。なぜざまあをせねばならぬ。なぜ心を憎しみに委ねねばならぬ」
「[ヒューマンドラマ]ならばよい。[コメディ]ならば分かる。[ハイファンタジー]にも理解を示そう。――だが、ジャンルは[恋愛]だ。異世界であろうと現実世界であろうと、なぜ最初に出会った相手と真実の愛を育んではならぬのだ? なぜ好いた相手を喜ばせることではなく、自分を捨てた相手への復讐を考えねばならぬのだ?」
「それを好く者がいて、搭載する艦があるだろう。だが、本艦は積まぬ。それだけだ」
「無論、思い叶わず、本艦が沈むことがあるやもしれぬ。我らが赴くのはそういう海だ。我らが行くのはそういう戦場だ。――だが、諸君」
「本艦の主人公は、悪役顔で、しかし身内に甘く、心を許した者を溺愛し、真剣だが時に空回る、有能すぎるポンコツだ。少なくとも私は好きだ。諸君らは好きではないのか?」
「愚問であります!」
「好きに決まっているでしょう!」
「そうでなくてこの艦に乗っているはずがありません!」
「よろしい。ならば諸君、信じようではないか」
「本艦は愛されるために生まれた。轟沈するためではない」
「それでもなお沈むなら、笑って運がなかったと嘆こう」
「全ての係留索を外せ。注水開始。今より全機能のテストを行い、明日の出港に備える」
「係留索、全て解除」
「注水開始……浸水、ありません」
「全文章チェック完了。可能な限りの誤字を潰しました」
「よろしい。では、明日を待とう」
「――タイトル、『妹大好き悪役令嬢は断頭台を目指す』。本艦の旅路に、幸多からんことを祈り、演習を終える」
「「「本艦の旅路に、幸多からんことを」」」
※明日、シルエットが取れます。
………………
…………
……
誰が喋っているかは私にも分からない。(ここまで挨拶)
はいこんにちは、水木あおいです。
どこかの海を放浪し、次の主力艦建造のために、いずこかの島の秘密ドックに身を寄せていました。
でも、私はこんなに攻撃的ではないです。
ただ、心のどこかの海域に、この艦長さんがいる気がする。
艦長・オペレーター共に特にビジュアル設定はありませんが、女性だといいなあとか思ったり。
余計な情報が多すぎますが、とりあえず明日の午後10時過ぎから、新連載を開始します。
なので以降は雑談となります。
ネット小説家って潜水艦に似ている気がするんですよね。
強さによっては戦略兵器たり得て、強力な魚雷(胸キュン・胸熱シーン)を撃つことができて、パッシブ・アクティブなソナー(ポイント・PV・感想・クレクレなど)を駆使して自分の位置を把握し、常に良い位置取りを模索するあたりとか。
……気を抜くと限界深度を超えて圧壊するあたりとか。
反応の少なさに耐えかねて圧壊し、あるいは魚雷やら機雷やら(心ない感想や荒らしなど)を喰らって沈んでいく艦を何隻も見た……。
観測できていないだけで、きっと、ドックで戦略兵器として開発され……しかし海へ出られなかった艦も無数にあるのでしょう。
うちも、出航前に何度か海の藻屑になりかけたような気がするのですが、どうにか連載開始まではこぎつけました。
準備期間を長めに取ったこともあり『全部完結してから投稿』を――してみたかったけど無理だったので、ストックがなくなって心の余裕をなくす予定です。(ひどい予定だ)
そうは言っても1章分、約50話+イラストはフルでストックがあるのと、完結までの道筋はついたのでなんとかなる気がする。
なお、他人の「完結までの道筋はついた」なんて、信用してはいけません。
……いえ、信じたこともありましたが。
今でも、信じたい気持ちがあるのですが。
作者が亡くなり、出版社が潰れ、制作会社が消え、監督が、演者が、版権問題が、情勢が……とにかく、それを完結させるために必要な何かが欠け……。
……いくつの、二度と完結しないだろう作品が心の中にあるのか、私にはもう、よく分かりません。
完結させるつもりがなかった作品なんて、人気が出なくてもいいと思って世に出された作品なんて、ないはずなのに。
なので完結保証などありませんが、明日から完結を目指して連載開始、です。
とりあえずいざという時に魚雷を撃ち返す準備はあるのですが、前作同様、優しい読者様に恵まれるといいな……と、ささやかなようで、かなり欲深な祈りを捧げつつ、最終点検に入ります。
・作品紹介
今日は事前告知ということで新作へのリンクが張れないので、軽く以前の作品を紹介しておきます。
リンクは作品トップページ。(いずれも「小説家になろう」です)
・前作。いちゃあま主従百合&人類絶滅戦記。ポイント的には主力艦。ヒロインはダークエルフで暗殺者でメイドです。
「病毒の王」
・前作と絡めた製作記エッセイ。「読むと正気を削られる製作記」「良い狂気でした」などの褒め言葉を頂きました。写真多め。
「自作小説をなるべく低予算で古書(魔導書)っぽく、ハードカバー&革装丁……風の布装丁で自主製本するエッセイ 【病毒の王】/製作記(写真あり)」
・なろう公開第一作。もふもふ。まだネット公開に慣れてないところがちらほら。もふもふ(2回目)。
「ブラックドッグのいる日常」
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