2017年06月04日 (日) 23:11
それでは、恒例の解説コーナー。楽しみにしてくれていた人、どうもありがとうございます!
今回は、個人的にも色々と思い入れのある第7章『人殺し』です。
第7章は、転移で置き去りにされた小太郎が渋々、ソロ攻略で頑張り、バジリスクを単独で打ち倒す前半部と、最初の因縁の相手である樋口恭弥と戦う後半部に、大きく分けられます。
バジリスク戦は別の章に分ければよいのでは、という意見もチラっと見かけましたが、この辺は何というか、一つの章のボリュームを考慮してまとめただけなので、正直、どっちでもいいといえば、どっちでもいいことでした。ただ、個人的には小太郎がソロで頑張った上で、樋口と再会を果たす流れを一つの章でまとめたかったかな、という気持ちがあったので、こんな構成になりました。
さて、まずは前半部、小太郎のバジリスクソロ攻略のお話から。
この話は、狂戦士メイちゃんという頼れる守護神に加え、なんだかんだで最悪ハーレムパーティの中で立ち場を得た小太郎が、「うーん、そろそろソロ攻略とかもやって欲しいな」という気持ちもあってやりました。
実際のところ、もし剣崎明日那に突き飛ばされずに、無事に小太郎も一緒にあのパーティにいられたら……もうダンジョン攻略はクリアしたも同然かと思います。三人の脱出枠という問題だけは除外しますが。
桜との仲は険悪のままでしょうけど、そこは『勇者』蒼真悠斗が一緒にいれば大体解決できる部分ですね。なので、後は蒼真君のハーレム模様を眺めながら、メイちゃんとイチャつきながら適当にやってればOK。よほど小太郎が出しゃばって、蒼真君の好感度荒稼ぎでもしない限りは、安泰でしょう。
そんなワケではじまった、久しぶりの呪術師ソロプレイ。
一人になったことで、伸び伸びと呪術を試したり、実験したりと、実に楽しそうな小太郎。人間関係のストレスから解放されるというのは、何だかんだで非常に大きな要因だと思います。たとえ、こんなダンジョンサバイバルだとしても。
『赤髪括り』や『六芒星の眼』といった新開発の呪術は、前々から出そうと思っていたもので、ちょうどいいタイミングでした。
ただ与えられたスキルをそのまま使う、というのでは如何にもゲーム的で面白くないし、そういうのはモブがやればいいじゃん、みたいなワケで、主人公の小太郎には、スキルの使い方の工夫を試行錯誤していってもらおう、というコンセプトです。天職『呪術師』のテクニカルな部分がこの辺で、どこまで応用を利かせられるかがカギ、といった感じですね。ゲームだったら、バグ技でも発見されない限り、確実に不遇職ですね。
最初のカマキリ戦で編み出した、『黒髪縛り』でナイフを持たせて振るう飛刃攻撃は、ようやっとマトモな『通常攻撃』手段ができたといったところですね。回避も防御もままならない、貧弱スペックの小太郎には、長いリーチ、という安全性が必要なワケで。
ちなみに、ボロボロになったカマキリが暴れ回るのは、映画『スターシップ・トゥルーパーズ』で、ライフルで何本か足を吹っ飛ばされても元気に暴れまくっては機動歩兵を殺しにかかるウォリアー・バグのイメージです。
もしかして以前にも活動報告で紹介したかもしれませんが、この映画は中学生くらいの頃に見て、結構、影響を受けています。主にグロ方面で。マジで名作だと思います。2と3は・・・
最初の鎧熊を除けば、実質、初のソロでのボス戦となるバジリスク攻略。これはもう、完全に相性による勝利ですね。
普通の戦士や剣士だったら、手も足も出ずに毒でやられて即死です。バジリスクでなくても、毒胞子をまき散らすマンドラゴラでも危険。そもそも、この毒沼エリアそのものが、耐性がなければ踏み入ることができないほどの毒性に満ちています。
うわぁ、怪しいなぁ・・・と思いつつも平然と小太郎が入っていけたのは、ひとえに隠しスキル的な『蠱毒の器』があったからこそですね。
絶対的なチート級の毒耐性を持つ小太郎ですが、単純に巨体を誇るタフなバジリスクが、強敵であることに変わりはありません。何だかんだで、今できる全てをつぎ込んで、奇跡的に勝機を掴んだ激戦でした。レムが頑張って乗り攻撃してくれなければ、毒沼落とし穴から脱して敗北でしたね。
レムの乗り攻撃は、勿論、モンスターハンター4から実装された乗り攻撃がイメージです。
バジリスク戦の前に挟まれた74話『新生ハーレムパーティ』ですが、実はこの話、かなり最近になって加筆したものでした。ここがないと、しばらく勇者サイドの話がない、それでいて、メイちゃんはどんな風にあのパーティでやっているのか、というのを早めに出しておきたいなと思って、更新するギリギリになって書きましたね。
お蔭で、自分がイメージした通りに演出できたかなと思います。
毎度のことですが、勇者蒼真の言動にイラつくか、理解できるか、大きく二極化するあたりが、面白いところですね。どちらも、正しい感想だと思います。
では、第7章の肝である後半の樋口戦について。
呪術師を連載しよう! と決意したのは、この樋口戦を書き切ったからですね。何年も前から書き始めて、黒の魔王の傍らで少しずつ書き溜めできていった呪術師ですが、やはり、連載するにあたっては、最悪、ここまでの区切りまでは欲しい、と思っていました。
その区切りが、最初の因縁の敵となる樋口との決着でした。
もし、筆が進まず呪術師の連載がエタったとしても、樋口戦まで終われば、まぁいいだろう、という後ろ向きな気持ちもありました。でも、こういう保険というか言い訳でもないと、なかなか、新しい長編を連載するという決断はできませんでした。いくらフリーのなろう、といえども、作者として、それなりの責任感というものが。
そんな不安はさておき、ひとまず、現段階では黒の魔王と共に、週一の連載をしばらくは続けそうな感じですので、これからも引き続きお楽しみいただければ幸いです。
樋口合流から、ほとんどすぐにバトルの流れは、しばらく樋口と一緒に居てもストレス溜まるだけですからね。実際、狡猾な樋口と長くいればいるだけ、小太郎の手の内も暴かれたり、何かしら弱みを握られたりなど、確実に追い詰められるでしょう。この辺は小太郎自身も悟っていたので、速攻で仕掛けた、というワケです。
この辺の合理的な理由がなくても、何かにつけて、主人公だから、絶対に自分から手出しはしない、みたいなパターンは多いような気がします。明らかに、コイツ怪しいぞ、絶対にコイツは問題起こすぞ、という仲間がいても基本放置ですよね。
そういった場合、大抵は案の定、問題が発生したり裏切りイベントが起こったりするんですが、まぁ、主人公はどんなに後手に回っても、無事に解決できるんですが。裏切ったのが男だったら始末できるし、ヒロイン候補な美少女だったら改心させて真の仲間として迎えられますし。
しかし、私としては、小太郎に求める主人公性としては、先に手を出す、という明確な罪でも、率先して被って行動を起こす決断力と覚悟が欲しいと思ってのことです。
事実、この辺に樋口はかなり驚かされていました。まさか、先手を打たれるとは思ってみなかったですね。小太郎の恨みは知ってましたが、弱い上にオタクキャラな小太郎は、自分の方から敵対するような決定的なアクションを起こさなお限り、軟弱に様子見に徹するだろうと考えていたワケです。
完全に虚を突かれた樋口だったので、縄抜けスキルがなければ、あれであっさりやられてましたね。
勝が友情を取り戻した行動に出られたのは、実は天職『戦士』の精神スキルを獲得できていたからです。『勇気のメダル』みたいな効果ですね。
一章で小太郎を裏切った罪悪感をずっと抱え続けた結果、もう二度とこんなことはしたくないという思いの結果に授かったものです。もっとも、勇気が湧くだけで樋口には太刀打ちできないので、関係性は変わりませんでしたが。
一種のテンプレのようですが、勝が命がけで小太郎を助けたことは、この先の小太郎の人格形成に大きく影響を及ぼします。
小太郎は樋口を先手を打ってでも殺すべし、とすでに自らの意思一つで殺人できるだけの覚悟を持ち合わせているので、かなり冷酷になりつつあります。このまま行けば、確実に人の気持ちは度外視の外道になりますが・・・ここで勝が命を張ってでも友達を助けた、という行動があるからこそ、小太郎はこれから先も、心の底で『友情』を信じることができるわけです。きっと、小太郎は仲良くなった誰かに裏切られたとしても、それでも勝は助けてくれたから、と、友情そのものを否定することはありません。
多くは語られることなく死んだ勝ですが、彼は名実ともに小太郎にとっての親友でした。
樋口について。
彼は私の意図に反して、かなりしっかりしたキャラになりましたね。元々は、本当にテンプレ通りに、ムカつくクソDQNというだけで良かったキャラでした。少なくとも、第一章でコアをカツアゲした辺りでは、そういうイメージしかありませんでしたね。
大きくキャラ性を変更するキッカケとなったのは、長江有希子の末路を書いてからです。彼女は単純に、清楚な見た目とは裏腹にDQNと付き合う中古女でした横道涙目敗走、というだけで十分なキャラ設定だったのですが、どうにも、いざ書いてみると、樋口は真面目に有希子と付き合ってたし、有希子も真剣に樋口のことを愛していた、というようになりました。
二人が愛し合っていることを思えば、そこから一気に樋口のキャラは掘り下げられていきました。
彼は別にイイ奴ではありません。不良だけど根はイイ奴とか、そんなこと全くないです。
ただ、別にDQNだって、親しい奴には親しいし、彼女には相応に優しくもするでしょう。身内以外には酷い対応だし、横道みたいなクラスカースト底辺にはナチュラルに差別しますし。でも、それくらいの意識は、まだまだ人間として普通だと思います。
なので、ダンジョン攻略開始の序盤で、心の中で悪ぶってはいても、いざヤってしまった篠原を相手に、ポーションをくれてやる、みたいなこともしてしまうワケです。樋口としても、進んで人殺しや残虐なことがしたい、サイコパスではないので。
結局、不幸な邪魔が入ったお蔭で、覚悟決まっちゃったので、殺人上等な盗賊樋口となりました。
もし、最初に出会ったのが小太郎だったら、恐らく、樋口は相当デレていたことでしょう。
小太郎の機転と、樋口の現実的な行動力は、かなり相性いいコンビです。
現状、最も小太郎のことを正確に評価しているのは樋口ですので、認めるところは認めます。メイちゃんは過剰評価の信仰状態なので、彼女の小太郎評価はアテになりません。
樋口戦は、本当は三分割くらいにしたかったのですが、話の勢いを大切にして、二話で一気にやりきりました。最初の因縁をきっちり清算できる、良いバトルだったと私も満足しています。
勿論、章タイトルの『人殺し』は小太郎が初めて人を殺すことからつけました。
主人公の殺人に対する葛藤、というのは最早一種のテンプレではありますが、それをどう消化するのかは、大きなテーマだと思います。
ウジウジさせすぎてもウザいだけですし、アッサリしすぎていると「殺人気にしない俺カッケー」みたいな中二病的な痛さがありますし、なかなかにさじ加減が難しいところです。
その辺、小太郎は自分の身を守るためと、恨み、という現実的な理由で覚悟を決めて戦い、最後には樋口から命乞い代わりの良心の呵責という点を責められながらも、穴に落として殺し切ったことで、殺人葛藤を描き切ったつもりです。
こういった部分を全て含めて、樋口は小太郎が最初に手を血で染めるのに相応しい奴でした。
本当に、私としても殺すのが惜しいと思えるほどのキャラに成長してくれて、満足ですね。
それでは、Q&Aのコーナーです!
Q 頭から黒髪触手を生やせるのは何で? 影から生えるんじゃなかったん?
A 自分の体なら影じゃなくてもいけます。魔法も呪術も自分が起点になっているので、自分の体や近くには、その効果を現しやすいです。逆に、距離が離れる分だけ発動も難しいですし、視認した影から生やせる、というのは結構レアな特殊能力でもあります。
体から生やす黒髪触手は、イメージの問題もありますんで、あんまり変なところからは生やせないというか、生やさないです。
Q 六芒星の書き方はいらなくない?
A 折角、調べたので書きたかったんです。調べないと書き方分からなかったのかよ、とか言わないでください。コンパスなんて小学生以来、手にしたことないので、全然イメージが・・・
一応、こういうところで、ちゃんと主人公が書き方理解してますよ、というアピールはしておきたいかなと。コンパスナシで、果たしてどうやって正確な六芒星を描くのか、という明確な解答を本編で出しておきたかったというのもあります。
私、意外と「必要なモノがないのに、どうやってソレ作ったの?」みたいなシーンって気になるタイプなので。
Q VXガスがタイムリー
A 金正男暗殺の事件で、一躍有名になったVXですが、私は映画『ザ・ロック』でその存在を知りました。
それにしても、こんなピンポイントな単語が、このタイミングで世界的なニュースになるとか、これも一種のシンクロニシティというものでしょうか。
Q レムはいつ褐色美少女になるの?
A レムが褐色幼女になるか、美少女になるか、爆乳美女になるか、マクシミリアンになるかは、小太郎の選択次第ではないでしょうか。
Q 横道マダー?
A 何気に、第7章通して割と期待されていた横道乱入でしたが、とりあえずありませんでした。でも、今後の出番は勿論ありますし、彼は樋口に続いて、因縁のある相手の二人目ですので、しっかり描いていきたいと思います。
Q 樋口VS横道の夢のカードが・・・
A 本当は樋口VS横道の遭遇戦のシーンがありました。ただ、どう頑張っても入れるタイミングがなかったので、二人のバトルは実現しませんでした。
一応、内容としては樋口一行を見るなり襲い掛かってくる横道を、どうにかこうにか樋口が食い止めて、罠を利用して逃走に成功する、みたいな流れをイメージしていました。
横道は樋口のことを恨みまくっていますけど、実は樋口の方はそんなに横道のことは何とも思ってないです。だって、ただキモいだけで、特に接点はないですからね。
Q レイナぁああああああああああああああっ!
A 綾瀬っていう子が空気すぎる、という流れからの、転移魔法陣の横取り。流石、蒼真桜に続いて、勇者蒼真悠斗のメインヒロイン候補の一角は、ヘイト集めも格が違いますね。
小太郎を抑えつけた赤い獅子を筆頭に、強力な霊獣を従えるレイナ。樋口が何故、ずっと彼女をお姫様扱いしていたのか、うかがい知れるかと思います。
Q 蘭堂さんはギャル子ちゃんが元ネタって本当ですか?
A 本当です。日焼けしてる方のギャル子ちゃんです。
と素直に認めたら、パクり疑惑になるので、あくまでキャラのイメージの参考にした、ということに留めています。
『おしえて! ギャル子ちゃん』はアニメで見ました。なんやコレ、ギャル子ちゃんがエロ可愛いだけのアニメやんけ! と思いつつ、最後まで楽しく視聴しました。
ギャル子ちゃんのお蔭で、こういうタイプの可愛さに目覚めたわけではなく、割と前から描きたかったです。デザイン的に、黒ギャルとか結構、いや、かなり好きなので。今どき、本物の黒ギャルの女子高生っているんでしょうかね?
果たして、彼女はヒロインなのかサブなのか敵なのか、小太郎とどういう関係になるかは、第8章をお楽しみに。
Q 天道についてきてる女子二人は、ジュリアとマリア?
A めっちゃ勘のいい読者がいるようですね・・・正解です。
以前からクラス名簿でちょっと気にされていた、野々宮純愛(ジュリア)と芳崎博愛(マリア)のDQNネームコンビ。それが、今回登場したこの二人です。通称、ジュリマリ。
見分け方は、これから小太郎が見つけていきます。
それでは、今回はこの辺で。
そして面白かったです!!!
今後、委員長がどう苦労するのかが楽しみですwww