『夜北芋氷物語』第二章更新で台湾語講座
2019年08月21日 (水) 16:44
こんばんわ、こっちはネツミです。

第二章、日本語版は中国語より何日か遅れてしまったけど、ちゃんとアップできたことが嬉しい。第一・五章にも挿絵追加しておりますので、そちらも確認しましょう。

で、ちょっと活動報告にネタ切れなので、作中で今まで出てきた「洛語」(つまり台湾語)の単語をまとめて名詞解釈していきたいと思う。

まずはキャラの名前から:
主人公である三人の名前は
江棠硯(こう とうけん)
葉南蓮(よう なんれん)
西宮玖瑠実(にしみや くるみ)
という日本語での読み方で認識していらっしゃる方が多いと思うが
江棠硯を台湾語で発音すると「Kang Tông-hiān」(カン・トングヒェン)になる
で葉南蓮は「Ia̍p Lâm-liân」(イャップ・ラムリェン)になるよ
るみちゃんは日本語読みでいいから、ぼくも台湾語読みがどんなものになっちゃうのかわからんw

そしたら単語のほう、第一章からは:

 ・大襟衫(たいきんさん)
ごめん、これ中国語由来だった。
台湾語で言うと多分「對襟女衫(tuì-khim-lú-sann/トゥイキムルーサー)」だと思う
中華風の上着の一つ
男が着る「對襟仔衫(tuì-khim-á-sann/トゥイキマーサー)」の前開きと違って、女の子の上着は大体襟がyの字になってしまう
……まあ、説明してもよく言えないからとにかくチャイナドレスを上半身だけカットすれば大体あってるから((は?

 ・紅眠床(âng-bîn-tshn̂g/アンビヌツン)
中華風の天蓋ベッド
「眠床」は台湾語で「ベッド」という意味になっているから、昔の台湾人はベッドといえばお姫様みたいな天蓋ベッドを想像しちゃうかもしれないね
で、なぜ「紅」を付けるかっていうと、昔はベッドが嫁入り道具として使われていて、それに新婚さんの初夜を送るところでもあって
縁起良く赤色に塗り上げたことが多いから「紅眠床」になっているのだ
木造で匠の技術を見せつける富の象徴でもある

 ・膨椅(phòng-í/ポング・イー)
普通にソファー
膨らんでる椅子だからソファー

 ・豬來散,狗來富,貓來起大厝(Ti lâi sàn, káu lâi pù, niau lâi khí tuā-tshù)
台湾語のことわざ、動物と仲良くすると富がくる
猪はイノシシじゃなくてブタ
狗はイヌ、貓はネコ
「豚は貧しき、犬は富、猫は建てる大きな屋敷」
豚が来たら貧しくなるのは、豚って大体人が飼ってるから他人の所有物、勝手に飼っちゃいけないところか、下手したら裁かれちゃうかもしれない
でも野良犬や野良猫は違って、面倒を見てあげると幸せや喜び、もしくは財宝をもたらしてくれるかもしれない
まあ、今の時代じゃ幸せや喜びはともかく、お金が持っていかれちゃうんだよね、ペットに

 ・覕相揣(bih-sio-tshuē/ビーショーツェー)
隠れん坊
一人が鬼になって、他の人を探す遊び
説明するまでもないけど

 ・武棋(bú-kî/ブーキー)
象棋(tshiūnn-kî/チューキー)でも言える将棋的なボードゲーム
日本では「日本シャンチー協会」がそれの正式名称を中国語読みの「シャンチー」に定めたけど(漢字は象棋)
ぼくはあえて武棋にしたのだ

第一・五章:

 ・滾水(kún-tsuí/クンツィー)
沸かした水、つまり飲用水
台湾では水道水に塩素がひどいから、ちゃんと沸かさないと飲めないよ
ちなみに台湾語の水道水は日本語のまま「水道水(tsuí-tō-tsuí)」や中国語の「自來水(tsū-lâi-tsuí)」と言うんだ

 ・虎姑婆(Hóo-koo-pô/ホーコーポー)
台湾を知れ渡っている民間伝承のストーリーで出てくる妖怪
どんなストーリーかというと
昔々、あるところに、姉弟が住んでいた
両親は留守をして、その姉弟に留守番頼んだけど
ある日、「姑婆(お爺さんの姉妹)」と称したおばさんがお泊りに来た
何も思わなかったけど、夜おしっこがしたかった姉は起きた。起きたら「カリカリ」とした声を聞いてしまった
「おばさん、何食べてんの?」
「あ~これ?ピーナツだよ~姉ちゃんも食べるかい?」
そう言いながらおばさんは弟の指を投げてやった――弟が食われた
きっとおばさんは姉も食べたかっただろう
そのおばさんが虎から化けた妖怪だと知り、姉は焦らずに「私、おしっこしてくる」って言って、こっそり策を考えた
姉は木に登った
「お前さん、そんな高いところまで登ってどうする」
「おばさんは私のことも食べたいでしょう?食べさせるのは良いけど、生臭いのは嫌でしょう。だったらお湯を沸かして、私が飛び込もう」
「ほほぉ、それは良いのではないか」
妖怪はお湯を沸かした。妖怪が沸かしたお湯を縄に結び、木の上まで運ぼうとしたら、即、姉がそのお湯をこぼして妖怪を大火傷にして殺した
違うバージョンの罠もあったりするストーリーなんだが、弟が妹だったり、食われたり食われなかったりするバージョンもある
中国では虎じゃなくて狼が妖怪のバージョンもあるそうだ
赤ずきんちゃんに似てる話だよね

第二章:

 ・芋冰(ōo-ping/オーピング)
アイスクリーム

 ・亭仔脚(ていしきゃく)
建物の一階ある廊下、街中の人に雨や日差しを避けさせる場所
台湾語で正しく書くと「亭仔跤(tîng-á-kha/ティンアかー)」だけど、日本時代の文献や動画では「亭仔脚」と書いて「ていしきゃく」と日本語で読んでいる

 ・礤冰(tshuah-ping/ツヮーピング)
かき氷
日本時代で日本人がもたらした食文化の一つで、今はマンゴー味のマンゴーかき氷が一番有名だと思う


以上、かな
他に言わなきゃいけない単語は……

あ、るみちゃんも名言
悪口の「食屎啦!」(tsia̍h sái--lah/チャッサイラッ)
「くそ喰らえ!」ということだ
作中では「ジャッサイラッ」と表記したのは
るみちゃんが無声無気音(清音)である/t͡s/を有声無気音(濁音)の/ʑ/だと勘違いして、発音した結果なんだ
みんなも日常に使ってもいかがでしょうか((悪口やぞ
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