2019年11月06日 (水) 09:11
後先になりましたが、吾妻ひでお氏が、10月13日に永眠されました。69歳だったそうです。
中学生のころから吾妻さんの漫画は大好きでした。
「きまぐれ悟空」の最終回では、ご自身が孫悟空の子孫だというのが落ちになっていましたが、湯水のようにアイデアが湧いて出る人なのだろうなと思っていました。
「不条理日記」には感嘆するほかありませんでした。この人は本当に天才だなと感じました。読み始めた瞬間に現実を忘れさせてくれる、その画力と想像力に圧倒されました。
それだけに、『失踪日記』を読んで、創作の苦しみを垣間見たときには衝撃を感じました。
それにしても、あり得ないほど深刻な内容なのに、悲惨さや重苦しさを意識することなく、娯楽として読めてしまうように自己の体験を漫画化できる能力は、やはり希有のものでしょう。
東京ガス(の孫請け会社?)で働いていたとき、「東英夫」というペンネームで広報紙に漫画を連載していたのに、それが失踪中の吾妻ひでおさんだとは誰にも気づかれなかったという逸話は、それ自体がナンセンス漫画です。それにしても、あんな赤裸々な内容を描いてよかったんでしょうか。配管工事の実態が丸分かりです。しかも、『失踪日記』に転載されて全国に知れ渡ってしまいました。
思い返しても笑えてきます。
本当に楽しませていただきました。
ありがとうございました。
自分の心の師匠とも言うべき方を、今最高に楽しませていただいている方が偲んでらっしゃるというのは思うところがあります。
これからも応援しております。