TPP
2011年11月19日 (土) 21:54
 TPPが創作物に与える影響について考えてみる。

 TPPの創作物に与える影響というと、真っ先に挙げられるのが著作権の問題である。
 現在は親告罪(権利者が訴えを起こさない限り罪には問われない)である著作権侵害を非親告罪化する(つまり権利者が訴えなくても、警察が勝手に調べて罪に問うことができる)というのだ。

 そうなると、何が困るのだろうか?

 同人誌を例に考えてみよう。
 同人誌の多くは既存の著作物を下敷きにした「二次創作」である。法律的には、これは「二次著作物」と呼ばれる。
 法律では、こうした二次著作物を作るには、原著作物(つまり原作)の作者(著作権者)の許可が必要とされる。
 しかし、同人誌の多くはそうした許可を取っていないのが実情である。
 では、なぜ現在は同人誌を書いても捕まらないのか?
 それは、権利者が黙認しているからに外ならない。
 理由はいろいろとあるが、大きな理由のひとつとして「宣伝効果」が挙げられる。二次創作という形で、作品の名前をタダで広めてくれるのだからこれほど良いことはない。
 また、次世代のクリエイターの育成という側面も無視できない。今活躍しているクリエイターの 中にも、同人誌など二次創作から入った方が少なからずいる。「学びは真似びから」という言葉もあるように、同人活動は次代の優秀な人材を育てる大切な場となっている。それが分かっているから、権利者も敢えて法的手段に訴えないのである。

 しかし、もし著作権侵害が非親告罪化すれば、こうした業界の暗黙の了解が崩れることになりかねない。権利者でなくても訴えられる訳だから、同人誌を快く思わない第三者が警察に訴えるかも 知れないし、また警察自身が独断で捜査して摘発するかも知れない。

 また、二次創作物でないオリジナルの作品でも、たとえば「この漫画は○○という作品に似ている。権利侵害ではないのか」というように、言いがかり的に調べられる可能性もある。しかし、実際問題として、全ての創作物は限られた数しか存在しない「要素」の組み合わせであり、ある程度似てくることは仕方が無い。それを、ちょっと感じが似ているというだけで訴えられたのでは、何も描けなくなってしまう。

 こうした懸念から、TPPが創作物に与える影響が取り沙汰されているのである。
コメント
コメントの書き込みはログインが必要です。