2021年11月26日 (金) 03:31
難産と言っていいのか単に筆が進まなかったのか分かりませんが184話は時間が掛かりました。と思いきや185話は一気に書き上げてしまうところを見ると気分の問題だったのかもしれません。
ただ184話に時間が掛かった理由の1つに本があります。いやー、面倒な存在ですよ本は。こちとらいっぱい調べて設定を考えているのに、本には情報が詰め込まれている。いや、その設定が普通なのです。これが便利でもあり厄介でもあるんですよね。
私が異世界転生してその世界に本があるなら徹底して調べ尽くします。人に聞くなり体験するにしても、本の知識がベースにあれば臨機応変に対応できるからです。それに効率よく世界を知る上でも本は最適と考えます。
でも物語の主人公にそんなことをされると極めてつまらない流れになってしまいます。それもまた違った切り口でアリかもしれませんが、作者の方は細かい所まで膨大な設定を作り上げなくてはいけません。そんなことしてたら話が進まなないじゃないか。
いや、設定を考えるのは大好きです。もう地図なんかずっと描いていられます。でもほどほどにしないと。何より小説は設定披露が目的ではありませんし。まあ本作は幾分、その傾向がみられる状態ではありますが。
しかし、鉱物一覧は厳しい。魔物一覧でも苦しんだのに鉱物は1200種だと!? そんなもん全部考えてたら何カ月かかるか分かりません。でもね、主人公はね、写本を依頼しやがったんですよ、こうなると全て頭に入っている体で今後進めて行かなくてはいけません。
なら読ませなければいい。ところがですよ、最初に言った通り、本があるなら読むじゃないですか。効率がいいから。そんなことを気づかないほど頭が悪くもない設定ですので、ここに行き着くのはごく自然な展開です。
ならばいっそ正面から取り組んでやるか。そう思って鉱物設定を考え始めたら全く筆が止まったというワケです。
何にリアリティを出すか。
地球ベースの知識を科学技術に基づいて展開する。これは案外簡単です。何しろインターネットという情報の宝庫がありますから。もちろん細かい専門的な所までは描写できませんし、理解できませんし、何より読んでてつまらない。
かと言って色々省略すると突っ込みどころ満載で感想欄でチクチク矛盾を突いて来る。地球の技術を異世界で再現、ドヤッ、うわー便利、これは革新だ! うーん、そううまくいくでしょうか。何か引っ掛かるんですよね、異世界ですよ、世界が違うのに。
ここでいう異世界とは中世ヨーロッパを忠実に再現ではなく、魔法やスキルなり独自の何かがある世界観が前提です。そんな世界で地球の技術なんて、こういっちゃなんですが、ある種のローテクノロジーに見えるのではないかと。
そう思ったのも本作の照明魔導具と電球を比べたからです。何というか地球の技術って回りくどくて無駄に複雑。いやあくまで異世界と比べたらですよ。だからそんな異世界の人たちに見せても素直に受け入れられるとは到底思えないんですよね。
従って本作で地球の技術を再現してチヤホヤされる展開は今のところ考えていません。いや敢えて捻じ込んで反応を考えるのも楽しいかもしれませんが、それはまだ先のとこになるでしょう。
さて、独自の鉱物です。
これがまた考えるとかなり大変です。いや都合よく何でも生み出せるから楽なんじゃないかと思ったんですが、一度出してしまうとずっとこの世界に存在し続けますからね。その影響力たるや、迂闊に種類を増やすワケにはいかないんですよ。
何ですかあのトランサイトとかいう鉱物は。剣が伸びるだのぶっ壊れ性能じゃないですか。シンクライトに至っては最終兵器ですよ。見えない高速の斬撃、必中の矢。もうこれ以上の鉱物を出す必要がなくなりました。
いやまあそこは何とか捻り出していくらでも思い付くんですが、単なるインフレですからね。面白くもなんともない。戦争でもさせれば出番もあるでしょうが、そんな展開は後始末が面倒だし、死人が出まくって欝な展開まっしぐらですよ。
さて、リアリティの話ですが、まず地球知識の技術再現を細かく描写する流れは当面は無しです。従って現地独自の鉱物による魔導具開発を細かく描写する方向でリアリティを出していきます。
これねぇ、メチャクチャ大変なんです。正しく独自の設定ですから。素材から仕組みからを全て考えなくてはならない。それも後の影響力を踏まえたうえで。あー、これが創作、生み出す苦しみなんですね。地球の知識は楽だ!
しかし私は突き進みます。これはこれでうまくまとまった魔導具を創り出したら凄く達成感があるんですよ。いや、ほんとに異世界の研究者な気分です。今後は鉱物大全を読破した主人公にご期待ください。必ずや唸らせる魔導具を創り出して見せます。
こうやって自らを追い込んでいくスタイル。リアリティの追及。本当に異世界ならこんな道具があるかもしれない。不思議な力になるべく逃げずに想像しやすい形を頑張ります。もう何だか何処へ向かっているのか分からなくなってきました。これが迷走か。
いやそんなことはないです。
設定披露が目的の小説があったっていい。
自作曲を聴いてもらうためにシューティグゲームを作る人だっているんだし、「小説はこうでなければいけない」なんてのは狭量な思想です!
むしろ、なろう小説なのに設定開陳に快感を覚えないなんて間違ってます!(←狭量な思想)
それはそれとして。
現実の地球の自然科学知識や常識なんかも矛盾してる、辻褄合わない、結局説明できてないとしか思えないようなことはたくさんありますが、それでも平気な顔でまかり通っています。(たとえば生命の起源とか)
つまり、異世界での本や学術理論だって完璧にすべてが正しく解明されてるはずがなく、あくまで異世界人たちなりの理解・経験則・思い込み・不都合の黙殺などでしかないわけですから、読者やリオン君が「なんでコレはこうなのにアレはああじゃないの?」とかイチャモ……鋭い指摘をして来ても、余裕たっぷりに「い~い質問ですねえ~。ぜひ御自身で正解にたどり着いてください(微笑)」などと返しておけばいいと思います。(微笑)
そしてリオン君なら、後で必ずや自力で答えを導き出して作者様を驚かせてくれる事でしょう。(信頼)
どんな魔導具が生み出されるかとても楽しみです。