『日常の大切さは終わった時に気づくもの』の感想を書きました。
2020年10月03日 (土) 22:24
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えっと、めっちゃ長いです。設定に説得力を持たせることを念頭に周囲の描写を行いましょう。





気になる点




最初のころの描写を見て思ったことです。主人公の疑問はほとんどセリフに書かれているので、これだと地の分が必要ありません。例として……

※例として『契約』の一文を上げます

1:
「おい……………… 他の人たちは大丈夫なのか? あんなバケモノ達が居たんだ。他の人たちは無事なのか?」
 少女は、言いづらいのか顔を俯かせる。
「……………かなり攫われました。九州地方の3分の2は攫われたでしょう」
 どう言うことだ!? 神が来たのは俺が住む福岡だけじゃないのかよ!
「お、おい! どういうことだよ! 福岡だけじゃないのかよ! 九州地方ってどういうことだ!」

2:
 なるほど、被害を最小限に抑えて、周りの住民には黙っておくように頼んでおいたのか。だが、今回のようなケースだと隠し通すのは無理だろうな。
 それにしても、協力とはどういうことだ?
「協力? どういう事だ?」




 主人公の疑問はほとんどセリフに書かれているので、これだと地の分が必要ありません。なので、↓のように、言葉と地の分はまるっきり表現を変えてみるなりしたほうがいいと思います。


1:
「……………かなり攫われました。九州地方の3分の2は攫われたでしょう」
 俺は嫌な想像が浮かんだ。この事態が、下手すれば世界中で起こっているという想像だ。
「お、おい! どういうことだよ! 福岡だけじゃないのかよ! 九州地方ってどういうことだ!」

2:
 なるほど、被害を最小限に抑えて、周りの住民には黙っておくように頼んでおいたのか。だが、今回のようなケースだと隠し通すのは無理だろうな。
 それにしても……
「協力? どういう事だ?」。


 という感じにですね。地の分とセリフで繰り返しみたいな表現にならないように工夫するとよいと思います。
ただ書いていくうちに慣れているのか、二章のころになるとそういう表現も少なくなっているように感じました。文章は自分が好きな作家さんを見つけて、真似をしたりしながらも自分の書き方を見つけていけばいいでしょう。


 さて、問題の内容に関してです。1章を読み終えた時点ですら、まだ全く世界観がつかみ切れておらず、非常に不明瞭な世界に感じました。フライングして四章の用語説明を見ましたところ、この世界は現在から少なくとも2000年以上未来の世界のようで、『近未来』ではないみたいですね。そこまで未来だともはや世界がどうなっているのか想像もつきません。
例えば機械と動物の融合や、脳のデータ化が可能になっていて、例えば人の精神はコンピューターに永遠に保存されるとか、そんな世界になっていても驚きませんが、そんなこともなく、一章まで読んでみた時点で世界の描写が現代と言われても全く違和感がないものになっています。例えば、メガネ型の情報デバイスが発明され、それだけで通話、インターネット、なんでもできる……とか。眼鏡型デバイスを使えば、空中に画面が浮かんできてそれを直感的に操作する……みたいな機器があってもいいんじゃないですかね?(ちょうど仮面ライダーゼロワンという特撮に出てきたZAIAスペックのような)
 そういうものが存在する描写もなく、この時代になってもまだスマートフォンを使っている時点で、作者の思考放棄を感じました。
一応、2章に進むと電子空間に没入できる、VRが存在し、SAOのようなゲームも実用化されているような感じではありますが、今のところ未来を感じさせる要素がそれくらいしかないのですよね。車も登場しておりますが、燃料は何なんでしょうか……?

 と、言うわけで、少なくとも二章までを見た限りでは、この物語がはるか先の未来で、という設定すらも無意味に感じます。あるいは、第二次世界大戦で核を放たれたことをきっかけに神が襲撃してきた……という設定で何の問題もなく、感じてしまいます。
 また、神の襲撃があったことを、主人公たちはまるで現実のように受け止めてはいませんでしたね。歴史の授業とかでガンガン習いそうなものですし、何ならその当時の映像を見せられそうなものですが……それなのに、機械のトカゲのような敵が襲ってくることすら知らないというのはどういうことでしょうか? 未来の世界なら映像資料なんて余裕で残っていることでしょう、二章まで見た限りでは、マスコミが対策局に連絡を取っているあたり、情報を意図的に隠していた追うな感じはありますが……だとしたら逆に資料が残っていないことを不思議がるキャラがいないと不自然です。
 昔はトカゲの機械を使ってこなかったとかいうのならわからないでもないですが、戦争なんて体験したことがなくても、戦闘機とかに興味がなくとも、第二次世界大戦で使われたゼロ戦とかの形状はなんとなく知っていると思うのですが……

 また、近代兵器がまるで役に立たなかったという設定も、どういうことなのか1章時点で描写がなく不明です。仁君が鉄パイプでトカゲを倒していたのは、『オレンジ君』と呼ばれている特別な存在なので、例外の存在として納得できますが。
 例えば『トラックで引いてばらばらにしても、すぐに再生してしまう。神通力を使った攻撃でないと、足止めは出来ても撃破は出来ないんだ!』みたいな設定は一章まで読み進めた時点で出てこなかった気がします。そうなると、自衛隊は何をやってるんだ! と言わざるを得ないといいますか……まぁ、まだ自衛隊が存在しているかどうかすら一章ではわからないんですけれど。日本国軍とかになってるんですかね?
 総じて、設定に説得力がないと感じる物語でした。例を挙げますと……

1:2140年以上も未来の話なのに、現代とほとんど変わらない生活をしている。例えば空を飛ぶ車とかは環境を破壊するエネルギーを使わなければ維持できないにしても、情報デバイスは携帯電話→スマートフォン→何か→さらに別の何か という風に進化していないとおかしい。なんなら、AIがもっと発達していて、教師なんかもAIで事足りるし、メイドロボットが当たり前のように存在するとか、そんなことだってできていてもいいはず。
むしろ、火星に移住した人類とかいないのでしょうか? ガンダムみたいにスペースコロニーがあっても不思議ではないのですが。

2:神には人間の化学が通用しないというが、それに対しての描写がない。戦車や対物ライフルで破壊できないのか? それを映像資料なり、トラックで轢くなりして証明してほしかった。一章時点では、上述の通り『自衛隊しっかりしろよ!』というかんそうしか浮かびません。というか、人間の化学が通用しないほど恐ろしい兵器の割には、ちょっと隠れるだけでやり過ごせるとかどうなんでしょうかね……飛行する機械兵もいないみたいですし。

3:神はソウルを求めているらしいが、一度に人口の半分を持っていくのは非効率的ではないか? 半分になった人口が回復するのって相当かかりますし、文明が破壊された状態ではさらに人口の回復は遅くなるはず。というか、『外では生活できない』のに建物を破壊したら、汚染された空気にさらされて人間全滅しますよね?

 もしくは、人間だけではなくほかの動植物のソウルを奪っていたけれど、人間が環境を破壊したから……とかなら納得いかなくもないですが。
 例えばですが、人間が木を必要になったからと言って。全世界の木の半分を切る……(出来るかどうかはともかくとして)なんてことはしないでしょう。木を切って、また成長するのを待って、また木を切る……みたいな感じに、少しずつ人間をさらうならともかくですが、
 まぁ、でも世界の人口はその気になれば50年で倍に増えるので、神の寿命によってはそこまで不可解ではないのかもしれません。例えば神が千年生きるのならば、50年に一回人間を半分にするペースでも十分かもしれませんし……
これについては、後々の話でフォローがあるかもしれませんので、これ以上深く突っ込むことはしませんが、結局のところ、キャラクターがそれに疑問を持たないのはいけないと思います。

4:オシリスが弱い。オシリスってエジプト神話じゃ主神レベルの相手です。それを、きちんと訓練と契約をした隊員が倒すのならばともかくですが、契約すらしていない九尾が単独で倒すというのはありえないかと……まぁ、これは好みの問題かもしれませんが。ですが、敵は初戦です。初戦を敗北で飾るなんて無様なことをすれば神たちの間でも笑いものになることは必然でしょう。そんな大事な初戦を下っ端に任せるエジプトの軍というのもどうなんでしょうかね? 戦隊ものやプリキュアにおけるお決まりと言ってしまえばそうなんですが……全戦力を投入する必要はないにしても、横やりに対抗できるくらいの力は必要なのでは?

5:なんで神の国は全部同じタイミングで攻めてきたのか? 例えば、神の間で戦争が起こってて、神の世界の兵器を動かすには人間のソウルが必要。エジプトがソウルを集め出した以上、対抗するためにほかの国も……とか、そういう事情があるわけでもなく。二章時点で少なくともエジプトと日本の神が攻めてきてますが、連携しているのか競い合っているのかわかりませんし、『誰も疑問に思わない』のはおかしいと思います。

6:今まで何万年も生きているであろうはずの神が妖獣の命が二つあるという性質を知らないのはなぜか? 奴隷のような存在で興味がなかったから知らない……って、そんなことはありえないでしょう? 人間の世界にはプラナリアとか、蚊とか、バッタとか、どんなくだらないものであっても研究する変わり者がいます。奴隷の研究をしないなんてことはあり得るのでしょうかね……

7:俺ごときが契約なんて……と、主人公が卑屈になっていますが、そもそも契約の説明も何もされていません。もっと言えば『契約は一人しかできない』という説明すらされていませんし、契約のメリットもデメリットも説明されていません。もちろん、戦うのが怖いから契約しないと思う人間がいたとしても何らおかしくないですが、説明すら聞かずに勝手に卑屈になるあたり、『作者は知っているが、主人公が知らないはずの情報』を、無意識のうちに『主人公が知っている情報』にしているのではと思いました。

8:そして、タートルが襲撃してきたときは、説明も聞かずに契約し、能力も把握しないまま戦いましたが、まぁ初戦は仕方ないとして……『初の仕事!』でも、自分の能力を把握していないことなど、ちょっとどころではない怠慢が目立つ気がします。
 普通に考えて、自分の能力を把握せずに過ごすなんてするでしょうか? 昨夜のうちに能力を把握しておかなかったことなど、本当に主人公はカタキを取る気があるのか疑問に思えてきます。全部で9個の能力があって、そのうち一つは非常事態にならない限り九尾は秘密にしている……くらいなら納得なのですが。後々、今の段階では使えない能力があることは示されておりますが、それを聞くのが遅いと感じます。


9:すごくどうでもいいことですが『妹』の回など、時差を全く気にする様子もありません。こういう細やかなところに、作者の気遣いが現れるものだと思います。電話したのが12時なら、米国東部標準時で22時となってしまいます。まぁ、起きてはいるかもしれませんが、授業はしていないでしょう……太平洋標準時だと19時ですが、こちらも学校にはいないでしょうね。

10:神対策日本局の対応があまりに杜撰。タートルの二度目の発生の時など、人の命預かる組織としてあり得ないミスです。実際に、神対策局なんて組織が出来たとして、どんな行動をするかというのを、まじめに考える必要があると思います。

 というか、神対策日本局九州支部はどこに行った?

11:現在と同じ地名を出していますが、東京は本当に東京でしょうか? と、言うと意味が分からないかもしれませんが、今では東京は日本の首都ですが、徳川家康が幕府を立てる前まではただの田舎都市でした。
2000年以上も経っていて、ましてや神によっていろいろ破壊されて、それでもまだ東京は今と同じような姿をした東京なのでしょうか? むしろ、神による被害の少なかった田舎のほうが復興が速く、そこを臨時の首都にした、とかあっても不思議ではないですし、今でも語学留学にアメリカに行くというのもなんだか……2000年以上経って、統一言語とかそういうのはないんですかね?
中国が台湾や香港やチベット、ウイグルやらをあれこれやってますし、北朝鮮と韓国も対立している現在の地球……100年後ですら世界地図がどうなっているかわからない状況で、何も変化なく現在の地名を使うのはナンセンスです。
 明歴2140年という途方もない数字が、この物語の足を引っ張っているように感じてなりません。

一言

 以上のように設定に説得力を持たせるのは、キャラクターの行動や描写です。設定を設定のまま終わらせず、きちんと描写してあげることが大事です。2000年以上も後の世界にはいったいどんな文化が根付いているのか? 神が人間をさらったなら人間はどんな対策をするのか? すべての神を憎むほどの人間が神に対抗する能力を手に入れたら、いったいどんな行動に出るのか? きちんと考えてみましょう。
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