アリマルカス冒険記~セナとめぐる遺跡、異世界、それから......~ の感想を書きました
2021年03月14日 (日) 23:47
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まず、始まって数話、主要人物の性別や容姿が想像できないのがつらいです。種族すらも最初はわかりませんし、戦っているはずのメガロスの種であるハルやアイリスが普通に友人?として存在することも、それが当たり前のような感じを出すのに、描写不足と感じます。
世の中には差別が渦巻いています。女性差別、人種差別、そういうのがある以上は、中には機械種というだけで憎む人がいたっていい気もしますし……もちろん、差別がない世界はそれはそれでいいのですが、まだ戦争中の民族の陣営が当たり前のようにいるのはちょっと想像しづらいなと。
また、機械種は当たり前のようにいるのに、竜人種はおとぎ話でしか見たことがないというのもよくわかりません。ちぐはぐな状況をうまく説明できればいいのですが、読者が置いてけぼりになってしまっている気がします。
というか、機械種って性別とかあるんですかね、繁殖はするんでしょうか? 下世話ですがまずそこも気になってしまいます。なんせ、それをうかがわせる描写が何もないから……なので、恋心と言っても全く共感できないんですよね。ハルとアイリスの関係のことなんですが。繁殖しないならどう生まれているのかとかも、何も説明がありませんしね。

細かいところですと、マイトア遺跡群の冒険③ でですね、『消しゴム』という記述が出てくるんですが、せめてこう、鉛筆とを登場させてから聞きたいフレーズですね。現代を舞台にしたお話なら全く違和感がないのですが。他にもちらほらと、世界観にそぐわない比喩が見受けられます。

シトラ遺跡の冒険⑤ なんかコントローラーみたいな、という記述がありますし。そして、その遺跡の仕掛けも重要なデータが入ったパソコンに、パスワードを付箋で付けておくような状況って、何かの冗談かと……仕掛けの意味がまるでないじゃあないですか。

また、聖騎士の存在もふわっとしている印象です。大司教と互角に戦っていますが、大司教よりもはるかに劣るセナが『聖騎士じゃないことを不思議がられていた』とか。聖騎士は後に騎士の中の最上位という位置づけだと説明されていましたけれど、なんかこう、説明すると長くなるけれどふわっとしているなぁ、と。
司教も司祭もいないのにいきなり大司教、というのもなんだかなぁ……
ペンダントも、二つありますがその違いは何も描写されておらず(形状とか色とか)おそらく一方がメガロス、もう一方がガルゴスに行くためのものかと思えばそういうことでもないようですし……

総括すると、設定が説明なしに置き去りにされたり、かと思えば設定がいきなり生えて来たり。そんな印象を受ける作品です。世界観の説明ってものすごく難しいのですが、だからこそそこに心血を注ぐ必要があります。遺跡で永い眠りから目覚めた者、街のホームレスだったが主人公に拾われた世間知らずな子供、そういったものを交えて世界観を説明できるようにするとか、手段はあるはずです。
自分以外の探索家、一般的な市民の生活、ハルやセナの幼少期、そういったバックグラウンドもないので教官も難しい状況なので、設定固めとその設定をいやらしくない程度の提示する技術を磨きましょう。
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