久しぶりにキーを叩いた。政治の世界はもちろん、ごく身近なところで次々と起こる不祥事。そしてそれはわずかな期間で我々の頭の中から忘れ去られてゆく。それを風化させないためにとキーを打つ気になった。それぞれの不祥事の渦中にいる人間は〈黒いものでも白だ〉と言い張る。だが黒はどんな色を混ぜても〈黒〉であり、〈灰色〉はあくまでも灰色であり〈白〉ではないのだ。この短編は〈成長する〉小説だ。その時代の不祥事を起こした主人公を〝粛清〟あるいは〝抹殺〟という形で書き進めてゆこうと思う。