「ゆっこさん（※母）、なんか鳥の声しない？」
「聞こえないけど？」

　いや、めっちゃ聞こえる。
　そんなやり取りしてたら、換気扇の裏あたりに燕が営巣していたらしく、本日めでたく（？！）ヒナが孵ったらしい。

　換気扇をバンバンしても逃げないから直接使っているわけでは無さそうだが、ヒナの声がいい感じにダクトで拡大される。

「いや、聞こえるでしょ」
「………？」

　歳で聞こえないらしい。

　六十を過ぎて百名山を制覇し
　初海外はヒマラヤ山脈を横断し
（チョモランマは入山料高いから挑戦していないがゴーキョピークは登った）
七十にして各都道府県制覇にリーチかかった母だが、よる年波には勝てないらしい。

「ほら、換気扇のダクト近くなら聞こえる」
「？？？おるね」

　……どうやらヒナが孵ったらさすがに聞こえるようになったらしい。
　当面新しいご家族は出て行かないと思われる。