【春の】十七日目、『カニクリームコロッケ、空を飛ぶ』【コメビュー祭り】
2018年04月25日 (水) 14:00

 ミツイ氏は舟の上でとても良い匂いに気が付いた。
 それは揚げ物の放つそれであり、氏は思わず辺りを見回した。

 そして少し離れた島の上空に、コロッケらしきものが浮いているのを氏は発見した。
 なぜ揚げ物が浮いているのか。その疑問を解決するつもりはなかった。なぜならば、氏が航海をしているのは電子の海だからである。さらに言うなれば、その海域の中でもとりわけ何事をも起こり得る "なろう海域" である。
 コロッケくらい、浮いていたって何もおかしくないのだ。

 島に上陸した氏は上を見あげる。
 浮かんでいるのは巨大な巨大な、コロッケ。空に浮かぶ雲と比べても遜色のない大きさのそれは、なぜだかとても威厳に満ちていた。

 島はとても静かだった。
 なのに、香しさだけは常にある。

 上空に浮かぶあの揚げ物がそうさせるのだろう。

 街も変わらず静かだった。
 公園のベンチに見つけた一作の物語。氏は、これを読まねばならないと直感した。

 ころっけぱんださんの、『カニクリームコロッケ、空を飛ぶ』を読み、氏は理解した。宙に浮いているのはコロッケではない。カニクリームコロッケだと。

 氏は混乱した。
 笑えば良いのか、畏れるべきなのか、恐怖をその身に感じるべきなのか分からなかった。
 ただ、様々なものがないまぜになった感情を抱えて、舟を出すために浜へと戻り、考察のために寝転がった。

 物語はオモシロかった。これは事実である。
 事実は速やかに認めなければならない。

 カニクリームコロッケ。
 言葉のイメージに殴られ、そしてカニクリームコロッケの恐ろしさを目の当たりにする。

 カニクリームコロッケが引き起こす人類の危機を見て、そしてカニクリームコロッケ仕掛けの神が降り立ち、世界をカニクリームコロッケに沈めていった。

 あらすじだけでこの破壊力。
 
 しかしながら、内容はかなりシリアスなのだ。人間愛を描いている部分もあり、描写はえぐい。もう、なんというか、えぐい。

 その描写の差に氏の脳は混乱した。分解し、理解し、脳内で再構築するまでにインカコーラ2本を要した。
 しかしオモシロかったのだ。それは認めなければならない。

 息を吐いて起き上がり、氏は次の島目指して旅を始めた。



   ○   ○   ○



 ども、三衣 千月の実務担当、もう若くないということをペヤングに思い知らされた方、ミツイです。
 大盛はもう食べきれない。そう悟りました。

 揚げ物も同様でしょうね。ゆえに、カニクリームコロッケはそんなに多くは食べられないのです。

 やあ、怪作だった。

 ころっけぱんださんの、『カニクリームコロッケ、空を飛ぶ』

 混乱しますよ!
 マジで! 割とマジで!

 さて、明日もどんな作品が読めるでしょうか。
 それでは明日もお楽しみに!
コメント全4件
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三衣 千月
2018年04月26日 21:52
>てとさん

あまりにも理不尽。そして神の存在の偉大さと、その動機の小ささに怒りを覚えたら、作者の術中に嵌っているのでしょう。神めッ! と叫びたくなりますね。
三衣 千月
2018年04月26日 21:48
>足軽さん


怪作でしたね! 意図的にこの乖離を起こしているのだとしたら素晴らしいと思いました。カニクリームコロッケこわい。
てと
2018年04月25日 21:04
作者さんはカニクリームコロッケで口の中を火傷したことでもあるのかな?と思いながら読んでいたらビックリな展開になりました(^_^;)なんとなく逆ギレを感じました
足軽三郎
2018年04月25日 20:34
読みました。頭おかしくなりそうです。