2018年04月27日 (金) 22:46
たどり着いた島には、鮮やかな紫陽花が咲いていた。
空は晴れているのに、その紫陽花はどこかしっとりと艶のある表情をミツイ氏に見せていた。
誘われるように花に寄り、傍らにある一作の短編を読む。
橘 塔子さんの、
『紫陽花とネックレス』。
旅の荷物に紛れ込ませていた、航海図の一つ。おススメされた島でおススメされた作品を読んだ。
読むうちに、氏の周りの風景が次々と変わっていく。しとやかに雨が降り、いつしか田園風景の中にいた氏は雨を気にも留めず、濡れるに任せて一筋涙を流した。冷たくそぼ降る静けさの中で、頬にだけ微かな温もり。
その涙の生まれ出た場所を。涙の故郷をどうにかして氏は探り当てようとした。
分からなかった。
ただ、確かに温かな気持ちが身の内にはあった。ひとしきり涙を流し、晴れやかな気持ちですっくと立ちあがった。
気が付けば空は晴れ、氏の横の紫陽花は一層その輝きを増していたのだった。
○ ○ ○
ども、三衣 千月の実務担当、好きな作家は太宰治な方、ミツイです。
とびらのさんにおススメを頂いた作品ですね。
橘 塔子さんの、
『紫陽花とネックレス』でした。
情景描写の素晴らしさよ。
情景描写の素晴らしさよ。
大事な事なので2回お伝えいたしました。
そうだよなあ。これはお手本にしたい。風景描写と心理描写を巧みに合わせた表現が大変ミツイに刺さりました。
いつもならですね。インカコーラをどれくらい飲んだとか入れるんですけれども。それを入れられる雰囲気じゃなかった……!
そのオモシロさ、ダースだわ。ダース単位だわ。
っはー、泣いた。
土日のどっちかで最後のおススメ作品を読んで、旅の終わりかな!
そして始まる書き出し祭り。どこまで読もう、書き出し祭り。
その前に、最後のコメビュー祭りもどうぞお楽しみに!
他ユーザさんのブクマから「平成と令和とエビフライ」を拝読しまして、こちらの活動報告に気づきました。作者がコメントするのは野暮かとも思いましたが、あまりにも嬉しかったのでお礼だけ言わせて下さい。ありがとうございました!
私にしては珍しい穏やかなヒューマンドラマです。地方都市の風景や梅雨の空気感が伝わるように苦心しましたので、気に入っていただけで本当に光栄です。