2016年10月10日 (月) 00:12
モンスターについて考察する章が終了いたしました。10話書いたという事で、過去最長の話となりましたがいかがでしたでしょうか。今回の章が全体にわたって話の流れがあるようでないのは、考え始めるタイミングと書くタイミングが一緒だからです。
モンスターは主人公の敵役として、いつも登場しています。本小説でも冒険者、モンスター、魔法がファンタジー特有の要素だとして、大きな役割であるとしてきました。
とはいえ、小説ごとにその設定や描写はバラバラなわけで、今回書いてみてもモンスターの生態や性質に話を絞るわけにはいきませんでした。そこで種族ごとに人間社会を絡めながら、いろいろな話をすることになったのでした。
その結果前後の流れが希薄すぎるものが出来上がったので、ここで10話の軸となった要素を軽くまとめてみます。後書きというか補足というか、そういったものとしてとらえてください。
ゴブリンについて
ゴブリンというよりは、社会性を持つモンスターについて、という話になりました。
ゴブリンは群れをなす代表的なモンスターであり、職業を持つモンスターとしては不死者を除けば唯一かも知れません。題名的に種族名を上げたのはこれが唯一ですが、ゴブリンは獣人とも違うし鬼とも違う気がして、結局ゴブリンについてという題名に落ち着きました。
水棲生物について
この回は文明にとっての川がどういう存在なのか書きました。河口付近にすむモンスターの食生活に重大な影響を及ぼすかもしれない、という点を書きたかったのです。
実は今回の章はこの話だけが唯一初期から書こうと決めていたものです。ゴブリンについての話も、今後の種族の話もまったくノープランでした。ただモンスターについて考えたらそこそこ話が進むだろうという妙な構想のもとに見切り発車してしまったのです。
海洋生物については書き終わってから文字数少なすぎかも、とおもって急きょ付け足した話だったりします。とはいえ、海を利用することが困難だった場合の世界というのもなかなか興味深いと思います。
飛行生物について
この話は、書き始めたときはハーピーについて書こうとしていました。
しかし無理だったので、飛行生物の特徴を上げ、そこから食生活を考えました。現実世界の野生動物は生きていけるか、という点をぼんやりと書けたのは幸運だったのですが、話は膨らまず、ついに最短で一頁終わってしまいました。
人間がドラゴンを資源として利用するのは一般的で、それゆえに狩りの方法も研究されてそうですが、あまりにあやふやな設定に頼ることになってしまったので、断念しました。
非実体系生物について
彼等の定義づけの部分でまず苦労しました。非実体系といっても、鬼火やプラズマといったモンスターもいますし、ゴーストのようなモンスターもいます。また、岩や刃物がどうして動くのか、ということを考えると、このような非実体系生物が入り込んだのではないか、とするのがしっくりきます。スケルトンやゾンビなども同様です。
つまり、存在自体をモンスターと考えるのか、意思をモンスターと考えるのかという部分で躓いたのです。事前に"あやふやに幅を持たせて考えていく"と断ったのは、この種族を書くときに恐らく困るだろうと思ったためです。
個人的にはこの話の結論は結構気に入っています。
現実世界ではありえないとされている霊的存在がありえる世界では、さまざまな分野の発展や価値観に変化が及ぶのではないかと考えることは、全く新しいファンタジー世界を作ることができる可能性を秘めているのではないかと思います。
植物系モンスターについて
ここからは完全にノープランでした。
上の4つの種族ならばなんとか話をひねれるだろうと思っていたので、当初は後書き含めて6話としていたのです。しかし後書きを書いている途中、後から書くなら今書いた方が、と思い立ち継続を決めました。
植物というモチーフについて、書き手の都合がどれほど入るのかという事を考えました。それほど種類が多くない種族ですのでネタもなく、読み返してもどうしようもなさ加減が漂っています。
ただ、妖精がなぜ森にすむのか、という点は興味深いし、都市の地下に根をはる植物モンスターもなかなかに手ごわそうです。
人工系モンスターについて
科学と工学の違い、という専門外のところを主に書くという、なぜ私が書くのか、というような内容がずらっと並んでしまいました。
ただ、科学的手法や工学的手法についてはいつか書いてみたかったので、今回書くことができて良かったです。両方人が作ったモンスターなのに、その出自が変わってくるというのは面白い事です。
また、魔術師にも二種類がいるだろう、という性質分けは世界観によっては面白いストーリーになることになるでしょう。
巨人系モンスターについて
巨大であるという事は、人々に畏怖の感情を持たせます。
しかし、大きいという事は、骨格や住居などの問題を考えていくと不都合しか生みません。物語の上では比較的描写が難しいのではないでしょうか。この話でも、当初は彼らのもつ産業の可能性について書いてみたかったのですが、あまりにも読んだ覚えが少なかったので、方針が変更されました。
悪魔について
人間に明確な敵意を持つ存在は現実にはまったくいません。
激しく憎み合う民族というのは存在しますが、一度も友好的な関係を結んだことがない、という民族はないように思えます。
敵対する勢力を悪魔だ鬼だとののしりますが、リアルに悪魔や鬼がいたら、彼らはどう罵ることになるのか、少し興味があります。
明確に敵意をもつ存在がもしいたらどうなるか、というのは本小説のテーマの一つなので、闇の勢力を軸にして今回はまとめさせていただきました。
宗教は強化され、冒険者も登場し、王政は脅かされそうですが、やはり先人の知恵というのは強力でした。史実でも、自らの玉座が危機に瀕しているときに、各時代の指導者は頭を必死にひねって有効な手をいくつか開発してきたのです。
おそらく勇者が現れようが魔王が攻めてこようが、宗教団体が好きかって言い始めようが、王というものはなくならないだろうし、詭弁ともいえるような論法で危機を乗り越えていくことでしょう。歴史や様々な例を見ていくと、愚かな事例ばかり印象に残りがちですが、実のところそういうわけではなく王族は我々と違うものの見方、考え方、精神力を持っており、確かに国を治めていく実力を正しく持っているのだろうと思わされます。
第三章終了時は、もうネタ切れ、あとはおまけだけだろう、と思って完結マークをつけた幻想歴史読本ですが、皆様のご声援やアドバイスによって、まだまだ続けることができそうです。
今後の展望としましては、魔法について書いてみたいと思っています。魔法があることで社会はどう変わる可能性があるのか、各社会はどうなるのか、ということを考えていけたらいいなぁと思います。
まだどのような形態で書くかも決めてないし、どのような話の流れになるかも決まっていませんが、ゆったりとお待ちください。その前におまけに再編されるような閑話をいくつか書けたらと思っています。
同じことを書かないように、決めつけないように、知識を披露するだけにならないように、少なくとも自分が知っている範囲で既出の考察をしないように、ということのみに注意を払って書いている考察ですので、今後どうなっていくかはさっぱりわかりませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
こちらでも引き続きご意見、ご感想、ご指摘、ご要望を受け付けます。この小説全体についてでも構いませんし、すでに投稿された話題にさかのぼって注文をつけてもらっても大丈夫ですので、そちらもお願いします。