2016年05月31日 (火) 19:18
短いし落ちが微妙なのでボツネタ
性別逆転注意
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ある日、とある一つの乙女ゲーム世界に隕石が落ちた。
この世界はありがちな悪役令嬢とヒロインと王子が婚約を破棄したりハーレムをしたりわちゃわちゃやっている、普通の乙女ゲーム世界だった。
ーーその日、隕石が落ちるまでは。
隕石が星にぶつかったその瞬間、とてつもない光に世界が包まれた。
あまりの眩しさに、すべての生き物が目を閉じ、次に開いた時にはーーー
全ての生き物の性別が、逆転していた。
とある魔法学校の教室、昼休み。二人の男子生徒が向かいあって座っている。
片方の少年は、金髪碧眼の少女が写る写真をぽーっと見つめながら、パンをむしゃむしゃと食べている。
「あー、やっぱ姫の可愛さたまんないな。
けど、男になってから、どうもうまくいかねえ」
ミルクティー色のふわふわした髪の毛で、垂れ目がちな大きな目、可愛らしい顔をした少年がため息をつきながら、椅子の背を前にしてもたれている。
その少年の目の前には、背が高く、黒髪に赤いつり目がちな瞳の、なんとなく冷たい印象を与える少年がいて、足を組んで本を読みながら、その少年に答える。
「姫、王子の頃はお前と俺で揺らいでたけど、今はなんか男嫌いになってるみたいだな」
実は、この親友といった風に休み時間を過ごしているのは、元ヒロインと元悪役令嬢だった。ふわふわした美少女ヒロインは今やふわふわ美少年、冷たい印象の悪役令嬢は今やクールイケメンである。
隕石が落ちて性別が変わったあの日、性別だけでなく、思考回路も変わってしまった。
あれだけドロドロした戦いをしていたヒロインと悪役令嬢の2人だったが、男になるとそんな面倒くさいことをやる気が失せ、あと性別が変わった後のエロに関する趣味が全く同じだった為、なんやかんやで今や親友だった。
公爵令嬢だから、王子狙いのぶりっ子気味の男爵令嬢だから、とはっていた気が緩んだのか、彼らはもはやフツーの男子高校生といった感じだった。
ちなみに、今元悪役令嬢が読んでいるのは、姫があはんうふんされる小説だ。
「それ、読み終わったら貸してよ」
「あぁ」
「そういや姫なんで男嫌いなんだっけ」
「元々綺麗系の王子だったが、姫になったらそれがとてつもなく際立ってな
ストーカー被害とか半端ないらしいぞ」
「ほー。姫も大変だなあ」
パンを食べ終わった元ヒロインは、ジュースを啜る。
「お前も俺も、ストーカー被害は割と受けてただろ」
「やー、まぁな。俺可愛かったし?」
「……何気に、女になった男たちの草食具合がひどいな。見守られていても、告白すらされない」
「わかるわ、俺こんなイケメンなのにな」
そういう2人は、「顔はいいけど、教室でエロ本読んでるのはちょっと……」とドン引きされていることは知らない。
「そういや、俺が他に狙ってた男たちも、かなりの美少女になってるぜ」
元ヒロインは、隠し撮りらしき写真をどこからともなく出すと、机に広げる。
「ほう……中々だな」
元悪役令嬢は目を細める。しかし、姫の可愛さには勝てないな、と頭の中で考える。
「ところで、何でこんなにきわどい写真を持っているんだ?」
「しがない男爵家の三男じゃ、小遣い足りないからな。ちょっとした金稼ぎよ」
暗に、写真を裏で売っているという元ヒロインに、思わず元悪役令嬢も苦笑する。
「……未だお前が好きな女の子もいるのに、あくどいな」
よく見ると、数枚は恥ずかしがりながら自ら服の裾をすこしあげている。女の頃からの好きな気持ちを利用して協力させているとは、中々のゲスである。
さーっと商売道具をしまうと、思い出したかのように元ヒロインが口を開く。
「そういや、隕石落ちた瞬間婚約破棄の話ししてたけど、結局どうなったんだっけ?」
「あぁ、あの時は確定ではなかったが、あの後辛抱たまらず俺が姫にセクハラした結果、流れた」
「うわ、おつだな」
ひぃひぃ笑う元ヒロインだったが、それに対して元悪役令嬢も対抗する。
「結局その後お前と婚約したが、お前も同じことして婚約破棄されてただろうが」
「…………そうだったわ」
元ヒロインはわかりやすく肩を落とす。
男になった瞬間いろいろとタガが外れた残念な2人は、やらかしてすでに婚約破棄されていた。
「もし姫に結婚の話きたらどうするよ?」
「………監禁するか」
「あー、それもいいね」
「なんなら、俺が屋敷を用意しようか」
最強の光の魔術の担い手、元ヒロインと
学年一の魔術の使い手で珍しい複数属性持ちの元悪役令嬢が怪しげな笑みを浮かべる。
ーー姫様、逃げて!!
クラスメイトの心は1つだった。
増えていくヤンデレ、もはや元王子がヒロインなカオス世界…続くのか…!
もし続いたらその時はよろしくお願いします(ノ∀`*)